6月27日号 流動性供給や金融緩和で下振れリスクを回避

グローバル・マクロ・
トピックス
2016/
6/27
投資情報部
シニアエコノミスト
宮川 憲央
流動性供給や金融緩和で下振れリスクを回避へ
~英国民投票後の日米金融政策
 英国の国民投票は欧州連合(EU)離脱派の勝利となった。先行きの不確実性が高まるなか
で、仮に市場の流動性が低下し、金融機関の資金繰りに支障が生じる場合には、流動性の
供給を実施することで、リーマンショックのような事態は回避するとみられる。
 米連邦準備理事会(FRB)は、世界経済の見通しに対する不確実性の高まりやドル高を受け
て、一段と慎重に状況を見極めていくとみられる。みずほ証券投資情報部では、利上げのタ
イミングは12月まで後ずれすると考えており、年内の利上げは見送られる可能性もあろう。
 日本銀行は7月の金融政策決定会合で追加緩和を決定する可能性が高まったと考えてい
る。その際は、量・質・金利の3つの政策手段がすべてそろう形になると予想している。
金融機関の資金繰り
に支障が出る場合に
は、流動性供給へ
6/23に実施された英国の欧州連合(EU)残留・離脱を問う国民投票は離脱派の勝
利となった。金融市場では、離脱の可能性が高まるにつれて、リスク回避の動きが
強まり、世界的に株価は下落。為替は英ポンドやユーロが下落する一方、24日に一
時、1ドル=100円を割り込む等、円高圧力が強まる動きとなった。
金融市場の不安定化が続いた場合には、先行きに対する不安心理の高まり等を
通じて、実体経済の悪化へと波及していくリスクがある。こうした事態への中央銀行
の対応としては、まずは流動性の供給が挙げられる。流動性や信用リスクの高まりか
ら、金融システム危機に発展したリーマンショックのような事態は回避するということ
である。すでに英国の中央銀行であるイングランド銀行が平時よりも大量の流動性
供給を行う準備をしているほか、6/24にはG7の財務大臣・中央銀行総裁が流動性
供給の用意があるという趣旨の声明を発表している。仮に、市場の流動性が低下
し、金融機関の資金繰りに支障が生じてくる場合には、各国・地域の中央銀行が協
調して流動性供給を実施していくことになろう。現在は金融機関の財務体質に懸念
が生じている状況ではないため、こうした対応が適切になされていけば、リーマン
ショックのような事態は回避され、世界経済の大幅な下振れにつながる可能性は低
いと考えている。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
1
1
2016/6/27
グローバル・マクロ・トピックス
FRBは利上げを先送
りへ
流動性供給の次は、金融政策での対応が考えられる。みずほ証券投資情報部で
は、今後の日米の金融政策について、①米連邦準備理事会(FRB)による次回の利
上げは12月に後ずれ、②日本銀行については、7月の追加緩和の可能性が高まっ
た、と現時点で予想している。
FRBについては、5月の雇用統計の下振れが一時的かどうかを見極めるため、次
回7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利上げは見送り、9月のFOMCで利
上げを決定するとこれまでは予想していた。その後についても、①インフレ率が目標
である2%を下回る状況にある、②急激なドル高や新興国経済の下振れ、金融市場
の不安定化といったリスクを高める可能性がある、③労働生産性上昇率の低迷等、
米国経済の先行きにも不透明な点が存在している、等から、利上げを急ぐ状況では
なく、FRBは慎重に利上げを進めていくとみていた。
今回の英国のEU離脱派の勝利という結果は、世界経済の見通しに対する不確実
性をさらに高める動きであるとともに、ドル高につながっているため、イエレン議長を
はじめとするFOMCメンバーは一段と慎重に経済や市場の動向を見極めていく可
能性が高い。このため、利上げのタイミングはさらに後ずれすると考えている。米国
のファンダメタルズを考えれば、ただちに金融緩和に転換するとまでは考えづらいこ
とから、現時点では12月の利上げを基本シナリオとして考えているが、海外経済や
金融市場の動向次第では、年内の利上げは見送る可能性もあるだろう。
日銀の 追加緩和の
可能性が高まる
日銀については、従来、7月の金融政策決定会合では追加緩和の可能性があると
みていたが、今回の結果を受けて、その可能性は高まったと考えている。消費者物
価の上昇率が基調的に低下しているほか、急激な円高による企業収益の悪化ととも
に、企業の景況感や予想物価上昇率が下振れるリスクに対応するためである。円高
圧力がさらに強まる等、金融市場の展開次第では臨時会合での対応もありえる。
その場合の追加緩和の手段は国債やETFの買い入れ増額、マイナス金利幅の拡
大等、量・質・金利という3つの政策手段がすべてそろう形になると考えている。マイ
ナス金利は金融機関や世間からの評判は芳しくないが、日銀としては、金利の低下
に効果を発揮し、実体経済にも波及してきているという見方をとっているため、追加
緩和の選択肢から外すことはないとみている。
もっとも、金利が一段と低下しても、先行きに対する成長期待の低下から、借り入
れによる投資を行うといった動きが出づらいため、実体経済を刺激する効果は乏し
くなってきている。このため、物価安定の目標を達成することは難しく、現在の「マイ
ナス金利付き量的・質的金融緩和」は、少なくとも、黒田総裁の任期である2018年4
月までは続く可能性が高いと考えている。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
22
2016/6/27
金融商品取引法に係る重要事項
グローバル・マクロ・トピックス
■国内株式のリスク
リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化
等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。
■国内株式の手数料等諸費用について
○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料
をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税
込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。
○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。
○保護預かり口座管理料は無料です。
■外国株式のリスク
○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含
む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込
むことがあり、損失を被ることがあります。
○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与
えることがあります。
○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が
当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。
○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売
却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市
場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し
ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。
○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商
品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。
■外国株式の手数料等諸費用について
○外国委託取引
国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および
諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。
詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金
に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、
約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。
○国内店頭(仕切り)取引
お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別
途手数料および諸費用はかかりません。
○国内委託取引
当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託
手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に
97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。
○外国証券取引口座
外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券
取引口座管理料は無料です。
外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決
定した為替レートによるものとします。
商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または
お客さま向け資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-160627-05
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
33