グローバル・マクロ・ トピックス 2016/ 7/28 投資情報部 シニアエコノミスト 宮川 憲央 情勢判断は前進、慎重に利上げを進める姿勢を維持 ~米国・FOMC(2016年7月) 7/26~27に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド(FF)金利の 誘導目標レンジを0.25%~0.50%に維持することを決定した。 声明文では、労働市場に関する懸念の後退や経済見通しに対する短期的なリスクの低下 等、情勢判断に前進がみられた。一方、次回9月FOMCでの利上げを明示的に示唆するよう な文言はなく、慎重に利上げを進めていくという姿勢に変化はないとみられる。 米国のファンダメンタルズを考えれば、利上げの方向性に変化はない。ただ、海外経済に弱 さが残るなかで、利上げのペースは今後も緩やかなものにとどまろう。みずほ証券投資情報 部では次回の利上げは12月、年内の利上げはその1回にとどまると予想している。 短期的なリスクは低 下と評価 7/26~27に開催された米連邦公開市場委員会(FOMC)では、フェデラルファンド (FF)金利の誘導目標レンジを0.25%~0.50%に維持することを決定。保有債券の再 投資政策についても変更はなかった。なお、今回の決定に対して、カンザスシティ 連銀のジョージ総裁は0.25%の利上げを主張して反対票を投じた。 政策決定の背景となる経済・物価情勢の評価についてみると、まず経済活動の現 状に関しては、労働市場は力強さを増し、経済活動は緩やかなペースで拡大して いるとされている。詳細をみると、雇用の増加は5月には弱かったが、6月は強く、総 じて、雇用者数等の労働市場の指標はここ数ヵ月で労働力の活用がいくらか進ん でいることを示しているとされた。前回6月の声明文では、労働市場の改善が減速し たと評価されていたが、そうした懸念は和らいだ形となっている。経済活動について は、個人消費は力強く伸びている一方で、設備投資は軟調という評価は変わらず。 インフレ率については、一部にはこれまでのエネルギーやその他の輸入価格の下 落を反映して、FOMCの長期目標(個人消費支出デフレーターで2%)を下回り続け ているとの評価は変わらず。期待インフレ率に関しては、市場で計測される期待イン フレ率は低いままであり、大半のサーベイにもとづく長期の期待インフレ率はここ 数ヵ月、全体的にほとんど変化しなかったとしている。 先行きの見通しについてみると、金融政策の運営姿勢の緩やかな(gradual)調整 によって、経済は緩やかなペースで拡大し、労働市場の指標は力強さを増していく この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 1 2016/7/28 グローバル・マクロ・トピックス との見方を維持。インフレ率については、これまでのエネルギー価格の下落もあり、 短期的には低いままであるが、エネルギーや輸入価格の下落等の一時的な影響が 一巡し、労働市場がさらに力強さを増していくにつれて、中期的には2%に向かって 上昇していくとの見方に変化はない。リスク判断については、経済見通しに対する 短期的なリスクは低下したという文言が6月の声明文から追加された。雇用の減速懸 念が和らいだことに加えて、英国の国民投票で欧州連合(EU)離脱派が勝利したも のの、その後の金融市場におけるリスク回避の動きが早期に収束したこと等が反映 されているとみられる。一方、これまでと同様、物価指標とともに、海外経済や金融 情勢を注視し続けるとされた。 今後の政策運営に関するガイダンスについては6月のFOMCから変化はない。主 な点を確認すると、「FF金利誘導目標レンジの将来的な調整の時期や規模を決定 するにあたって、最大雇用と2%のインフレ率という目標に向けた進展を現状と予測 の両面で評価していく」「こうした評価にあたっては、労働市場の状況、インフレ圧力 やインフレ期待、金融・国際情勢等、幅広い情報が考慮される」「現状、インフレ率 が2%を下回っていることから、FOMCはインフレ目標に向けた実際の進ちょくと見通 しを注意深く観察する」「経済情勢はFF金利の緩やかな(gradual)引き上げのみを 正当化する形で展開していくと予想され、しばらくの間、FF金利は長期的に予想さ れるよりも低い水準に維持される可能性が高い」「実際のFF金利の道筋は今後の データにもとづく経済見通し次第」というものである。 金融市場での利上げ 期待は高まらず 今回のFOMCでは大方の予想通り、利上げは見送られた。声明文では、労働市 場に関する懸念の後退や経済見通しに対する短期的なリスクの低下等、経済情勢 の認識には前進がみられた一方で、次回9月FOMCでの利上げを明示的に示唆す るような文言はなく、米連邦準備理事会(FRB)としては、引き続き慎重に利上げを 進めていく姿勢を維持しているとみられる。 なお、今回のFOMCを受けた金融市場の動きをみると、FF金利先物を用いてブ ルームバーグが算出する利上げの確率は、次回9月のFOMCでは26.4%、12月の FOMCでは45.2%と、ともに前日から低下した。また、株価は声明文発表後に下落幅 を縮める一方、長期金利(10年国債利回り)は低下し、ドルは下落した。今回の FOMCに関する金融市場の見方として、FRBが利上げを急いでいないと受け止めた 可能性が示唆される。 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 22 2016/7/28 グローバル・マクロ・トピックス FF金利先物から算出されるFOMCでの利上げの確率 (%) 60 7/26時点 50 7/27時点(FOMC結果発表後) 45.2 40 30 28.0 26.4 20 10 0 16/9 16/11 16/12 (年/月) (注) 各時点のFOMCで0.50%~0.75%以上への利上げを行う確率、FF金利先物を用いてブルームバーグが算出 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 慎重に状況を見極め ながら、緩やかに利 上げへ 今後については、労働市場が完全雇用の状態に近づき、インフレ率も上向いてい るという米国のファンダメンタルズをふまえると、利上げの方向性に変化はないと考 えている。一方、賃金やインフレ率の上昇ペースが緩やかであるほか、設備投資や 労働生産性上昇率の低迷等、懸念される動きも残っているため、利上げを急ぐよう な状況ではない。また、米国とその他の国における金融政策の方向感の違いや中 国経済をはじめとする世界経済の弱さをふまえれば、利上げを急いだ場合には急 速なドル高や海外経済の減速、金融市場の不安定化につながるリスクがある。この ため、利上げのペースは今後もきわめて緩やかなものにとどまろう。 こうした点をふまえて、みずほ証券投資情報部では次回の利上げは12月、年内の 利上げはこの1回にとどまると現時点で予想している。今回の声明文で短期的なリス クが低下したと評価されていることからすれば、今後のデータ次第で9月FOMCで利 上げを決定する可能性もゼロではないものの、米国の経済情勢や英国の国民投票 後の海外経済の動向をもう少し時間をかけて見極めるのではないかと考えている。 今後、9月利上げの可能性を見極めるうえでは、8/17に公表される7月FOMCの議 事要旨、8/26のイエレンFRB議長の講演等に注目しておきたい。 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 33 2016/7/28 金融商品取引法に係る重要事項 グローバル・マクロ・トピックス ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料 をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税 込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-160728-12 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 44
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