早期利上げ観測が浮上 (PDF/258KB)

グローバル・マクロ・
トピックス
2016/
8/29
投資情報部
シニアエコノミスト
宮川 憲央
FRB正副議長発言を受け、早期利上げ観測が浮上
 イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は8/26にジャクソンホール会議で行った講演におい
て、「ここ数ヵ月で利上げの論拠が強まった」と述べ、利上げに前向きな姿勢を示した。ただ、
利上げのタイミングに関する言質までは与えておらず、近いタイミングでの利上げを積極的
に織り込ませるような発言でもなかった。
 しかし、その後、フィッシャーFRB副議長がテレビのインタビューにおいて、9月の利上げや年
内複数回の利上げの可能性について、経済データ次第ではあるが、イエレン議長の発言は
そうした見方と整合的と述べると、金融市場では利上げ観測が高まった。
 こうした発言を受けて、9月利上げの可能性も無視はできなくなってきた。仮に、9/2に発表さ
れる雇用統計が強い結果となれば、金融市場でも9月の利上げを織り込む動きが強まり、米
連邦公開市場委員会(FOMC)において実際に利上げが決定される可能性が高まろう。
イエレン議長は利上
げに前向きな姿勢を
示す一方、時期につ
いての言質は与えず
イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は8/26にカンザスシティ連銀が主催する
シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演を行った。もともと、ジャクソンホール会
議は中長期的なテーマについて議論する場であり、「FRBの金融政策手段」というタ
イトルにも示されているように、講演の大半は超過準備への付利や国債等の資産買
い入れ、フォワード・ガイダンスといった2008年の金融危機以降に採用された政策
手段の説明に加えて、将来の景気後退期において、利下げ余地が限られるなかで
も、そうした手段が有効であるという考え方の説明等に充てられた。
ただ、米国経済の現状や当面の見通しを説明するなかで、「米国経済は最大雇
用と物価の安定というFRBの目標に近づいている」「労働市場で堅調な動きが続い
ていることや経済や物価の見通しに照らすと、ここ数ヵ月で利上げの論拠が強まっ
た」と述べており、利上げに前向きな姿勢を示した。最近、他のFRB当局者も同様の
発言をしており目新しい内容ではないが、本来、利上げに慎重なハト派のスタンス
をとる議長が言及したということは、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議論の重心
が利上げの方向に傾いてきたことを示している可能性がある。もっとも、利上げのタ
イミングに関する言質までは与えておらず、近いタイミングでの利上げを積極的に織
り込ませるような発言でもなかった。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
1
1
2016/8/29
グローバル・マクロ・トピックス
フィッシャー副議長が
9月利上げもありうる
ことを示唆
しかし、その後、フィッシャーFRB副議長がテレビのインタビューにおいて、9月の
利上げや年内複数回の利上げの可能性について、経済データ次第ではあるが、イ
エレン議長の今日(8/26)の発言はそうした見方と整合的と述べると、金融市場では
利上げ観測が高まり、ドル高、債券安(金利上昇)、株安の動きとなった。FF金利先
物を用いてブルームバーグが算出する利上げの確率は、次回9月のFOMCでは
42.0%、9月を含む年内では64.7%まで上昇した。
FF金利先物から算出されるFOMCでの利上げの確率
(%)
80
8/25時点
70
64.7
8/26時点(イエレン、フィッシャー発言後)
60
47.0
50
42.0
40
30
20
10
0
16/9
16/11
16/12
(年/月)
(注) 各時点のFOMCで0.50%~0.75%以上への利上げを行う確率、FF金利先物を用いてブルームバーグが算出
出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成
こうしたイエレン議長やフィッシャー副議長の発言から、FRBは年内の利上げにつ
いて引き続き前向きであることが確認されるとともに、早ければ9月のFOMCで利上
げが決定される可能性も無視はできなくなってきた。一方、政策判断はデータ次第
のスタンスを維持しているため、利上げの是非を判断するにあたっては9/2に発表さ
れる雇用統計の結果が重要となってくる。仮に、雇用統計が強い結果となれば、金
融市場でも9月の利上げを織り込む動きが強まっていき、FOMCにおいて実際に利
上げが決定される可能性が高まろう。その場合の短期的な市場の反応は、ドル高・
円安、債券安、株安と考えられる。
一方、議長の講演では自然利子率*の低下にも改めて言及されており、海外経済
の動向等を含めて経済見通しに不確実性が存在する点、仮に景気が悪化した場合
に利下げで対応する余地が乏しいこと等をふまえると、FRBは慎重に利上げを進め
るとともに、利上げのゴールとなる水準が過去に比べて低いものにとどまるという見
方に変化はない。このため、緩やかながら米国経済の成長が維持される一方で、低
金利環境が維持されることで、株高が促されやすい環境は今後も続くとみている。
*景気への影響が緩和的でも引き締め的でもない、中立的な金利水準
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
22
2016/8/29
金融商品取引法に係る重要事項
グローバル・マクロ・トピックス
■国内株式のリスク
リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化
等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。
■国内株式の手数料等諸費用について
○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料
をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税
込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。
○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。
○保護預かり口座管理料は無料です。
■外国株式のリスク
○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含
む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込
むことがあり、損失を被ることがあります。
○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与
えることがあります。
○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が
当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。
○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売
却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市
場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し
ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。
○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商
品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。
■外国株式の手数料等諸費用について
○外国委託取引
国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および
諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。
詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金
に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、
約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。
○国内店頭(仕切り)取引
お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別
途手数料および諸費用はかかりません。
○国内委託取引
当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託
手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に
97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。
○外国証券取引口座
外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券
取引口座管理料は無料です。
外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決
定した為替レートによるものとします。
商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または
お客さま向け資料等をよくお読みください。
商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号
加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、
一般社団法人第二種金融商品取引業協会
広告審査番号 : MG5690-160829-14
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
33