10月28日号 経済 中国 中国共産党第18期中央委員会第6

グローバル・マクロ・
トピックス
2016/
10/28
投資情報部
シニアエコノミスト
吉川 健治
習近平が党「核心」と権威強化も改革・リスク防止困難
~中国共産党第18期中央委員会第6回全体会議

中国共産党中央委員会第6回全体会議(6中全会)が10/27に閉幕、注目の「習近平党総書
記が党中央の核心」が盛り込まれ、名実ともに習近平の権力掌握が強化されたと言えよう。
党内規律に関する「準則」と「条例」の改正が採択され、党内監督に聖域、例外なしで高級
幹部を中心に綱紀粛正が図られる。一方で習近平の権力集中や綱紀粛正に対しては、党
内の反発や党政府官僚の不作為問題が浮上、引き続き経済の政策運営に影響しよう。今
後は改革先送り、不動産バブルや人民元安、等チャイナリスクに留意が必要だ。
6中全会では注目の
「習近平が党中央の
核心」と名実ともに権
力掌握を強化
中国共産党中央委員会第6回全体会議(6中全会)が10/27に閉幕、以下、6中全
会のコミュニケの概要を紹介する。
最も注目されたことは、習近平党総書記が党中央の「核心」という別格の指導者
に位置づけられるか、であったが、結果として文言が盛り込まれた。これにより習近
平の権威が高まり、2017年下半期に開催される党大会(1中全会)で指導部の人事
刷新を有利に図れることになろう。確かに毛沢東時代の個人崇拝等の反省から
1980年制定の準則により集団指導体制が敷かれ、今回も同制度を堅持するとの文
言があるものの、すでに実施されている習近平の独走体制が名実ともに確立したと
言えよう。また、「党内政治生活に関する若干の準則」と「党内監督条例」の改正が
採択され、党内監督に聖域、例外なしで政治局常務委員を含む高級幹部を中心に
綱紀粛正が図られることになり、習近平の権力掌握が強化されることになった。
第18期中国共産党中央委員会第6回全体会議(6中全会)コミュニケの概要
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
主要な項目と内容
主要な議題:「厳格な党の全面的な統治」
習近平同志を「核心」とする党中央の周囲に全党が緊密に団結する
民主集中制は党の根本的な組織原則であり、党内の政治生活が正常に展開
する重要な制度保障である。集団指導体制は堅持する
「党内政治生活に関する若干の準則」と「党内監督条例」の改正を採択した
政治局常務委員を含む高級幹部が党内政治生活の強化・規範のカギであり、
全党・全社会の模範を示すべきである
党内監督と人民による監督を結合し、党自身の浄化や能力向上等を強化、党
内監督には聖域、例外を設けない
中央規律委員会が王珉 と呂錫文を、中央軍事委員会が範長秘と牛志忠を、
重大な規律違反問題の審査報告のもと、党籍剥奪を正式に採択した
中国共産党第19期全国代表大会(党大会)は2017年下半期に北京で開催す
る
出所:人民日報資料、中国共産党新聞資料よりみずほ証券作成
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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2016/10/28
グローバル・マクロ・トピックス
党内監督等の 規定
改正により党の信頼
回復を目指す。一方
で党内の反発や官僚
の不作為が問題
6中全会のコミュニケは、2012年11月開催の第18期党大会における「政治報告」
の「亡党亡国(党が亡び国が亡ぶ)」との厳しい文言に対して、共産党幹部の腐敗
汚職や所得格差への人民の不満を解消し、共産党への信頼回復を目指すうえで、
重要な採択事項であったと言えよう。
一方で、党内の権力闘争が激化し、習近平の権力集中や綱紀粛正に対する党
内の反発や党政府官僚の不作為問題が浮上し、経済の政策運営に支障をきたし
ていることが報道されている。
中国と日米の企業債務対GDP比率
(%)
日米中の固定資本形成対名目GDP比
(四半期:1985/3~2016/3)
200
日本株のバブル
崩壊(1989/12)
150
中国:①4兆人民元
の大型景気対策
(2008/11)
②金融超緩和策
(2008/9~)
日本のピーク:149.2
(1 994/10-12)
中国
(年次:1960~2015)
(%)
50
中国: 169.1
(2 016/1-3)
40
日本:100.5
(2016/1-3)
30
日本
100
中国:97.2
(2008/7-9)
米国
米リーマンショック
(2008/9)
50
20
中国
米国:71.6
(2016/1-3)
米国
10
日本
0
0
85
90
95
00
05
10
15 (年)
60
65
70
75
80
85
90
95
00
05
10
15
(年)
(注)中国は1978年から
出所:中国国家統計局資料、米国商務省資料、日本内閣府資料よりみずほ証券作成
(注)中国は2006年1-3月期から
出所:国際決済銀行(BIS)資料よりみずほ証券作成
安定成長が優先、改
2016年7-9月期の実質GDP成長率は積極的な財政政策と緩和に向けた金融政
革先送り、不動産バ
ブルや人民元安等、
2017年以降、チャイ
ナリスクに要警戒か
策の調整により前年同期比+6.7%、1-9月期では同+6.7%と安定成長が維持されてい
るが、一方で無理な経済政策による企業や地方政府の債務リスクの増大が懸念さ
れる。また、中国政府は消費主導の成長へ緩やかな移行を進めているが、依然とし
て投資と輸出の経済への影響力が大きく、成長方式の転換が必要である。
さらに、中国の人口動態も考慮すると、「未富先老(豊かになる前に老いる)」に陥
る可能性が高まる方向にある。中国の潜在成長率が低下するなか、少子高齢化、
特に高齢化のスピードが速いため、将来的に社会保障費等の財政負担が増加し、
地方債務問題等を含めて財政問題が大きくなることが想定される。
過剰な設備と債務、ゾンビ企業(経営破たんの状況にあるものの、政府や銀行等
の支援により存続する企業)の整理、等の課題が山積するなか、構造改革が遅れて
いることは周知のとおりである。最近の不動産市場の過熱問題、根強い人民元下押
し圧力と外貨準備の減少リスク、等チャイナリスクへの警戒は市場関係者の間に高
まっている。国際通貨基金(IMF)のウエブサイトをみると、チャイナリスクに関する報
告書も増えている。中国の財政状況や外貨準備残高、等から金融リスクに対する対
応の余裕度があるように思われるが、現状の経済政策運営を維持すれば、17年以
降、チャイナリスクが金融危機の発生を招くことが否定できないため、習近平は権力
掌握の強化から経済状況と政策運営のかじ取りに集中すべきであろう。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
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グローバル・マクロ・トピックス
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をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税
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