州選挙は一矢報いる (PDF/484KB)

グローバル・マクロ・
トピックス
2016/
5/23
投資情報部
シニアエコノミスト
折原 豊水
インドは破産法成立で改革期待続く、州選挙は一矢報いる
 大型州議会選挙では与党BJPが一矢報い、昨年来の退潮に歯止め
 倒産・破産法が少数与党の上院でも成立、不良債権処理に弾み
 インドルピーは米利上げの前倒し観測受け上昇一服、今後は相対的に底堅い展開を見込む
州議会選挙では与党
が一矢報いる
インドでは4月から5月にかけて大型州議会選挙の投票が行われ、5/19に開票が
行われた。5つの州のうち、与党インド人民党(BJP)と最大野党国民会議派(INR)が
一騎打ちとなったアッサム州ではBJPが前回の5議席から躍進し、過半数近くまで増
加、INRは議席が約3分の1に減る惨敗となり、州与党の座を失った。そのほかの4州
では地域政党の勢力が強く、与党BJPの事前の議席が0であったが、今回も0ないし
数議席にとどまった。野党INRはケララ州でも共産党を中心とした左派連合に敗れ、
州与党の座を失っている。
モディ政権は、政権発足以来進めてきた経済改革が企業や金持ち優遇との批判
を受けたことや、BJP幹部によるイスラム教徒に対する宗教的な不寛容発言等もあっ
て2015年2月のデリー首都圏、11月のビハール州議会選挙で敗北し、モディ政権に
対する人気に陰りがみられていたなかで今回一矢報いた形だ。モディ首相は16年2
月に発表した16年度予算において、農民の所得倍増のため、農業生産用の灌漑
(かんがい)設備の投資増加、農民向け信用の増加、健康保険プログラムの導入等
の支援策を盛り込んだ。こうした政策が一部寄与した可能性がある。連邦上院の議
席分布は州議会の議席分布が反映される間接選挙のため、州議会選挙で劣勢が
続くと、憲法改正が必要な重要課題の進展が難しくなるおそれがある(上下両院で
各々3分の2の賛成等が必要)。今後は17年3月~5月ごろに5つの州議会が任期満
了となる。うち、BJPは1州で与党、1州で最大野党、その他は少数野党となってお
り、州選挙における劣勢を挽回(ばんかい)するか注目される。
少数与党の上院で
破産法成立、不良
債権の処理に弾み
モディ政権は5月上旬に倒産・破産法を成立させた。企業の破産処理を円滑にし
て銀行が不良債権の圧縮を行いやすくする。少数与党である上院でも成立に至っ
たことは評価される。今までインドに倒産・破産法に関する基本法がなく、複数の関
連法があるのみだったが、これらを統一した。管財人制度を新たに導入し、不良債
権処理に費やす期間に期限を設け、処理を促進する。不良債権比率は要管理債
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随
時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。
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グローバル・マクロ・トピックス
権を含めると、国営銀行を中心に10%を超える。シン前政権(INR)時代において、イ
ンフレ圧力や金融引き締めの長期化による景気減速、企業の土地買収の遅れによ
るインフラプロジェクトの遅延、環境アセスメントの厳格化による投資プロジェクトの認
可の遅れといったさまざまな要因が重なったことが大きい。政府は銀行に対する公
的資金を漸次注入しているが改善が遅れている。中銀は利下げを実施して貸出を
支援しているほか、政府は官民パートナーシップ(PPP)に加えて、政府自らインフラ
投資の増加を目指している。今回の破産・破産法成立が中期的に不良債権問題の
進展に寄与しよう。
ルピーは米利上げ
時期の前倒し観測
等を受け上昇一服
インドルピーは2016年2月末にかけて1ドル=68.7ルピー台までルピー安となったあ
と、注目された16年度予算案では、懸念されていた公務員の給与引き上げの影響
が限られ財政規律が維持されたことにより、4月初めにかけて66.2ルピー台まで上
昇、その後はグローバルなリスクオフや州議会選挙結果の見極め等により上値が重
くなり、66ルピー台で推移、5/19には米追加利上げ時期の前倒し観測等を受け、一
時67.2ルピー程度まで下落した。海外投資家の証券投資をみると、14年5月のモ
ディ政権発足前後から改革期待で堅調となったが、土地収用法や税制改革の行方
に不透明感が生じた15年春頃から弱含みとなった。足元は16年4月にかけてやや
持ち直しの兆しがみられる。
ルピーは相対的に
底堅い展開も
今後のインドルピーは、新興国通貨のなかで相対的に底堅く推移するとみてい
る。背景には、①モディ政権が州議会選挙で一矢報いたほか、2017年春前後の次
回州議会選挙まで期間が空く、②政府がトップダウンで決定できる事項等を中心に
投資促進に向けた動きが続いている、③銀行の不良債権問題が景気の重しとなっ
ているものの、中銀の利下げや公的資金の注入、不良資産の切り離しスキーム
(SPV)の導入、倒産・破産法の成立が寄与する、等が挙げられる。加えて、各州レベ
ルでは与党BJPが政権を担う州政府を中心に日本等の外国に州首相が投資誘致
のため積極的に訪問しており、インドに対する直接投資はこうした州を中心に2015
年は過去最高を更新していることも注目される。リスクとしては、米国の追加利上げ
観測の前倒しにより投資家のリスクオフが続く等が挙げられる。
この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する
最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全
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グローバル・マクロ・トピックス
海外機関投資家(FII)の証券投資とインドルピー相場
(月次:2009/1~2016/5)
(10億ドル)
(1ドル=ルピー)
8
6
4
2
0
▲2
▲4
▲6
▲8
40
44
48
52
56
60
64
68
72
09
10
11
12
13
14
株式投資(左目盛)
15
16
債券投資(左目盛)
(年)
インドルピー相場(右逆目盛)
(注)投資はネット・ベース、投資は4月まで、ルピーは5/18まで
出所:CEICデータよりみずほ証券作成
(1ルピー=円)
3.3
ルピー円 一目均衡表 (月次:1999/9/30~2016/5/19)
3.1
転換線
基準線
先行スパン2
遅行スパン
(1ルピー=円)
先行スパン1
3.3
3.1
2.9
2.9
2.7
2.7
2.5
2.5
2.3
2.3
2.1
2.1
1.9
1.9
1.7
1.7
1.5
1.5
1.3
1.3
00/02 01/10 03/06 05/02 06/10 08/06 10/02 11/10 13/06 15/02 16/10 18/06
(年/月)
出所:各種資料よりみずほ証券作成
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金融商品取引法に係る重要事項
グローバル・マクロ・トピックス
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