グローバル・マクロ・ トピックス 2016/ 6/30 投資情報部 シニアエコノミスト 折原 豊水 中銀新総裁はタカ派的姿勢を維持、レアルは上昇 ブラジル中銀はインフレレポートでタカ派的な姿勢を維持、物価安定には財政改革が重要とした 中銀のインフレ予想は物価目標を上回っており、近々に利下げを行う可能性は後退 中銀のタカ派的な姿勢は政策に対する信認回復に向けた一歩と市場は評価、レアルは英国の EU離脱を巡るリスクオフの一服もあり上昇 中銀はインフレレ ポートでタカ派的姿 勢を維持 ブラジル中央銀行(以下、中銀)は6/28、インフレレポートを発表した。6/13に ゴールドファイン氏が総裁に就任して初めてのインフレレポートとなる。6/8の中銀金 融政策委員会(COPOM)同様に、物価に対する警戒姿勢が維持され、近々に利下 げが行われる可能性は後退したとみずほ証券投資情報部ではみている。 中銀は物価見通しについて、政策金利を現行の14.25%で据え置くというリファレ ンス(参照)シナリオでは(次ページ中段の図表参照)、消費者物価は2017年末で 前年比+4.7%とインフレターゲット(17年は4.5%±1.5%)の目標値である+4.5%に近づ くとしている。前回3月時点(+4.9%)から改善した。 一方、政策金利等が市場予想(中銀が公表)に基づくとする市場シナリオベース では、2017年末時点で5.5%と前回の5.4%から小幅上昇し、目標値からかい離してい る。ここでいう市場予想とは、6/24時点のものでみると、16年末の政策金利は13.25% と1.0%の利下げ予想となっている。 利下げを行わないリファレンスシナリオでは物価の伸びが和らぐが、利下げを想 定している市場シナリオでは、17年末時点ではインフレ安定が遅れることを示唆して いる。 中銀は 物価安定や 景気回復に は 財政 改革が重要と強調 景気については2016年の経済成長率は前年比▲3.3%と、前回の同▲3.5%からマ イナス幅がやや縮小すると中銀は予想した。ただ先行き景気を回復させるために は、政府による財政改革が実行され、公的債務残高GDP比が低下することで企業 や家計のマインドが改善し、インフレ期待が沈静化することが重要であると強調して いる。また、総裁会見では、英国の欧州連合(EU)離脱決定が世界経済やブラジル この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 1 2016/6/30 グローバル・マクロ・トピックス 経済に与える影響は不透明であるとした。なお、ブラジルの物価については(天候 不順によって)内外の農産物価格の上昇に留意が必要と述べた。 近々の 利下げの 可 能性は後退 中銀はインフレレポートで2017年末にインフレターゲットの目標値(+4.5%)まで物 価を抑制したいという姿勢を維持した。上記の中銀の物価見通しからすれば次回 7/19~20や、8/30~31の中銀会合で利下げを行う可能性はほぼなくなったのでは ないか。その後は10/18~19、11/29~30が予定されているが、年内1~2回の利下 げにとどまろう。政策金利は16年末時点で13.25%~13.75%を予想している。 ブラジル中央銀行のインフレ予想 ブラジル政策金利とインフレ率 (%) 30 (月次:2001/1~2016/6) 26.5 政策金利 消費者物価(IPCA) 実質金利 25 19.75 20 16.0 15 11.25 8.75 10 5 13.75 12.5 7.25 14.25 9.3 4.9 レンジ 0 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) (注)レンジはインフレターゲット(06年以降は+2.5%~+6.5%)、17年は+3.0%~+6.0% 実質金利=政策金利-インフレ率(IPCA)、実質金利、消費者物価は5月まで 出所:ブラジル中銀、IBGEの資料よりみずほ証券作成 16年1Q 2Q 3Q 4Q 17年1Q 2Q 3Q 4Q 18年1Q 2Q リファレンス マーケット シナリオ シナリオ 6月時点 3月時点 6月時点 3月時点 --9.5 --9.5 8.8 8.7 8.8 8.7 8.2 8.0 8.2 8.1 6.9 6.6 7.0 6.9 5.9 5.6 6.1 6.0 5.2 5.2 5.6 5.7 5.0 5.2 5.6 5.7 4.7 4.9 5.5 5.4 4.4 4.5 5.5 5.0 4.2 --5.5 --- (注)数字は消費者物価(IPCA)の前年同月比(%)、 リファレンスシナリオは政策金利や為替を直近値で据え置いた場合、 マーケットシナリオは政策金利や為替を市場予想を用いた場合、 インフレターゲットは16年は4.5%±2.0%、17年は4.5%±1.5% 出所:ブラジル中央銀行資料よりみずほ証券作成 市場は中銀のタカ派 的な姿勢を評価、レ アルは上昇 ブラジルレアルは6/28、1ドル=3.30レアルと年初来高値を更新した。国民投票に おける英国のEU離脱決定にともなうグローバルなリスクオフがいったん和らいだこと でその他の新興国通貨とともに上昇した。加えて、ブラジル国内では、前述のように 中銀のインフレレポートにおいてタカ派的な姿勢が維持され、政府の財政改革とと もに政策に対する信認回復に向けた一歩と評価されたことも寄与したようだ。 レアルは改革期待で 底堅い展開、英国の EU 離脱を 巡る 市場 の混乱に留意 今後は、レアルはしばらく底堅く推移するとみられる。背景には、テメル暫定政権 が議会と協調して、一部修正しつつも財政改革法案が成立する可能性があることが 挙げられる。また、8月に予定されるルセフ大統領の弾劾裁判で罷免が成立すれ ば、テメル氏が正式に大統領となり、8月下旬にスタートする10月の大型地方選挙で 与党民主運動党(PMDB)等が野党労働者党(PT)に有利な戦いをすることができる とみられる。ファンダメンタルズ面ではインフレ圧力の緩和や財政改革期待等によ り、消費マインドが改善し景気悪化ペースが和らぐ兆しがあることも挙げられる。 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 2 2016/6/30 グローバル・マクロ・トピックス リスクとしては、英国のEUからの離脱交渉がスムーズにいくのか、その他のEU加 盟国においてもEU離脱への動きが盛り上がるのかといった不透明感がくすぶること が挙げられる。こうしたことにより世界の金融市場で不安定な動きが続いた場合、主 要先進国の中銀による流動性供給等の政策協調があるのか注目される。市場の混 乱が早期に収束するようであれば、英国のEU離脱のブラジルに対する影響は限定 的になるとみている。というのも、英国のブラジルからの輸入はブラジルのGDP比で 0.2%(2015年)、英国からブラジルへの直接投資残高はGDP比1.0%(14年:英国統 計局)と小さいためである。 米ドル・ブラジルレアルと原油価格 (日次:2014/1/2~2016/6/28) (1ドル=レアル) ドル・レアル(左逆目盛) 2.00 2.50 14年半ば~ 原油価格下落 3.00 3.50 4.50 14 100 大統領弾劾等 で政治混乱 70 90 80 60 40 30 政権交代期待・原油反発 15 16 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 20 10 (年) 英国の国別輸入額と各国GDP比 英国のEU離脱決定を受けた6/23~6/24の対ドル騰落率 日本円 中国元 インドネシア ルピア インド ルピー ブラジル レアル スイス フラン チリ ペソ ニュージーランド ドル マレーシア リンギ カナダ ドル オーストラリア ドル ロシア ルーブル ノルウェー クローネ チェコ コルナ ユーロ 韓国 ウォン トルコ リラ ハンガリー フォリント アルゼンチン ペソ スウェーデン クローナ メキシコ ペソ ポーランド ズロチ 南アフリカ ランド 英ポンド 110 15年夏・米利上げ観測 15/8・人民元ショック 15/9・格付けジャンクに 50 14年秋~ ペトロブラス汚職疑惑 14年10月 ルセフ大統領再選 4.00 (1バレル=ドル) WTI原油価格(右目盛) 輸入額 輸入シェア 各国GDP比 100万ドル (%) (%) ユーロ圏 291,196 46.5 2.5 ドイツ 92,573 14.8 2.8 中国 61,227 9.8 0.6 米国 57,586 9.2 0.3 オランダ 47,195 7.5 6.4 フランス 36,186 5.8 1.5 ベルギー 31,295 5.0 6.9 イタリア 24,043 3.8 1.3 スペイン 21,336 3.4 1.8 ノルウェー 19,014 3.0 4.9 アイルランド 19,150 3.1 8.0 カナダ 13,318 2.1 0.9 ポーランド 12,402 2.0 2.6 トルコ 10,584 1.7 1.4 スイス 9,764 1.6 1.5 日本 9,534 1.5 0.2 ロシア 6,793 1.1 0.5 南アフリカ 5,750 0.9 1.8 ブラジル 3,742 0.6 0.2 (注)2015年データ、網掛けは新興国 出所:IMFデータよりみずほ証券作成 国名 ▲ 10 ▲ 8 ▲ 6 ▲ 4 ▲ 2 0 2 4 (%) 出所:ブルームバーグのデータよりみずほ証券作成 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 3 2016/6/30 金融商品取引法に係る重要事項 グローバル・マクロ・トピックス ■国内株式のリスク リスク要因として株価変動リスクと発行者の信用リスクがあります。株価の下落や発行者の信用状況の悪化 等により、投資元本を割り込むことがあり、損失を被ることがあります。 ■国内株式の手数料等諸費用について ○国内株式の売買取引には、約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託手数料を ご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込 み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○株式を募集等により購入する場合は、購入対価のみをお支払いいただきます。 ○保護預かり口座管理料は無料です。 ■外国株式のリスク ○外国株式投資にあたっては、株価変動リスク、発行者の信用リスク、為替変動リスク(平価切り下げ等も含 む)、国や地域の経済情勢等のカントリーリスクがあります。それぞれの状況悪化等により投資元本を割り込 むことがあり、損失を被ることがあります。 ○現地の税法、会計基準、証券取引に関連する法令諸規則の変更により、当該証券の価格に大きな影響を与 えることがあります。 ○各国の取引ルールの違いにより、取引開始前にご注文されても、始値で約定されない場合や、ご注文内容が 当該証券の高値、安値の範囲であっても約定されない場合があります。 ○外国株式において有償増資等が行われた場合は、外国証券取引口座約款の内容に基づき、原則権利を売 却してお客さまの口座に売却代金を支払うことになります。ただし、権利売却市場が存在しない場合や売却市 場があっても当該証券の流動性が低い場合等は、権利売却ができないことがあります。また、権利が発生し ても本邦投資家が取り扱いできないことがあります。 ○外国株式の銘柄(国内取引所上場銘柄および国内非上場公募銘柄等を除く)については、わが国の金融商 品取引法に基づいた発行者開示は行われていません。 ■外国株式の手数料等諸費用について ○外国委託取引 国内取次手数料と現地でかかる手数料および諸費用の両方が必要となります。現地でかかる手数料および 諸費用の額は金融商品取引所によって異なりますので、その金額をあらかじめ記載することはできません。 詳細は当社の担当者までお問い合わせください。国内取次手数料は、約定代金 30 万円超の場合、約定代金 に対して最大 1.08%+2,700 円(税込み)、約定代金 55,000 円超 30 万円以下の場合、一律 5,940 円(税込み)、 約定代金 55,000 円以下の場合、約定代金に対して一律 10.8%(税込み)の手数料をご負担いただきます。 ○国内店頭(仕切り)取引 お客さまの購入単価および売却単価を当社が提示します。単価には手数料相当額が含まれていますので別 途手数料および諸費用はかかりません。 ○国内委託取引 当社の国内株式手数料に準じます。約定代金に対して最大 1.134%(税込み)、最低 2,700 円(税込み)の委託 手数料をご負担いただきます。ただし、売却時に限り、約定代金が 2,700 円未満の場合には、約定代金に 97.2%(税込み)を乗じた金額を委託手数料としてご負担いただきます。 ○外国証券取引口座 外国証券取引口座を開設されていないお客さまは、外国証券取引口座の開設が必要となります。外国証券 取引口座管理料は無料です。 外貨建商品等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際には、外国為替市場の動向をふまえて当社が決 定した為替レートによるものとします。 商品ごとに手数料等およびリスクは異なりますので、当該商品等の契約締結前交付書面や目論見書または お客さま向け資料等をよくお読みください。 商 号 等 : みずほ証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第 94 号 加入協会 : 日本証券業協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人金融先物取引業協会、 一般社団法人第二種金融商品取引業協会 広告審査番号 : MG5690-160630-01 この資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を目的としたものではありません。銘柄の選択、投資に関する 最終決定はご自身の判断でお願いいたします。また、本資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成したものですが、その正確性、完全 性を保証したものではありません。本資料に示された意見や予測は、資料作成時点での当社の見通しであり今後予告なしに当社の判断で随 時変更することがあります。最終ページに金融商品取引法に係る重要事項を掲載していますのでご覧ください。 4
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