2016年末賞与の見通し-一人当たり支給額が2年ぶりのプラスに

No.2016-036
2016年11月8日
http://www.jri.co.jp
2016年末賞与の見通し
― 一人当たり支給額が2年ぶりのプラスに ―
(1)今冬の賞与を展望すると、民間企業の一人当たり支給額は前年比+1.2%と年末賞与としては
2年ぶりのプラスとなる見込み(図表1)。
(*)厚生労働省「毎月勤労統計」事業所規模5人以上ベース。
(2)背景には、雇用・所得環境の改善傾向の持続。雇用面についてみると、2015年以降、非正規
雇用者だけでなく、正規雇用者の増加が持続(図表2)。賃金面でも、所定内給与が前年比プ
ラスを維持しており、賞与算定の基となる月例給の押し上げに作用。
(3)一方で、2015年末以降の円高傾向により、2016年度上半期の企業収益は悪化傾向(図表3)。
このため、中小企業を中心に賞与支給に慎重な姿勢が広がる見込み。もっとも、大企業では、
年間の賞与支給ファンドを夏前に決めておく「夏冬方式」が全体の6割強を占めるため、今年
末賞与は夏季に続き底堅く推移し、平均賞与額を下支えする見込み。
(4)賞与支給総額は、同+2.9%増加する見込み(図表4)。夏季に比べると、一人当たり支給額
の伸び率低下に加え、支給労働者数の増加も鈍化し、緩やかな増加にとどまる見込み。
(5)国家公務員は、同+9.4%の大幅増加となる見込み。もっとも、昨年の年末賞与において、人事
院勧告実施のための法案成立が年明け後に遅れ、支給が勧告実施前の水準にとどまった反動の
影響が大。昨年の勧告実施後の水準との比較では、同+3.8%。
(図表2) 一般労働者の所定内給与と雇用者数(前年比)
(図表1) 2016年末賞与(一人当たり)の見通し
(前年比、%)
民間企業
製造業
2015年夏季
(実績)
2015年末
(実績)
2016年夏季
(実績)
2016年末
(予測)
支給額
(万円)
非製造業
国家
公務員
▲ 2.8
▲ 3.3
▲ 2.7
5.7
▲ 0.3
1.1
▲ 0.6
▲ 4.8
2.3
0.5
2.7
1.6
1.2
0.4
1.4
9.4
37.5
50.0
35.0
72.1
(資料)厚生労働省、総務省、人事院、予測は日本総合研究所
(図表3) 円ドルレートと経常利益の見通し
(日銀短観9月調査)
製造業経常利益(前年比、左目盛)
非製造業経常利益(前年比、左目盛)
円ドルレート(右目盛)
円高
40
30
(%)
20
見込み
10
0
▲10
▲20
▲30
15
16
(資料)日本銀行
(注)2016年11月の円ドルレートは4日までの平均。
非正規
正規
雇用者数(左目盛)
所定内給与(右目盛)
5.0
4.5
4.0
3.5
3.0
2.5
(%)
2.0
1.5
1.0
0.5
0.0
▲ 0.5
▲ 1.0
▲ 1.5
12
13
14
(資料)厚生労働省、総務省
(注)雇用者は役員を除く。
15
(%)
0.6
0.4
0.2
0.0
▲ 0.2
▲ 0.4
▲ 0.6
▲ 0.8
▲ 1.0
▲ 1.2
▲ 1.4
▲ 1.6
▲ 1.8
▲ 2.0
16
(年/期)
(図表4) 賞与支給総額(前年比)
賞与支給労働者割合夏季(右目盛)
(円/ドル)
130
120
110
100
90
80
70
60
50
40
(年度/半期、月)
12
11
10
9
8
7
(%)
6
5
4
3
2
1
0
▲1
▲2
▲3
2011
同年末(右目盛)
予測
支給労働者数
一人当たり
支給総額(左目盛)
12
(資料)厚生労働省
13
14
15
(%)
86
84
82
80
78
76
74
72
70
68
66
64
62
60
16
(年度/半期)
【ご照会先】調査部 主任研究員 小方尚子([email protected] , 03-6833-0478)