平成 28 年(2016 年)6 月 22 日 東海経済レポート (2016 年 6 月) ~引き続き緩やかな回復基調ながら、一部に足踏みの動きも~ 【足元の経済情勢と当面の見通し】 東海経済は、全体として緩やかな回復基調を維持しているが、一部に足踏みの動き も見られる。生産は熊本地震の影響等に伴う一時的要因を除けば輸送機械を中心に 持ち直しを続けているうえ、消費も総じて底堅く推移している。ただ、設備投資は 足元で減速しているうえ、先行指標にも慎重な動きが見られる。輸出も直近 2 ヵ 月、減少を続けている。 生産は、4 月の鉱工業生産指数が前月比▲1.5%と 2 ヵ月振りに低下。業種別に みると、主力の輸送機械が熊本地震に伴う生産停止の影響等から同▲3.4%と 落ち込み、全体を押し下げた。電子部品・デバイスも同▲2.5%と 2 ヵ月振り に減少。一時的要因を除けば、輸送機械を中心に持ち直し基調は変わらず。 設備投資は、大企業の 1-3 月期の投資額で前年比+0.1%と伸び率が大幅に縮小 した。その先行指標とされる金属工作機械の 4 月の国内受注額は同▲2.2%と 7 ヵ月連続で減少。最大の受注先である一般機械工業からの受注は 3 月に 6 ヵ 月振りに前年比増加に転じたものの、4 月は再びマイナスへ転じ、自動車工業 からの受注も同▲5.7%と 3 ヵ月連続でマイナスとなった。 輸出額(円ベース)は、5 月に前月比▲0.4%と 2 ヵ月連続で減少。地域別では 中東向けが同+10.7%となったものの、中国向けが同▲7.1%、米国向けも同 ▲6.5%など、多くの地域向けで減少。品目別では、電気機器が同▲8.5%と大 幅に減少したほか、一般機械も同▲1.6%のマイナスとなった。 雇用は、需給の引き締まった状況が継続。4 月の有効求人倍率は、愛知県が 1.61 倍、岐阜県が 1.77 倍、三重県が 1.39 倍と 3 県揃って上昇。水準として は、岐阜県が 1992 年 7 月以来、三重県が 2007 年 8 月以来の高水準。愛知県も リーマン・ショック後で 2 番目に高い水準となった。 個人消費は、4 月の小売主要 3 業態の販売が前年比+1.3%と、13 ヵ月連続でプ ラス。百貨店が 4 ヵ月連続で前年割れとなったものの、スーパーとコンビニ の販売額が堅調で、全体を牽引。一方、4 月の新車販売台数は同+4.6%と、 8 ヵ月振りにプラスへ転じた。 住宅着工は、4 月に年率換算で 8.1 万戸、前月比▲7.3%。持ち直しの動きは足 踏みとなった。利用関係別では、持家と貸家が共に同 2 桁減と落ち込んだ。 1 【生産①】 【生産②】 4 月の鉱工業生産指数は前月比▲1.5%と 2 ヵ月振り 業種別では、ウェイトの大きい輸送機械が前月比 に低下。地震に伴う生産停止が水準を下押し。 ▲3.4%と再び減少し、全体を下押し。 鉱工業生産指数 125 業種別の鉱工業生産(東海) (2010年=100) 160 120 東海 115 全国 (2008/1=100) 140 120 110 105 100 95 90 85 80 300 輸送機械〈左目盛〉(36.5%) 生産用機械〈左目盛〉(6.0%) 電気機械〈左目盛〉(5.6%) 電子部品・デバイス〈右目盛〉(9.5%) 260 220 100 180 80 140 60 100 40 60 20 20 16 (年) 75 70 08 09 10 11 12 13 14 15 (注)1. 『東海』は愛知、岐阜、三重の3県。 2. ( )内の数値は、業種毎の付加価値額の比率(H22年基準。 中部経済産業局算出) (資料)中部経済産業局統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 65 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) (注)『東海』は愛知、岐阜、三重の3県。 (資料)中部経済産業局統計等より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 【設備投資】 【金属工作機械受注(国内)】 1-3 月期の大企業の設備投資は、前年比+0.1%とプラ 金属工作機械の国内受注額は 4 月に前年比▲2.2% ス幅が大幅に縮小。 と、7 ヵ月連続でマイナス。 大企業の設備投資 金属工作機械国内受注額 (前年比、%) 百 50 350 (前年比、%) (億円) 受注額(東海) 前年比(東海)〈右目盛〉 前年比(全国)〈右目盛〉 40 300 30 20 250 200 250 150 200 100 150 50 100 0 10 0 -10 -20 非製造業(東海) 製造業(東海) 全産業(東海) 全産業(全国) -30 -40 50 -50 0 -100 -50 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 (注)1. 『東海』は愛知、岐阜、静岡、三重の4県。 2. 資本金10億円以上の企業を対象。 3. 設備投資額はソフトウェアへの投資を除いた金額。 (資料)東海財務局統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 15 16 (年) 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) (注)1. 東海は中部経済産業局管内の主要8社。 2. 『受注額』は当室にて季節調整。 (資料)中部経済産業局統計等より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 【輸出】 【雇用】 5 月の輸出額(円ベース)は、前月比▲0.4%と 2 ヵ 4 月の有効求人倍率は愛知県で 1.61 倍、岐阜県は 月連続で減少。米国、中国向けの減少が主因。 1.77 倍、三重県は 1.39 倍と 3 県揃って上昇。 円建て輸出金額(東海、相手国・地域別) 150 130 有効求人倍率 (2008/1=100) 輸出全体 米国(29%) アジア(除く中国)(23%) 中国(13%) EU(13%) 2.2 2.0 1.8 110 1.6 (倍) 愛知県 岐阜県 三重県 静岡県 全国 1.4 90 1.2 70 1.0 0.8 50 0.6 30 08 09 10 11 12 13 14 15 (注)1. 『東海』は名古屋税関管内(愛知、岐阜、三重、静岡、長野)。 2. 当室にて季節調整。 3. ( )内の数値は2015年輸出総額に占めるシェア。 (資料)名古屋税関統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 0.4 16 (年) 0.2 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) (注)『有効求人倍率』は、「有効求人数」を「有効求職者数」で除したもの。 (資料)厚生労働省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 2 【個人消費】 【住宅投資】 4 月の小売主要 3 業態の販売は前年比+1.3%と 13 ヵ 4 月の住宅着工戸数は年率換算で 8.1 万戸、前月比 月連続でプラス。 ▲7.3%。持ち直しの動きは一旦、足踏みとなった。 小売主要3業態の販売動向(中部) 16 新設住宅着工戸数(東海) (前年比、%) 11 コンビニ スーパー 百貨店 合計 12 (年率、万戸) 10 9 8 8 7 6 4 5 4 0 3 持家 マンション 誤差等 2 -4 1 戸建て 貸家 0 -8 12 13 14 15 (注)1. 『中部』は愛知、岐阜、三重、富山、石川の5県。 2. 当室にて季節調整。 (資料)中部経済産業局統計等より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 16 (年) 【景気ウォッチャー調査】 16 (年) 11 12 13 14 15 (注)1. 『東海』は愛知、岐阜、三重の3県。 2. 当室にて季節調整。 (資料)国土交通省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 【倒産件数】 5 月の景気現状判断 DI は 42.2 と、10 ヵ月連続で 5 月の企業倒産件数は 98 件と、前年比では横ばい。 50.0 を下回り、2014 年 11 月以来の水準まで低下。 負債総額は同+74.1%と 6 ヵ月振りに前年比増加。 企業倒産(東海) 景気現状判断DI 60 (DI) 1,600 55 (件数) (億円) 負債総額〈左目盛〉 件数〈右目盛〉 1,400 220 200 50 1,200 180 40 1,000 160 35 800 140 600 120 400 100 200 80 0 60 45 30 25 20 東海 15 全国 10 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 (年) (注)『東海』は愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県。 (資料)東京商工リサーチ資料より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 (注)『東海』は愛知、岐阜、三重、静岡の4県。 (資料)内閣府資料より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 【原油価格】 【円相場・株価】 WTI 先物は、シェールオイルの減産等を背景とした 英国の EU 残留・離脱を決める国民投票を控え、円相 供給過剰感後退から、1 バレル 50 ドル前後で推移。 場、株価共にリスク回避の動きが顕著。 原油価格 160 円相場・株価 (ドル/バレル) 135 (円) (円/ドル) 21,000 ドル円相場 140 125 日経平均株価〈右目盛〉 18,500 120 100 80 115 16,000 105 13,500 95 11,000 85 8,500 60 40 20 0 07 08 09 10 11 12 13 14 (注)『原油価格』はWTI先物。 (資料)Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 15 16 (年) 75 07 08 09 10 11 12 13 14 15 (資料)Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成 3 6,000 16 (年) 照会先:三菱東京 UFJ 銀行 経済調査室(名古屋) 中村 健彦 [email protected] 当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、金融商品の販売や投資など何らかの行動を勧誘する ものではありません。ご利用に関しては、すべてお客様御自身でご判断下さいますよう、宜しくお願い申し上げ ます。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当室はその正確性を保証するもので はありません。内容は予告なしに変更することがありますので、予めご了承下さい。また、当資料は著作物であ り、著作権法により保護されております。全文または一部を転載する場合は出所を明記してください。また、当 資料全文は、弊行ホームページでもご覧いただけます。 4
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