No.2016-003 2016年4月15日 http://www.jri.co.jp 中国経済の下支えとなる政策金融 (1)中国経済は、当局のてこ入れ策により、一部に持ち直しの動きも。国有企業や政府機関が 固定資産投資を積極化しているほか、インフラ投資にも底入れの動き(図表1)。これら を受け、3月の製造業PMIは8カ月ぶりに「50」超に持ち直し。 (2)政策金融が強化されるなか、先行き、国有企業と政府機関の固定資産投資は高い伸びを維 持し、インフラ投資は加速する見通し。 (3)実際、2014年4月に中国人民銀行が国家開発銀行、中国輸出入銀行、中国農業発展銀行向 けに新設した資産担保を条件とした長期低利資金貸出制度であるPSL(Pledged Supplementary Lending)の残高は、2016年3月末に1兆3,948億元に急拡大(約24兆円、 図表2)。また、2015年8月には国家開発銀行、中国農業発展銀行が中国郵政貯蓄銀行を 引受先とするインフラ向け金融債(私募債)を発行し、計3,000億元を調達。GDPの 2.5%にあたるこれら1.7兆元(約29兆円)が公共投資に回れば、大きな景気下支え要因に。 (4)もっとも、バランスシート調整下、金融政策や減税の効果が従来に比べて現れておらず、 民間部門の経済活動は引き続き減速(図表3)。公共投資の役割は失業者の急増を伴う景 気失速の回避にとどまり、先行き、景気を大きく押し上げる展開には至らない見通し (図表4)。 (図表1)国有企業の固定資産投資と インフラ投資(年初累計、前年比) (図表2)PSLの残高 (%) インフラ投資(除く電力) 26 国有企業(含む政府機関)の固定資産投資 24 22 20 18 16 14 12 10 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 4 5 6 7 8 9 101112 1 2 3 2014 15 25 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 2015年末 16 (年/月) (資料)国家統計局「全国固定資産投資」 (注1)国家統計局は2014年4月からインフラ投資(除く電力)の データ発表を開始。名目GDPの約8%はインフラ投資。 (注2)名目GDPの約16%は国有企業の固定資産投資。 (%) 30 (億元) 14,000 (図表3)民間固定資産投資 (年初累計、前年比) 全体<100> 第2次産業<50> 第3次産業<46> (資料)中国人民銀行「中国貨幣政策執行報告」、各種報道 (注)PSL(Pledged Supplementary Lending)とは、2014年4月に中国人 民銀行が新設した国家開発銀行、中国輸出入銀行、中国農業発 展銀行向けの、資産担保を条件とした長期低利資金貸出制度。 (図表4)実質GDP成長率(前年比) (%) 13 12 20 11 15 10 10 2016年3月末 見通し 9 5 8 0 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 5 7 9 11 1 3 2012 13 14 15 16 (資料)国家統計局「民間固定資産投資」 (年/月) (注1)名目GDPの約28%は民間固定資産投資。 (注2)業種別の民間固定資産投資の統計開始が2012年3月。 (注3)<>内は2015年のシェア。 7 6 2008 09 10 11 12 13 14 15 16 17 (年/期) (資料)国家統計局「国民経済計算」を基に日本総研作成 【ご照会先】調査部 副主任研究員 関辰一 ([email protected] , 03-6833-6157) 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 17 16 15 14 13
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