2016年8月 - 三菱東京UFJ銀行

平成 28 年(2016 年)8 月 23 日
東海経済レポート
(2016 年 8 月)
~企業・家計部門ともに一進一退の状態で、全体としては略横這い~
【足元の経済情勢と当面の見通し】
 東海経済は企業部門と家計部門がともに一進一退の推移で、総じて横這いの状況。
企業部門は、生産が一過性の要因(熊本地震による生産停止等)に伴う減速から持
ち直しに転じたものの、設備投資や輸出は円高の影響等もあって足踏みが見られ
る。家計部門は、雇用環境は引き締まった状況にあるものの、個人消費には一部弱
さが残る。
 生産は、6 月の鉱工業生産指数が前月比+4.9%と 3 ヵ月ぶりに上昇。業種別に
みると、主力の輸送機械が同+6.0%と 2 ヵ月連続の増加となり、2 月以降の相
次ぐ一過性要因での生産停止分の挽回生産が本格化している。電子部品・デ
バイス、電気機械も増加に転じ、生産全体の持ち直しに寄与した。
 設備投資は、その先行指標とされる金属工作機械の 6 月の国内受注額が前年
比▲18.6%と 9 ヵ月連続で減少。最大の受注先である一般機械工業からの受注
が 3 ヵ月連続の前年割れとなったうえ、自動車工業からの受注も 5 ヵ月連続
で減少するなど、受注の約 8 割を占める業種からの発注が低迷している。
 輸出額(円ベース)は、7 月に前月比▲7.4%と 2 ヵ月ぶりに減少。EU 向けが
同▲10.6%、アジア向けが同▲7.2%、中東向けが同▲20.6%と、主要地域向け
がいずれも減少。品目別でも、自動車が同▲7.3%と 3 ヵ月ぶりに減少したほ
か、一般機械が同▲7.1%、自動車部品が同▲6.6%と、軒並み減少となった。
 雇用は、需給の引き締まった状況が継続。6 月の有効求人倍率は、愛知県が
1.61 倍、岐阜県が 1.73 倍と、いずれも 4 ヵ月ぶりに低下。一方、三重県は
1.42 倍と 3 ヵ月連続で上昇。水準としては、3 県ともリーマン・ショック後の
最高レベルで推移中。
 個人消費は、6 月の小売主要 3 業態の販売が前年比+1.2%と、2 ヵ月ぶりにプ
ラスへ転じた。百貨店は 6 ヵ月連続で前年割れとなったものの、堅調なコン
ビニに加え、スーパーの販売額も前年比増加となり、全体でもプラスとなっ
た。一方、6 月の新車販売台数は同▲6.9%と、2 ヵ月連続の減少となった。
 住宅着工は、6 月に年率換算で 8.3 万戸、前月比▲0.6%。利用関係別では、貸
家と分譲が減少となった。
1
【生産①】
【生産②】
6 月の鉱工業生産指数は前月比+4.9%と 3 ヵ月ぶりに 業種別では、ウェイトの大きい輸送機械が前月比
上昇。持ち直しの動きが見られる。
+6.0%と 2 ヵ月連続で増加し、全体を牽引。
鉱工業生産指数
125
業種別の鉱工業生産(東海)
(2010年=100)
160
120
東海
115
全国
(2008/1=100)
140
120
110
105
100
95
90
85
80
300
輸送機械〈左目盛〉(36.5%)
生産用機械〈左目盛〉(6.0%)
電気機械〈左目盛〉(5.6%)
電子部品・デバイス〈右目盛〉(9.5%)
260
220
100
180
80
140
60
100
40
60
20
20
75
70
08
09
10
11
12
13
14
15
16 (年)
(注)1. 『東海』は愛知、岐阜、三重の3県。
2. ( )内の数値は、業種毎の付加価値額の比率(H22年基準。
中部経済産業局算出)
(資料)中部経済産業局統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
65
08
09
10
11
12
13
14
15
16 (年)
(注)『東海』は愛知、岐阜、三重の3県。
(資料)中部経済産業局統計等より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
【設備投資】
【金属工作機械受注(国内)】
1-3 月期の大企業の設備投資は、前年比+0.1%とプラ 金属工作機械の国内受注額は 6 月に前年比▲18.6%
ス幅が大きく縮小。
と、9 ヵ月連続でマイナス。
大企業の設備投資
金属工作機械国内受注額
(前年比、%)
百
30
20
350
(前年比、%)
(億円)
受注額(東海)
前年比(東海)〈右目盛〉
前年比(全国)〈右目盛〉
300
10
250
200
250
150
200
100
150
50
100
0
0
-10
-20
非製造業(東海)
製造業(東海)
全産業(東海)
全産業(全国)
-30
-40
50
-50
0
-100
-50
08
09
10
11
12
13
14
15
(注)1. 『東海』は愛知、岐阜、静岡、三重の4県。
2. 資本金10億円以上の企業を対象。
3. 設備投資額はソフトウェアへの投資を除いた金額。
(資料)東海財務局統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
16 (年)
08
09
10
11
12
13
14
15
16 (年)
(注)1. 東海は中部経済産業局管内の主要8社。
2. 『受注額』は当室にて季節調整。
(資料)中部経済産業局統計等より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
【輸出】
【雇用】
7 月の輸出額(円ベース)は、前月比▲7.4%と 2 ヵ 6 月の有効求人倍率は愛知県で 1.61 倍、岐阜県は
月ぶりにマイナス転化。多くの地域向けが減少。
1.73 倍と低下した一方、三重県は 1.42 倍と上昇。
円建て輸出金額(東海、相手国・地域別)
150
130
有効求人倍率
(2008/1=100)
輸出全体
米国(29%)
アジア(除く中国)(23%)
中国(13%)
EU(13%)
2.2
2.0
1.8
110
1.6
(倍)
愛知県
岐阜県
三重県
静岡県
全国
1.4
90
1.2
70
1.0
0.8
50
0.6
30
08
09
10
11
12
13
14
15
(注)1. 『東海』は名古屋税関管内(愛知、岐阜、三重、静岡、長野)。
2. 当室にて季節調整。
3. ( )内の数値は2015年輸出総額に占めるシェア。
(資料)名古屋税関統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
16
0.4
(年)
0.2
08
09
10
11
12
13
14
15
16 (年)
(注)『有効求人倍率』は、「有効求人数」を「有効求職者数」で除したもの。
(資料)厚生労働省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
2
【個人消費】
【住宅投資】
6 月の小売主要 3 業態の販売は前年比+1.2%と 2 ヵ月 6 月の住宅着工戸数は年率換算で 8.3 万戸、前月比
ぶりにプラスへ転じた。スーパーがプラスに復調。 ▲0.6%。持ち直しの動きはいったん足踏み。
小売主要3業態の販売動向(中部)
16
新設住宅着工戸数(東海)
(前年比、%)
11
コンビニ
スーパー
百貨店
合計
12
(年率、万戸)
10
9
8
8
7
6
4
5
4
0
3
持家
マンション
誤差等
2
-4
1
戸建て
貸家
0
-8
(年)
12
13
14
15
16
(注)1. 『中部』は愛知、岐阜、三重、富山、石川の5県。
2. 当室にて季節調整。
(資料)中部経済産業局統計等より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
【景気ウォッチャー調査】
11
12
13
14
15
(注)1. 『東海』は愛知、岐阜、三重の3県。
2. 当室にて季節調整。
(資料)国土交通省統計より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
(年)
16
【倒産件数】
7 月の景気現状判断 DI は 44.2 と、12 ヵ月連続で 7 月の企業倒産件数は 97 件と、前年比+3.2%の増
50.0 を下回るも、4 ヵ月ぶりに上昇。
加。負債総額も同+61.7%の増加。
企業倒産(東海)
景気現状判断DI
60 (DI)
1,600
55
(件数)
(億円)
負債総額〈左目盛〉
件数〈右目盛〉
1,400
220
200
50
1,200
180
40
1,000
160
35
800
140
600
120
400
100
200
80
0
60
45
30
25
20
東海
15
全国
10
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16 (年)
07
08
09
10
11
12
13
14
15
16 (年)
(注)『東海』は愛知、岐阜、三重、静岡、長野の5県。
(資料)東京商工リサーチ資料より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
(注)『東海』は愛知、岐阜、三重、静岡の4県。
(資料)内閣府資料より三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
【原油価格】
【円相場・株価】
WTI 先物は、9 月の OPEC 非公式会合での生産調整 米国の追加利上げ観測の後退等から、円相場は円高基
の進展期待等から、1 バレル 48 ドル前後まで上昇。 調で推移。業績下押し要因として、株価にも影響。
原油価格
160
円相場・株価
(ドル/バレル)
135
(円)
(円/ドル)
21,000
ドル円相場
140
125
日経平均株価〈右目盛〉
18,500
120
100
80
115
16,000
105
13,500
95
11,000
85
8,500
60
40
20
0
07
08
09
10
11
12
13
14
(注)『原油価格』はWTI先物。
(資料)Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
15
16 (年)
75
07
08
09
10
11
12
13
14
15
(資料)Bloombergより三菱東京UFJ銀行経済調査室作成
3
6,000
16 (年)
照会先:三菱東京 UFJ 銀行 経済調査室(名古屋)
中村 健彦
[email protected]
当資料は情報提供のみを目的として作成されたものであり、金融商品の販売や投資など何らかの行動を勧誘する
ものではありません。ご利用に関しては、すべてお客様御自身でご判断下さいますよう、宜しくお願い申し上げ
ます。当資料は信頼できると思われる情報に基づいて作成されていますが、当室はその正確性を保証するもので
はありません。内容は予告なしに変更することがありますので、予めご了承下さい。また、当資料は著作物であ
り、著作権法により保護されております。全文または一部を転載する場合は出所を明記してください。また、当
資料全文は、弊行ホームページでもご覧いただけます。
4