2015 システム制御理論特論レポート課題 (山下教授分)

2015 システム制御理論特論レポート課題 (山下教授分)
提出は 2015 年 8 月 21 日。山下教授室 (4-01 室) まで。
ただし,今年度が最終年度 (M2, D3) の者はメール提出可で 8 月 16 日 (日) 正午まで。
図のような鉛直面内を動く機構を考える。質量 m2 の車台が壁にばね定数 k のばねでつながれてい
る。ばねが自然長となっている時の位置を基準とし、ばねの伸びを z とする。また、車台の上に駆
動関節によって倒立振子が設置され、振子の先 ℓ の位置に質量 m1 があるものとする。振子のリン
ク部分の質量は無視する。鉛直上方を基準とし振子の振れ角を θ とする。振子の関節に加わるトル
クを τ (= u) とする。摩擦・空気抵抗は無視できるくらい小さいものとする。
m1
µ
`
¿
k
m2
z
z=0
z = 0, θ = 0 のときの m1 の位置を原点とし、ばねが伸びる方向を X 軸、鉛直上方を Y 軸ととる
と、質量 m1 の座標は、(z + ℓ sin θ, ℓ(cos θ − 1)) である。よって、運動エネルギーは、
[
]
m1 + m2 ℓm1 cos q2
1 T
T = q̇ M0 (q)q̇, M0 (q) =
2
ℓm1 cos q2
ℓ2 m1
ポテンシャル・エネルギーは
W =
1 2
kq + m1 gℓ(cos q2 − 1)
2 1
である (g は重力加速度)。ただし、q = (q1 , q2 )T = (z, θ)T , q̇ = (q̇1 , q̇2 )T = (ż, θ̇)T で、q = 0 で
W = 0 となるように W を定義した。
1. オイラー・ラグランジュ方程式より、運動方程式を導きなさい。
2. 一般化運動量 p とハミルトニアン H を定義し、正準方程式を導きなさい。ただし、台車は非
駆動なので、入力 u の前に 2 × 1 行列 G = (0, 1)T が係数行列として掛け算されることに注
意しなさい。
3. W を仮想的なポテンシャル関数 W = W − m1 ℓg(cos q2 − 1) + (k1 /2)q22 (k1 > 0) に置き変えた
ハミルトニアン H を考え、H に基づいた正準方程式がなりたつような入力変換 u = ū + α1 (q)
を求めなさい。
4. 出力 y = GT [∂H/∂p]T = q̇2 に関して、ゼロ入力 (ū = 0) の下でのゼロ状態可検出性を次の
手順で示しなさい。
1
• オイラー・ラグランジュ方程式に u = α1 (q), y = q̇2 = 0, q̈2 = 0, q2 = θ0 (定数) を代入
しなさい。
• そのとき現れる 2 本の方程式のうち 1 つは q1 , q̈1 だけの微分方程式になるが、それが調
和振動子の方程式と一致することを示しなさい.
• q1 , q̈1 が定数となることを導き,調和振動子においてそれは q1 = 0, q̇ = 0 以外ありえ
ないことを示しなさい。
• θ0 を求め、ゼロ状態可観測性 (ゼロ状態可検出性の十分条件) を結論しなさい。
5. ū から y までの出力が、改変されたハミルトニアン H をストレージ関数として受動的である
ことを示し、それを用いて、ū = −k2 y すなわち u = α1 (q) − k2 q̇2 (k2 > 0) が原点を漸近安
定化することを示しなさい。
2