鏑木儀郎のコラム 福島観光キャンペーン中

鏑木 儀郎のコラム
福島観光キャンペーン中
中間貯蔵・環境安全事業株式会社
鏑木 儀郎
福島ディスティネーションキャンペーンが展開されている。
福島県の観光地に行く、泊まる、遊ぶ、福島の物を買う、食べることの魅力が大々的
にアピールされている。
ご存知のようにすごく広い福島県であり、南北に山地、山脈の筋が通っていて、それ
らの存在が「浜通り」
「中通り」
「会津」という気候が違う三地域を形成している。
私の事務所は「浜通り」の最南部、福島県土の南東の角、いわき市にある。
いわき市は温暖で、晴天も多く真冬でさえ雪はめったに降らないが、冬の会津はテレ
ビの天気予報では雪だるまマークが出ていた日が多かった。
三つの地域は気候が異なるから花のシーズンも新緑の時期も微妙に違い、同じ県内な
のに何度も季節の花々を楽しめる。
反面、とても広い県であること、山地山脈が南北に通っていることは、地域間の移動
の時間距離を長くしがちである。
東京からいわき駅までは約 215km、JR 特急ひたちで約二時間半。
いわき駅から県庁所在都市の福島駅までは直通の高速バスで約二時間かかる。往復四
時間は結構遠い。便数もあまり多くはない。
一方、東京から福島までは約 273km でいわきよりも 1.3 倍も遠いのだが、新幹線があ
るので約一時間半でいける。福島起点で考えてみると、新幹線のおかげで東京に行く方
がいわきに行く四分の三の時間、片道で30分速くいける。新幹線なら便数も一時間に
2、3本もある。
まあこのようなことは新幹線がある県ではよく見られる状況だろう。新幹線の駅がで
きることを熱望する市の想いもよくわかる。
一方の高速バス。いわきと福島間の直通高速バスは本数がそれほど多くはないが、そ
れでも他の公共交通よりもはるかに便利である。
JR だと、いわきから磐越東線に乗って約一時間半で郡山に行き、新幹線に乗り換え
て福島に行ける。もしも磐越東線の本数がそれなりにあれば、この経路でも福島直通高
速バスと同じぐらいの所要時間になるはずだ。
ところが磐越東線の問題はまさにその本数の少なさである。郡山まで行くいわき発の
列車は6時台、8時台、13時台、15時台、19時台に各1本。ほかに途中で乗り換
えればいける便が 1 便。
朝、当社のいわきの事務所でミーティングをしてから、福島市内で昼頃に開催される
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平成 27(’15)年 5 月 第 78 号
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会議に出たいというような欲張りなリクエストに応えてくれる列車はない。自宅から直
行するしかない。
いわきと郡山との間なら本数が多い高速バスがある。所要約一時間半で JR 磐越東線
と変わらない。朝夕なら 30 分に 1 本、昼間でも 1 時間に1本ある。そこで、福島いわ
き間の直通高速バスに適当な便がないときは、郡山いわき間の高速バスを利用すること
になる。郡山からは新幹線で福島行きとなる。
ただし、郡山の IC から郡山駅までの一般道の渋滞を抜ける時間が読めない。
私も、渋滞につかまっているというバスを、郡山駅前のバス停で真冬に30分待った
ことがある。風が半端ではなく冷たかった。寒かった。凍えてしまった。
いわきは車社会であると聞いてはいたが、ビジネスで県内を移動しようという時には
自動車を用いることが便利だし現実的であるという社会だと思った。
いわきに住んでみて、公共交通機関で福島、郡山での会議に出ようと思うと、東京か
ら行くよりも不便だし時間がかかるということが実感できたためである。
時間に追われるビジネスではなく、福島ディスティネーションキャンペーンの機会に
福島をのんびり観光されるときは、浜通り中通り会津のどこか1エリアに的を絞ってそ
こまで新幹線や特急などで行き、エリア内でお楽しみになることが良いように思う。何
度もおいでになって頂いても毎回楽しめることになるし。
一方、車でエリア間移動し山間の風情を楽しんでいただくのもよいと思う。
ところで車社会であるいわきを楽しむヒントをひとつ。
いわき駅から真南に真っ直ぐに伸びる大路は、電線も地中化しているし、街路樹も整
備されているし、幅が広い歩道の舗装はカラフルなレンガ調であり、景観を大事にしよ
うとする意図を感じる。
ところがその歩道にはよく車が停まっている。昼間だと銀行の前、夜だと特に塾の前
の歩道上に。驚くことに、中には狭い歩道上なのに停車した車の横を通り抜けようとす
る車もいたし、少々勢いをつけてから車道に出るつもりか歩道で加速する車もいた。
この大路以外でも車を歩道上に停めている姿はよく見られ、幅が車一台分しかない歩
道なので歩く余地がなく車道に出て歩かねばならないこともある。
歩道に車を停車する人は、車道を走る車の通行に支障が出ないように、つまり車がス
ピードを落とさないでも済むように気を使ってそうしているのだろうが、反面、歩行者
には気を使わせることになり、車道を歩かせる羽目に陥っている。
これはきっと、私が自転車をお店の前に停めてちょっと買い物にいくという感覚と同
じなのだろう。自転車並みに車が身近になっているので、駐輪と同じ感覚で車を歩道に
停めるだけなのだろう。
このような感覚の違い、習慣の違いを発見するということも、間違いなく旅に出たと
きに期待できる楽しみの一つだ。旅先の発見を楽しんでいただきたいと思う。
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