鏑木 儀郎のコラム 涼しい いわき 中間貯蔵・環境安全事業株式会社 鏑木 儀郎 東京は5月にしてすでに気温が30度。暑くて暑いし、とても暑い。 私は単身赴任している福島県いわき市と東京都の間を行ったり来たりしているが、い わき市は最高気温が東京よりも10度近く低いうえ、湿度も低くて空気がさらっとして いることが多い。今日だって、最高気温は東京が27度でいわきは20度だ。 最高気温もリーズナブルだが、朝晩はさわやかで肌寒いほどだ。 いわきがこんなに過ごしやすい気候だとは知らなかった。 町の南側と東側には広大な太平洋がある。まだ水温は高くないはずだ。海から吹く風 も爽やかである。また町の北と西には山地、山脈がある。こちらから吹く風はもちろん 爽やかである。冬の風の強い日には体の芯から凍えてしまうこともあったが、今の季節 には風がある日も爽やかでよい。 同じアパートに住む福島県の中通り(福島市や郡山市など)出身の方も、いわきは暑 くも寒くもないので、中通りよりもずっと住みやすい気候だと言っていた。 まだ真夏を経験していないのでまだ油断は禁物だろうが、この先住者の証言はとても うれしい。東京では夜じゅうエアコンをつけっぱなしにしないと眠れない日も多いが、 ここではそんなことはないのではないかと期待できる。 いわき市はとても広い市域を持つが、JR いわき駅や市役所があるのは平地区だ。平 の町はまわりを丘で囲まれている感じなので、どの方向を見ても緑が多い。 JR いわき駅正面から街に向かう大路の周辺にある高い建物でも10階建て程度のも のが多いから空が広い。都心に 2 階建て程度の街並みが広がっている。 一戸建ては庭も広いので土の地面がひろく露出しているし、これまた緑も多い。 また中心部の平地区にも広い平面駐車場が数多く存在する。一時の地上げの後なのだ ろうか。それらの中には舗装されておらず土が露出しているところも多い。 さらに町の真ん中を結構大きな河川が貫通している。 このようなことから都心でも空気がどんよりと入れ替わりにくいという感じではな くて、入れ替わりやすい状況にあると思う。 コンクリートやアスファルトではなくて土の地面が多いこと、高い建物によって空気 の流れが妨げられることもないこと、町の周りも街の中にも緑が多いことから考えれば、 一度集まった熱には逃げ場がないという街ではないし、夜も地面や建物の熱が下がらな いということもなく、大都市のようなヒートアイランド現象なんて縁がない過ごしやす い夏になるだろう。 一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会メールマガジン 平成 27(’15)年 6 月 第 79 号 1 ※無断転載禁止 爽やかに目覚めて、朝の空気も爽やかだと、出勤意欲がスポイルされることもなく、 今日も一日元気でがんばろうという気になるだろう。 朝シャワーを浴びなければ気持ちが悪いぐらいの寝汗をかいてしまうようなことや、 さらにはシャワーを浴びてもすぐに蒸し暑い空気にベターっとまとわりつかれる不快 感に悩まされることから解放されて、快適環境で夏を過ごせそうな予感がしてきた。 いわきの方々は従来からこんなによい環境に恵まれて生活してこられたのだなあと うらやましくなったり、東京の真夏のひどい気候の中でも特別にひどい空気環境といえ るだろうビルの中で深夜までの仕事や徹夜仕事を繰り返して懸命に生きてきた自分の 職業人生を思って複雑な気分になったりしている。 きっとつらい空気環境で夏の激務をこなすことになるのであろう方々には申し訳な いが、ここで私のいわきの朝をご紹介したい。 まずは目覚め。部屋の中なのに今の時期、朝は寒くて目が覚める。目覚まし時計の世 話になる必要はない。 朝食を用意してテレビのニュースを見ながら黙々と食し、後片付けをし、出かける。 まずは早朝から開店しているスーパーに立ち寄り、カロリー控えめの弁当を調達する。 東京での昼飯はおにぎり二個と決めているが、いわきではスーパーの弁当にしている。 スーパーには揚げ物などのカロリー高めの弁当もあるが、材料の多様性にこだわった低 カロリーの健康弁当もある。 健康弁当調達後はお気に入りの公園的街路の木陰を歩いて通勤する。 この公園的街路は、昔の水路を暗渠にしてその上に街路を作り、それにそって植樹し てある緑道である。木々が結構立派に大きく育っているし枝も立派なので心地よい木陰 の遊歩道となっている。 遊歩道では飼い主と散歩している犬たちもいて、人懐こく寄ってくる。 そういえば、この遊歩道には糞が落ちていない。ごみも散らばっていない。 遊歩道にはこれだけ木々があるのだから葉っぱや小枝が落ちていてもおかしくない と思うのだが、いつもすっきり爽やかな遊歩道である。 廃棄物処理法第 5 条の条文を思い出し、地面に落ちた枝葉が散らばっていないのは、 いわき市当局がこの遊歩道の管理者として清潔を保持する責務を果たしているからな のだろうとか、何人も公園を汚してはならない責務があるからだろうとか、つい固い台 詞で考える。 しかし現実にはたぶん法の責務を持ち出すまでもなく、遊歩道に沿った地区に住んで いらっしゃる方々の清掃意識が高くて、常々公園をきれいにする努力をしておられるか らなのかもしれない。 犬の糞に限らず地面にごみが何も落ちていないのは、飼い主の意識も高いし、ごみを みだりに捨てる人たちもいないし、ごみがあっても平気という人たちもいないというこ となのかもしれない。 やはり清潔な街はとても気持ちが良い。世界に誇るべき文化の一つだと思う。 一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会メールマガジン 平成 27(’15)年 6 月 第 79 号 2 ※無断転載禁止 これまでの巻頭コラムのバックナンバーはこちらから 鏑木儀郎のコラムバックナンバーはこちらから 一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会メールマガジン 平成 27(’15)年 6 月 第 79 号 3 ※無断転載禁止
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