鏑木 儀郎のコラム 平成鉄道史に残る 常磐線特急品川まで延長物語 中間貯蔵・環境安全事業株式会社 鏑木 儀郎 来る 3 月 14 日から常磐線特急は上野駅が終点ではなくなる。上野の次はいわき方面 からくると東京駅、その次の品川駅が終点となる。 わが社の中間貯蔵管理センターの最寄り駅である始発のいわき駅から特急に乗ると そのまま東京駅まで行けることになるのだ。 おかげで、特に朝のラッシュ時にはわが社の本社がある浜松町駅までいくことがとて も楽になるはずだ。 本社で朝 9 時半から始まる会議に出ようと思うと、今はいわきを朝一番 6 時すぎの特 急に乗って上野駅 8 時 59 分着であるから、定刻通りに到着することが当然の前提で、 それから大急ぎで移動してギリギリだ。 上野駅では、常磐線特急が到着する特急ホームから山手線などの浜松町に行ける電車 のホームに行くためには、まず、特急券を回収するだけの役割を特命として与えられて いる改札を抜けねばならない。 この改札は先頭車両のさらに前よりにひとつ、編成の真ん中のやや後ろにあるエスカ レーターを上がったあたりにもうひとつある。 それら二か所の改札は、特急ホームに到着した人と乗ろうとする人が分離していない 有人の改札になっていて、それぞれ1、2人の駅員さんしか改札していない。 従って、車両から降りる際にもたもたしていると、あるいはもたもたしている人に行 く手を遮られてしまうと、この第一の関所に並ぶような羽目に陥る。そうなったら会議 に間に合うという目論見は、上野駅にて乗り換える前に崩れ去ってしまう。 ここで大事なことはみっつある。 乗る車両の選択は特急改札へのルートをよく考えてけして誤ってはならない。 上野駅が近づいたら出口近くにて待ち、車両から降りるときは人に後れを取ってはな らない。 そして改札までのエスカレーターでは立ち止まらずにしゅんしゅん早足で上ること。 もちろん急いでいるとはいっても決してこけてはならない。 この「先んずれば人を制す」精神を実践することによって、無事に混む前の特急改札 を抜けられるはずだ。 しかし上野駅ではそのあとにも試練がある。 そもそも上野駅は巨大ターミナルである。ここが終点となっている路線が多い。 一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会メールマガジン 平成 27(’15)年 3 月 第 76 号 1 ※無断転載禁止 だから通勤通学先がどこであろうともここで乗り換えなければならない乗客が多い。 駅内の通路や階段は、北関東や埼玉県、千葉県西北部などから中距離電車で到着して山 手線などに乗り換えようとする人々でめちゃくちゃに混み合っている。 こういう風景はどこの巨大ターミナルでも大同小異であろうが、上野駅の構造は増築 に増築を重ねた旅館のごとくいくつもの平面が重なっているので、乗り換え通路が複雑 である。たまに利用する人がもたもたするのはやむを得ないことである。だが大きな荷 物を引っ張りながら通路の真ん中で立ち止まって道をふさがれると、出社を急いでいる 身にはなかなかつらい。 まあしかし、上野駅の混雑と歩きにくさと緊張感はまあ仕方なかろうと思うことにし よう。 上野駅ではなくて東京駅乗り換えになったら混乱する人もいるだろう。東京駅はすば らしく巨大であり、複雑であり、駅内の通路の位置や駅内の店などを紹介するガイドブ ックが売れているらしい。駅構内のお店群が充実していて駅もとても綺麗であるが、東 京駅初心者である旅行者などは駅内をすいすい移動できているわけではない。 もしかしたら、乗り換えターミナルが変わるということよりも、朝のラッシュ時の超 超超満員電車に乗るのが 4 駅も先になることの効果の方が大きいのではないか。 上野駅から東京駅までの 4 駅間も、特急に乗っていられるのだ。過酷な通勤電車では なくて乗り心地がよい特急の中での幸せな時間が長続きするのだ。 自分自身だけではない。ほかの人たちにも、山手線などのすし詰め電車の上野、東京 間のひどい混雑の改善に貢献できることを通じて幸せを分けてあげられる。 そして、何といっても、私にとっては浜松町駅到着時間が確実に早くなるという、と ても大きなメリットが生じる。 いわき市単身赴任者である私には、たまりやすい容器包装などプラスチックごみの収 集日の早朝、ちゃんと収集ステーションに出して、それでも本社の朝の会議に間に合う 確実さが高まるということは大いにうれしい。 早朝と言えば、これまでの冬の早朝の特急は車窓からだんだん明るくなっていく夜明 けの風景が楽しめてなかなか気持ちが良い。また、常磐線の特急は新幹線とは大違いで よく揺れるが、車両は新しいので、結構快適である。 乗り心地快適、車窓の景色も良い常磐線特急だが距離の割に時間がかかる。茨城県内 やいわき市内で停車駅が多いこともその原因だと思うが、これもまあ仕方あるまい。 複々線でひっきりなしに電車が来る大都会の都心とは違う。普通電車の運転本数はそ れほど多くはない。もしも特急が「僕は特急だから」とお高く留まってこまめに停まる ことを放棄したら、せっかく特急に乗ることで時間を稼いだ乗客も、寒いホームで普通 電車への乗り換えのために相当待つことになってしまう。というわけで常磐線特急がま めに停車することは、これも仕方ないと思うのだ。 今回の延伸によって、常磐線特急は停車駅を減らさないまま結果的には私が切望して いた浜松町への到着時刻を早くするという結果をもたらしてくれる。大変うれしくあり 一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会メールマガジン 平成 27(’15)年 3 月 第 76 号 2 ※無断転載禁止 がたいことだ。ますます便利になるいわき生活である。 これまでの巻頭コラムのバックナンバーはこちらから 鏑木儀郎のコラムバックナンバーはこちらから 一般社団法人廃棄物処理施設技術管理協会メールマガジン 平成 27(’15)年 3 月 第 76 号 3 ※無断転載禁止
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