ご参考資料 ピクテ・マーケット・フラッシュ 2016年1月29日 グローバル Pictet Market Flash 株式市場:テクニカル指標は市場の反発を示唆 2016年年初以降、株式市場の低迷が続いています。バリュエーション面での割安感が強いわけではありませんが、 テクニカル指標は市場が売られ過ぎの水準に達していることを示唆しています。欧州中央銀行(ECB)の追加金融 緩和や米連邦準備制度理事会(FRB)の動向次第では、市場の反発が期待できるかもしれません。 年初来の株式市場 2016年年初以降の株式市場は、下落の幅と唐突さの 両面で、1月としては、1897年以来最大級の下げ相場 となっています。本稿では、市場を取り巻く状況の分析 と、市場反発の可能性を探ります。 大幅な市場の調整は、複数の要因に起因することがし ばしばですが、今回の調整では、1)金融政策の効力の 低下、2)資源価格の下落、3)中国経済の減速を巡る 懸念、4)ドル高の進行、5)ハイイールド債を中心とした 社債利回りの上昇等の要因が特に重要だと思われま す。 中国のサーキット・ブレーカー、ならびに市 場の流動性と投資家のリスク抑制 中国市場の下落については、金融当局の不手際が下 げを加速させたことが注目されます。当局が2016年1月 1日に導入した「サーキット・ブレーカー」制度は、市場 のボラティリティを抑制するどころか増幅させる結果と なりました。1月第1週の2営業日には、投資家の売りが 膨らんで市場の下げが5%に達し、サーキット・ブレーカ ーが発動されましたが、15分後に市場が再開すると、 未執行の売り注文に新規の売り注文が加わって、7%の 下げとなり、売買が終日停止される事態となりました。 更に、当局は、導入後僅か1週間のうちに、サーキット・ ブ レ ー カ ー 制 度 そ の も の を 撤 回 し て し ま いまし た 。 2015年8月以降の金融当局の対応が未熟であることが 露呈され、投資家の懸念が一段と強まりました。足元 の通貨安と株安を経験した当局が金融市場に対する 理解を少しでも深めたことを願わずにはいられません。 S&Pは、前回(2015年8月)は6営業日で11.2%、今回の 下落は15営業日で10.5%下落しています。また、VIX指 数は、前回は4営業日で14%から41%に上昇した後、20% 台半ばに急落したのに対し、今回は16.5%から27%に、 緩やかに上昇しています。リスク管理の観点からする と、より緩やかな落ち着いた上昇が、投資家のリスク抑 制(リスク資産の売却)につながった公算が高いと思わ れます。どのリスク資産を売るかの判断に際して、投資 家は債券市場の流動性の問題に直面しています。過 去の市場の混乱時でも観察されたことですが、株式市 場は、他市場の流動性が枯渇する状況では、投資家 のリスク調整の売りに晒されるケースが見られました。 その結果、大きな売り圧力を受けた株価指数構成銘柄 が、過去最高の乖離率で、長期の移動平均を割り込み、 テクニカル面で売られ過ぎと判断される局面がありまし た。1月18日の週には、多くの銘柄がファンダメンタル ズ(基礎的条件)とは無関係に売られましたが、ファン ダメンタルズを無視した売りは、ポートフォリオのリスク 調整のための売りの最終局面を示唆している可能性も あります。 <次ページに続きます> ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。 S&P500種株価指数(S&P)を例に2016年年初来の下 落と2015年8月の下落を比較すると、類似点と相違点 の双方が確認されます。 ピクテ投信投資顧問株式会社 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 1 3 ご参考資料 Pictet Market Flash グローバル バリュエーション、利益成長率、 株主還元 図表1: 各株価指数の利益成長率予想の推移 期間:2014年6月~2015年12月 足元の状況からは、株価の反発が期待できるでしょう か。S&P500種株価指数(S&P)ならびにストックス・ヨー ロッパ600株価指数(SXXP)の株価収益率(PER)は、 それぞれ割安感が際立つわけではありません。実際 のところ、S&PのPERは、1988年以降の平均とほぼ同 水準にあり、ドットコム・バブル時を除いた平均を上 回っています。一方、SXXPのPERは、1988年以降の平 均およびドットコム・バブル時を除いた平均を上回って います。したがって、足元のバリュエーションは、株価 の反発をもたらす公算が低いということになります。 15% 10% ストックス・ヨーロッパ600株価指数 TOPIX S&P500種株価指数 5% バリュエーションに期待できないとしたら、利益成長率 はどうでしょうか?株式市場の下落は、企業利益が低 下基調を辿る時期に起こっているのです。2015年9月 以降、利益の下方修正は加速度を増し、未だ収束して いません。2016年の利益成長率予想は低位に留まり ます。東証株価指数(TOPIX)の利益成長率予想が比 較的高めなのは、2015年の下方修正が大きかったこと に起因しています(図表1参照)。石油ガス・セクターの 2016年利益は、2015年の大幅減益に続いて、一段の 減益が見込まれ、利益成長率への寄与度も既に大きく 低下しています。市場の持続的な上昇には、良好な利 益見通しが必須です。 加えて、債券市場の支援も期待できません。社債利回 りの上昇は、長期にわたった低金利での資金調達が 終わりに近づいていることを示唆しています。このよう な状況が企業利益を圧迫し、配当政策に負の影響を 及ぼす可能性は否めません。米国企業は、ここ数年、 自社株買いを通じ、時価総額の2%程度を株主に還元し ています。 14年6月 14年9月 14年12月 15年3月 15年6月 15年9月 15年12月 出所:ピクテグループ 株価反発の根拠:市場のダイナミクス ファンダメンタルズには期待できないとしても、市場の ダイナミクスが市場の反発をもたらす要因となるかもし れません 。 2016年年初以降、VIX指数で測った米国市場の予想ボ ラティリティ(インプライド・ボラティリティ)とV2X指数で 測った欧州市場の予想ボラティリティは、いずれも高水 準にあり、VIX指数は25を上回っています(次ページ、 図表2参照)。もっとも、S&Pが2015年8月の安値に迫る 新安値を付ける一方、VIX指数は年初来、25近辺に留 まって、それ以上、上昇する気配がないことには留意 が必要です。米国市場で顕著に見られる株価指数とボ ラティリティの乖離幅の拡大は、市場反発の公算が高 いことを示唆してます。 ドローダウンで見ると、市場のレジーム・シフトは、2015 年 下 期 に 起 こ っ て い ま す 。 S&P の ド ロ ー ダ ウ ン は 、 2011年11月から2015年7月にかけて3.7%から9.6%と、比 較的穏やかな範囲で推移しました。一方、S&Pのトータ ル・リターンは、2015年7月20日から8月25日にかけて は-12.0%、2015年12月1日から2016年1月20日にかけ て-11.3%と、いずれもマイナスです。10%を超える市場 の下落は珍しくなくなっており、市場の暴落が近いこと を示唆しているとは言い切れません。2007年以降の調 整局面では、S&Pの下落期間は平均54日でした。足元 の局面では既に50日に達しており、市場反発の公算が 高いことが示唆されます。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。 データは将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありませ ん。記載の指数は、ファンドの運用実績を示すものではありません。ま た、信託報酬等は含まれていません。 ピクテ投信投資顧問株式会社 株価指数とボラティリティの乖離幅の拡大や足元の調 整局面の長さに加え、市場が売られ過ぎの水準に達し ていることをテクニカル指標が示唆していることを勘案 すると、株式市場反発の公算は高まったと言えそうで す。 <次ページに続きます> 巻末の「当資料をご利用にあたっての注意事項等」を必ずお読みください。 2 3 ご参考資料 Pictet Market Flash グローバル 1月21日、欧州中央銀行(ECB)が追加緩和を示唆した 図表2: VIX指数の推移 ことは、投資家が探していた市場反発のきっかけにな り得ると考えます。もっとも、上昇相場が続くかどうかは、 日次、期間:2013年1月2日~2016年1月25日 FRBの行動次第です。利上げのペースが緩慢なものと 45 なること、あるいは、利上げが一時的に停止されること を示唆するような発言があれば、ドル高が一服し、資 40 VIX指数 源価格が安定し、ハイイールド債市場の緊張が軽減さ 35 れ、企業利益の下方修正が続く状況に終止符が打た 30 れることとなるかもしれません。 ※将来の市場環境の変動等により、当資料記載の内 容が変更される場合があります。 25 20 15 10 5 13年1月2日 14年1月2日 15年1月2日 16年1月2日 出所:ピクテグループ データは将来の運用成果等を示唆あるいは保証するものではありませ ん。記載の指数は、ファンドの運用実績を示すものではありません。ま た、信託報酬等は含まれていません。 当資料をご利用にあたっての注意事項等 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場 の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将 来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用 目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。 ●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象 ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりません。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、 会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。 3 3
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