全般季節予報支援資料 1か月予報 2016年1月21日 予報期間:1月23日~2月22日 気象庁地球環境・海洋部 全般季節予報 (1)特に注意を要する事項 西日本と沖縄・奄美では、1週目前半は気温がかなり低く、その後2週目にかけては気温がか なり高い見込みで、気温の変動が大きいでしょう。また、沖縄・奄美では、向こう1か月は、降 水量が多く日照時間の少ない状態の続く所がある見込みです。東日本では、1週目後半から2週 目にかけては気温がかなり高くなる見込みです。 (2)出現の可能性が最も大きい天候 北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪の日が多いでしょう。東・西日本日本海側では平 年と同様に曇りや雪または雨の日が多いでしょう。北日本太平洋側では、平年と同様に晴れの日 が多いでしょう。東・西日本太平洋側では、平年に比べ晴れの日が少ないでしょう。沖縄・奄美 では、平年に比べ曇りや雨の日が多いでしょう。 (3)確率 気温(%) 1か月 降水量(%) 日照時間(%) 降雪量(%) 少 並 多 少 並 多 少 並 多 1か月 低 並 高 北日本 30:30:40 北日本日本海側 北日本太平洋側 30:40:30 30:40:30 30:40:30 30:40:30 30:40:30 東日本 10:40:50 東日本日本海側 東日本太平洋側 30:40:30 20:30:50 30:30:40 50:30:20 50:40:10 西日本 10:30:60 西日本日本海側 西日本太平洋側 20:40:40 20:30:50 30:40:30 50:30:20 50:40:10 沖縄・奄美 10:40:50 沖縄・奄美 10:40:50 50:40:10 1週目(%) 2週目(%) 3~4週目(%) 低 並 高 低 並 高 低 並 高 北日本 20:50:30 20:40:40 30:40:30 東日本 20:50:30 10:30:60 20:40:40 西日本 30:50:20 10:20:70 20:40:40 沖縄・奄美 40:40:20 10:20:70 20:40:40 気温 最近1週間の天候経過 最近1週間(1/14~1/20)は、冬型の気圧配置となることが多く、北・東・西日本日本海側で雪や 雨の日が多かった。低気圧が、17日から18日に本州付近を発達しながら通過し、その後、低気圧は 北海道の東で猛烈に発達し、冬型の気圧配置が強まった。北日本や東・西日本日本海側では暴風雪 や大雪となり、東・西日本太平洋側でも大雪となった所があった。沖縄・奄美では、低気圧や前線 の影響で曇りや雨の日が多かった。 全般季節予報支援資料 1か月予報 1 / 4 頁 気温は、西日本で平年を下回り、東日本で平年を上回った。北日本と沖縄・奄美では平年と同値 だった。降水量は、全国的に平年を上回った。日照時間は、東・西日本太平洋側で平年を上回り、 北日本と東・西日本日本海側、沖縄・奄美では平年を下回った。 予報資料の解釈 ●1か月(1/23~2/19) ・ 500hPa高度は、中緯度では中国大陸で負偏差、日本の東では正偏差で、日本付近は西谷傾向。 また、日本の南を含む低緯度では東西に正偏差域が広がっている一方、オホーツク海からアリ ューシャンの南は負偏差(負WPパターン的で日本付近では東・西日本以西を中心に高温に寄与)。 ・ 850hPa気温は、全国的に正偏差で、南ほど明瞭。日本の北は負偏差だが、北日本は正偏差領域 に位置する。 ・ 海面気圧は、日本の東を中心に正偏差の予測で、西高東低のパターンは弱い傾向。ただし、シ ベリアでも気圧は高く、後述の通りシベリア高気圧の発達しやすい時期はある見込み。 ・ フィリピンの東では下層高気圧性循環偏差(850hPa 流線関数)の予測。その北側の沖縄・奄美 から日本の南では降水量正偏差の予測。東・西日本太平洋側や沖縄・奄美を中心に、低気圧や 前線の影響を受けやすいことが見込まれる。 ・ 熱帯の対流活動は、太平洋中部から東部とインド洋で活発な一方、太平洋西部では不活発な予 測。インド洋の対流活発傾向は、日本付近で偏西風が北へ蛇行する傾向を強めていると見られ る。また、太平洋では、全体的に赤道寄りに対流活発域が分布しており、その北側の亜熱帯(フ ィリピンの東からさらに東方にかけて)では亜熱帯高気圧が強い。これは、日本の南で東西に 500hPa 高度の高い領域が広がっていることにも対応していると見られる。 ・ 熱帯の季節内振動に関わる対流活発位相は、2週目にインド洋に進む予測。エルニーニョ現象 を背景にして太平洋東部が対流活発なこともあり、その間に位置する太平洋西部では対流不活 発傾向が強まる見込み。 ●1週目(1/23~1/29) ・ 500hPa 高度は、ヨーロッパの西から寒帯前線ジェット沿いの波列によりバイカル湖の西で正偏 差となっており、1週目前半を中心にシベリア高気圧が大陸東岸で強まることに寄与する見込 み。週間予報資料では、期間前半は西日本と沖縄・奄美を中心に顕著な低温となることに寄与 することが予測されている。 ・ また、500hPa 高度には、亜熱帯ジェット沿いの波列(華中で負偏差、日本の南東で正偏差)も 予測されている。週間予報資料では、1週目後半ほどこのパターンが見られ、大陸から本州南 岸に勢力の強い高気圧が移動してくる予測。 ・ 850hPa 気温は、1週目前半の低温傾向の強い西日本以南で負偏差の予測で、特に沖縄・奄美で は-2℃前後。一方、北日本は弱い正偏差の予測。 ・ 以上から、冬型の気圧配置は1週目前半は強い一方、後半は弱まる予測で、週平均では平年程 度と見込む。ただし、西日本では寒気の影響が大きく、寡照傾向を見込む。沖縄・奄美でも、 前半は低気圧や寒気の影響で寡照傾向だが、後半は移動高のため天候は回復し、週平均は平年 程度と見込む。気温は、沖縄・奄美は低い(ただし低温は1週目前半)、東・西日本は平年並、 北日本は高温傾向を見込む。 想定される天候 ・ 北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪の日が多い。 ・ 北・東日本太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多い。 ・ 東日本日本海側では、気圧の谷や寒気の影響で平年に比べ曇りや雪または雨の日が多い。 全般季節予報支援資料 1か月予報 2 / 4 頁 ・ 西日本日本海側では、寒気の影響を受けやすく、平年に比べ曇りや雪または雨の日が多い。 ・ 西日本太平洋側では、寒気の影響を受けやすく、平年に比べ晴れの日が少ない。 ・ 沖縄・奄美では、平年と同様に曇りや雨の日が多い。 ●2週目(1/30~2/5) ・ 500hPa 高度では、中国大陸で負偏差、日本の南東海上で正偏差の、亜熱帯ジェット沿いの明瞭 な波列が予測されている(ヨーロッパから亜熱帯ジェット沿いの波束伝播に加え、熱帯の季節 内振動に関わるインド洋の対流活発と太平洋西部の対流不活発傾向の強まりが寄与していると 見られる)。また、日本の南を含む低緯度は、東西に高度場が高い予測。 ・ このため、日本の南の高度場の指標となる沖縄高度は1月上旬の高温期を上回る+2σ超の顕 著な正偏差の予測。日本付近の高度場・温度場はかなり高いことを見込む。 ・ 一方、寒帯前線ジェット沿いの波列により、バイカル湖の西で高度場が高く、北日本の近いサ ハリン付近では相対的に高度場が低い予測。このため、北日本では温度場は高いものの、日本 海側を中心に気圧の谷の影響を受けて平年程度の天候となることを見込む。 ・ 850hPa 気温は、全国的に正偏差で、東日本以西では+4℃以上の顕著な正偏差の予測。日本の 北は負偏差だが、北日本は正偏差領域に位置する。 ・ フィリピンの東から日本の南東海上は、下層高気圧性循環偏差(850hPa 流線関数)の予測で、 2週目は1か月平均より広がっている。このため、1か月平均以上に日本の南から湿った気流 が流れ込みやすいことを考慮する。 ・ 海面気圧は、華南から本州南岸は負偏差の予測。南から湿った気流が流れ込みやすく、低気圧 の活動が活発になることを見込む。一方、北海道の東では気圧が高く、北西の季節風も弱い (850hPa 流線関数の高気圧性循環偏差の極大)見込み。 ・ 以上から、東日本以西で多雨傾向、太平洋側と沖縄・奄美では寡照傾向も見込む。北日本では 平年同様の天候を見込む。 想定される天候 ・ ・ ・ ・ ・ 北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪の日が多い。 北日本太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多い。 東・西日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪または雨の日が多い。 東・西日本太平洋側では、低気圧や前線の影響で、平年に比べ晴れの日が少ない。 沖縄・奄美では、低気圧や前線の影響で、平年に比べ曇りや雨の日が多い。 ●3~4週目(2/6~2/19) ・ 500hPa 高度は、2週目と同様、中国大陸で負偏差、日本の南東海上で正偏差の、亜熱帯ジェッ ト沿いの明瞭な波列が予測されている(エルニーニョ現象による太平洋西部の対流不活発に加 え、インド洋の対流活発も関連していると見られる)。ただし、インド洋の対流活発には、モ デルに与えられている高い海面水温により過敏に予測されている可能性があるため、この応答 による本州付近の正偏差は少し弱めて考える(後述)。 ・ また、ベーリング海付近に極うずが偏って分布する予測。その南側は正偏差で、負WPパターン 的な偏差パターン(東日本以西で高温に寄与しやすいパターン)。 ・ フィリピンの東では下層高気圧性循環偏差(850hPa流線関数)の予測。その北側の沖縄・奄美 から日本の南では降水量正偏差の予測。関連して、海面気圧では、沖縄・奄美から日本の南で 低く、低気圧の活動が活発な見込み。なお、下層高気圧正偏差の降水量正偏差の北への広がり は、2週目に比べると弱く、東日本日本海側は平年程度、東・西日本太平洋側や沖縄・奄美で は多雨傾向と見込む。 ・ 850hPa 気温は、低緯度ほど正偏差で、日本付近では東日本以西で正偏差、北日本で偏差ゼロ線 近傍の予測。ただし、時系列図では、3週目頃に 850hPa 気温や沖縄高度の極小が予測され、上 記の高温に寄与する傾向が不明瞭となる可能性も示唆されている。海面気圧ではシベリア高気 全般季節予報支援資料 1か月予報 3 / 4 頁 圧の強い傾向が見られ、寒気の影響を受けやすい時期が現われる可能性もある。また、ガイダ ンスでは東日本を中心に大きな高温確率が予測されているが、これにはインド洋の対流活発に よる応答も寄与していると考えられる。 ・ このため、どの地方も 50%以上の大きな高温確率は付加しない。北日本では、ベーリング海付 近を中心に予測されている極うずの位置の不確実性も考慮し、高温傾向は見込まない。 ・ 以上から、北日本では、平年と同様の天候を見込む。東・西日本太平洋側と沖縄・奄美では、 低気圧や前線の影響を受けやすく、多雨・寡照傾向を見込む。西日本日本海側では、低気圧や 前線の影響は受けやすい(多雨に寄与)ものの、冬型の気圧配置が長続きしない見込み(少雨・ 多照に寄与)で、降水量は平年程度、多照傾向を見込む。東日本日本海側は冬型の気圧配置が 長続きしない見込みで少雨・多照傾向を見込む。 想定される天候 ・ ・ ・ ・ 北日本日本海側では、平年と同様に曇りや雪の日が多い。 北日本太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多い。 東・西日本太平洋側では、低気圧や前線の影響で、平年に比べ晴れの日が少ない。 東・西日本日本海側では、冬型の気圧配置が長続きしないため、平年に比べ曇りや雪また は雨の日が少ない。 ・ 沖縄・奄美では、低気圧や前線の影響で、平年に比べ曇りや雨の日が多い。 気象庁ホームページ ○季節予報 http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/001_00.html ○向こう1か月の天候の見通し(1か月予報の解説)」 http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/pdf/pdf1/001.pdf も参照してください。 この資料は、気象事業者等が気象庁の提供する季節予報の根拠を理解するための補助資料であり、 そのままの形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。 全般季節予報支援資料 1か月予報 4 / 4 頁
© Copyright 2024 ExpyDoc