短期予報解説資料1 2015年 6月12日15時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①梅雨前線は東シナ海から南西諸島、 伊豆諸島をとおり、日本の東にのびて おり、関東の東海上の前線上には低気 圧を解析。前線付近では、12 日午前は 解析雨量で 50 ミリから 60 ミリであっ たが、午後は 30 ミリから 40 ミリ前後 と前線活動は弱まりつつある。 ②水蒸気画像で中国東北区を中心にス ケールの大きな低気圧性の循環があり、 その周囲を短波のトラフに対応する上 層渦が回っている。この中の日本海に 進んできたトラフの南側から東側に暗 域が回り込んでおり、日本海の低気圧 の東側の下層暖湿気と重なる日本海中部で対流雲が発達。発雷も検知。 ③9 時の松江の高層観測で 500hPa の気温が-8.5 度と寒気が流れ込んでいる。西日本を中心に気温が 30 度を越えており、上層との気温差が大きく、大気の状態が不安定となっている。若狭湾付近では局地 的な対流雲により発雷も検知。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項①の低気圧は 500hPa の 5820m の流れにのって東進し、日本の南では 13 日朝には風のシアーが小 さくなり活動は弱まる。一方、東シナ海から南西諸島付近の、下層では小笠原諸島付近の高気圧の縁 辺をまわる湿った空気が流れ込みやすく、中層では大陸から前線に沿って湿った空気が流れ込むため 13 日にかけて大気の状態は不安定。短時間強雨、落雷、突風に注意。 ②2 項②の日本海のトラフは 13 日朝には北日本に進む。トラフに対応して日本海には低気圧が解析さ れ、その前面では 850hPa で 327K 前後の暖湿気が北日本に流れ込むため、大気の状態が不安定となる。 また、13 日夜には後続のトラフが北日本に進み、後者は 500hPa で-15 度以下の寒気を伴っている。北 日本には 850hPa で 318K 程度の暖湿気が残っているのでトラフ通過前後に大気の状態が不安定となる。 短時間強雨、落雷、突風に注意。 ③西日本や東日本では上層寒気の流入によって大気の状態が不安定となるところがある。短時間強雨、 落雷、突風に注意。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①総観場は GSM を基本とするが、降水予想は MSM も参考に検討。 4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(18 時からの 24 時間):多い所(100mm 以上)はない。2 項の短時間強雨に留意。 ②波(明日まで):高い所(3m 以上)はない。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はありません。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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