全般季節予報支援資料 1か月予報 2016年7月21日

全般季節予報支援資料 1か月予報 2016年7月21日
予報期間:7月23日~8月22日 気象庁地球環境・海洋部
(1) 特に注意を要する事項
沖縄・奄美では、期間のはじめは気温がかなり高くなる所があるでしょう。
(2)出現の可能性が最も大きい天候
北日本日本海側では、天気は数日の周期で変わるでしょう。北日本太平洋側では、天気は数日の
周期で変わりますが、平年に比べ晴れの日が少ないでしょう。東日本では、平年に比べ晴れの日が
少ないでしょう。西日本では、平年と同様に晴れの日が多いでしょう。沖縄・奄美では、平年に比
べ晴れの日が多いでしょう。
(3) 確率
気温(%)
1か月
降水量(%)
日照時間(%)
少 並 多
少 並 多
1か月
低 並 高
北日本
30:50:20
北日本日本海側
北日本太平洋側
30:40:30
20:40:40
30:40:30
40:40:20
東日本
40:40:20
東日本日本海側
東日本太平洋側
20:40:40
20:40:40
40:40:20
50:30:20
西日本
20:40:40
西日本日本海側
西日本太平洋側
30:40:30
30:40:30
30:40:30
30:40:30
沖縄・奄美
10:20:70
沖縄・奄美
40:40:20
20:40:40
1週目(%)
2週目(%)
3~4週目(%)
低 並 高
低 並 高
低 並 高
北日本
40:40:20
20:50:30
30:40:30
東日本
50:40:10
30:50:20
30:30:40
西日本
30:50:20
20:40:40
20:40:40
沖縄・奄美
10:30:60
10:30:60
10:40:50
気温
最近1週間の天候経過
最近1週間(7/14~7/20)は、期間の前半は梅雨前線が九州付近から東日本の南海上に停滞する
ことが多く、本州付近の上空には寒気が流れ込み、東日本を中心に大気の不安定な状態が続いた。
このため、北から西日本では曇りや雨の日が続き、東日本では局地的に雷を伴った激しい雨となり、
突風被害も発生した。期間の後半は梅雨活動の活動が弱まり、東日本太平洋側以西では概ね晴れた
一方、東日本日本海側より北では気圧の谷やオホーツク海高気圧による湿った空気の流れ込みによ
り曇りや雨となった。一方、沖縄・奄美では、この1週間太平洋高気圧に覆われ、概ね晴れた。
気温は北・東日本と沖縄・奄美で平年を上回り、西日本では平年と同値であった。降水量は全国
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的に平年を下回った。日照時間は、東日本日本海側と北日本で平年を下回った一方、東日本太平洋
側、西日本と沖縄・奄美では平年を上回った。
予報資料の解釈
●1か月(7/23~8/19)
・ 500hPa高度は、日本の北(50°N帯)で正偏差の予測で、カムチャツカの東が正偏差の極大。一
方、亜熱帯ジェット沿いの波列で、朝鮮半島付近は正偏差が大きく(200hPa流線関数偏差で負
偏差が小さいことも参照)、日本の南東海上を中心に負偏差の予測。この結果、本州付近から
見て逆位相の東谷の偏差分布。
・ 亜熱帯高気圧は、沖縄・奄美付近では勢力が強いものの、本州方面への北への張り出しや日本
の南東海上の勢力は弱い予測。
・ 海面気圧は、沖縄・奄美付近からフィリピンの東では高く太平洋高気圧に覆われやすい予測。
また、オホーツク海からカムチャツカの東も正偏差の予測。その間に位置する本州付近は相対
的に低く、負偏差の中心は日本の南東海上。
・ モデルの境界条件として与えた実況で高い海面水温の影響で、熱帯の対流活動は、期間を通し
て赤道から南半球側に偏り、インドから東南アジアのモンスーンの活動は不活発な予測(200hPa
速度ポテンシャル)で、沖縄・奄美付近が亜熱帯高気圧の勢力が強いことにも寄与している。
また、インドから東南アジアのモンスーンが不活発であることから、チベット高気圧が弱く偏
西風が南偏することも予測されているが、3~4週目は後述のように割り引いて考える。
・ 850hPa 気温は、日本の北は正偏差の一方、本州以南は弱い負偏差の予測。ただし、太平洋高気
圧に覆われやすい沖縄・奄美では、強い日射により地上気温が高くなることを見込む。
●1週目(7/23~7/29)
・ 500hPa 高度は、亜熱帯ジェット気流の蛇行により中国大陸から東シナ海は正偏差、日本の東で
負偏差の予測。一方、日本の北(50°N 帯)では高度が高く、カムチャツカの東でリッジが発達す
る予測。その結果、本州付近から見て逆位相の東谷の偏差分布。日本の北で東西に高度が高い
ことから極東東西指数は負値(低指数)。北・東日本と西日本日本海側では上層の気圧の谷の
影響を受けやすいことが見込まれる。
・ フィリピンから沖縄・奄美付近では亜熱帯高気圧は強い予測。赤道季節内振動(MJO)の対流活発
位相によりインド洋から海洋大陸の赤道付近で対流活発となる一方、フィリピンから沖縄・奄
美付近では対流活動が抑えられ亜熱帯高気圧が強化されている。亜熱帯ジェット沿いの波列で
東シナ海が高気圧性偏差であるため、西日本から沖縄の南にかけては海面気圧が高く、高度場
も高い。
・ 海面気圧では、千島の東で高気圧の勢力が強く、北・東日本へ張り出す予測。日本の東が気圧
の谷になることも影響して、北・東日本は下層東風偏差の予測で、太平洋側中心に冷涼で湿っ
た東風の影響を受けやすいことが見込まれる。
・ 850hPa 気温は、北・東日本太平洋側を中心に、北から西日本にかけて負偏差の予測。沖縄・奄
美では偏差ゼロ線近傍だが、太平洋高気圧に覆われやすいことで、強い日射により地上気温は
高くなることを見込む。
・ 以上から、北日本太平洋側と東日本では、湿った気流や気圧の谷の影響で寡照傾向、北日本日
本海側と西日本では平年同様の天候を見込む。沖縄・奄美は勢力の強い太平洋高気圧に覆われ
やすく多照傾向を見込む。
 想定される天候
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・ 北日本日本海側では、天気は数日の周期で変わる。
・ 北日本太平洋側では、天気は数日の周期で変わるが、湿った気流や気圧の谷の影響で、平
年に比べ曇りや雨の日が多い。
・ 東日本では、湿った気流や気圧の谷の影響で、平年に比べ晴れの日が少ない。
・ 西日本では、平年と同様に晴れの日が多い。
・ 沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われやすく、平年に比べ晴れの日が多い。
●2週目(7/30~8/5)
・ 500hPa 高度は、日本の北ではカムチャツカの東を中心に高度が高い一方、日本の南東海上では
高度が低く、本州付近から見て東谷の偏差分布が続く。ただし、高度の高い領域が1週目より東
へ移るため、極東東西指数の低指数状態は1週目に比べ少し回復する予測になっている(北日本
の低温傾向が弱まることに寄与)。一方、フィリピンから沖縄・奄美付近は高度が高く、亜熱
帯高気圧の勢力が強い予測。
・ また、西日本付近でも亜熱帯ジェット沿いの波列により相対的に高気圧性偏差の予測。西日本
付近では、2週目は湿った気流は入りにくくなる見込み。
・ 海面気圧では、千島の東で高気圧の勢力が強い一方、日本の南東海上は負偏差の予測で、東日
本中心に下層東風偏差。
・ 850hPa 気温は、日本付近は偏差ゼロ線近傍で、全体的に偏差が小さい予測。沖縄・奄美では偏
差ゼロ線近傍だが、太平洋高気圧に覆われやすいことで、強い日射により地上気温は高くなる
ことを見込む。
・ 以上から、北日本太平洋側と東日本では、湿った気流や気圧の谷の影響で寡照傾向、北日本日
本海側と西日本では平年同様の天候を見込む。沖縄・奄美は勢力の強い太平洋高気圧に覆われ
やすく多照傾向を見込む。
 想定される天候
・ 北日本日本海側では、天気は数日の周期で変わる。
・ 北日本太平洋側では、天気は数日の周期で変わるが、湿った気流の影響で、平年に比べ晴
れの日が少ない。
・ 東日本では、湿った気流や気圧の谷の影響で、平年に比べ晴れの日が少ない。
・ 西日本では、平年と同様に晴れの日が多い。
・ 沖縄・奄美では、太平洋高気圧に覆われやすく、平年に比べ晴れの日が多い。
●3~4週目(8/6~8/19)
・ 500hPa 高度は、日本付近は正偏差だが、日本の北で高く本州付近が相対的に低い状態は続く予
測。日本の南でも沖縄の南を中心に高度が高く、亜熱帯高気圧の勢力は強い見込み。
・ MJO の対流活発位相がインド洋に進んでくる予測だが、熱帯の対流活動は赤道から南半球側へ
偏っているため、インドから東南アジアのモンスーンも不活発。このため、日本付近を流れる
偏西風は南偏して弱く、本州付近は低温偏差、高緯度からの寒気が入りにくくなる 40°N~50°N
帯は高温偏差が予測されている。
・ しかし、インドから東南アジアのモンスーンが不活発であることには、モデルの境界条件とし
て与えた実況で高い海面水温の影響が大きいと考え、不確実性が大きいと判断する。このため、
日本付近の天候は平年同様と見込む。
 想定される天候
・ 北日本では、天気は数日の周期で変わる。
・ 東・西日本と沖縄・奄美では、平年と同様に晴れの日が多い。
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気象庁ホームページ
○季節予報 http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/001_00.html
○向こう1か月の天候の見通し(1か月予報の解説)」 http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/pdf/pdf1/001.pdf
も参照してください。
この資料は、気象事業者等が気象庁の提供する季節予報の根拠を理解するための補助資料であり、
そのままの形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。
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