短期予報解説資料1 2015年 2月22日03時40分発表 気象庁 予報部 1.実況上の着目点 ①日本海のトラフ A(500hPa 5520~5580m) と西日本のトラフ B(5640~5700m)が位相 を合わせて東進中。また、東シナ海を 5700m 付近のトラフ C が東進している。これら 3 つのトラフ付近に水蒸気画像のバウンダリ があって、後面には暗域が明瞭。 ②①トラフ C 付近では、850hPa 6~9℃に対 応した前線波動が東進している。前線の暖 域側には、850hPaθe315K 以上の暖湿気(可 降水量 30mm 台)が流入し、波動付近の甑島 では 40mm/h 以上の激しい雨を観測した。 ③東日本南岸では、高気圧後面流による下層雲が広がり、降水エコーも広がりつつある。今後トラフ B が接近・通過するため、降水強化に注意。 ④東北太平洋側~関東の沿岸では、東海上から 2.5~3m のうねりが入り、モデル予想よりも高めの波 高で推移。 2.主要じょう乱の予想根拠と解説上の留意点 ①1 項②の前線波動は 23 日前半にかけ西日本から東日本の太平洋岸を進むが、22 日夜以降前線は南西 諸島付近に停滞した状態が続く見込み。一方、中国東北区に進む寒冷渦の周辺を回るトラフ(5400~ 5520m)の接近により 22 日朝までに日本海西部に新たに前線(850hPa 0℃付近)を伴う低気圧が発生し、 沿海州沿岸を進み、低気圧からのびる前線が 23 日前半にかけて北日本を通過する。 ②22 日は、日本の東の高気圧との間で低気圧や前線の東側を中心に気圧の傾きが大きくなり、23 日は 北日本を前線が通過するため、北~西日本は強風や高波に注意。850hPa 3℃線は東北まで北上して多 雪地でも気温が上昇、なだれ、融雪による河川の増水や土砂災害に注意。北海道では湿った雪による 着雪に注意。 ③22 日は、前線波動に向かって 1 項②の暖湿気流入が強まる。特に 1 項①のトラフ C が前線波動に先 行する 22 日朝くらいまでが対流雲発達のピークとなる。また、前線が接近・停滞する沖縄・奄美では、 23 日はじめにかけて 500hPa 正渦度極大域が断続的に通過するため、前線近傍で対流雲が発達する見込 み。前線波動が通過する九州、西・東日本太平洋側や前線が接近・停滞する南西諸島では、暖湿気流 入による短時間強雨や落雷・突風に注意。 3.数値予報資料解釈上の留意点 ①モデルはおおむね安定してきたが、沖縄付近に停滞する前線位置 予想は不確実性が伴う。②波浪:東北太平洋岸~関東・伊豆諸島や沖縄は、22 日後半に風浪卓越する まではモデルの上方修正が必要。 4.防災関連事項[量的予報と根拠] ①大雨ポテンシャル(06 時からの 24 時間):九州南部・四国・東 海 80~100mm、2 項の短時間強雨に注意。②波(明日まで):北海道・関東・伊豆諸島・四国 4、東北・ 北陸・東海・近畿・九州南部 3m。③潮位:大潮期間。九州西岸など天文潮位の高い所は高潮に注意。 5.全般気象情報発表の有無 発表の予定はない。 1 量的な予報については、今後の状況により変化する場合がありますので、注意報・警報や全般気象情報等に記述する数値を利用願います。
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