全般季節予報支援資料 1か月予報 2016年8月4日 予報期間:8月6日~9月5日 気象庁地球環境・海洋部 (1) 特に注意を要する事項 期間の前半は、全国的に気温がかなり高くなる可能性があります。 (2)出現の可能性が最も大きい天候 北日本日本海側では、天気は数日の周期で変わりますが、平年に比べ晴れの日が少ないでしょう。 北日本太平洋側では、天気は数日の周期で変わるでしょう。東・西日本太平洋側では、平年と同様 に晴れの日が多いでしょう。東・西日本日本海側では、平年に比べ晴れの日が多いでしょう。沖縄・ 奄美では、平年に比べ晴れの日が少ないでしょう。 (3) 確率 気温(%) 1か月 降水量(%) 日照時間(%) 少 並 多 少 並 多 1か月 低 並 高 北日本 10:30:60 北日本日本海側 北日本太平洋側 20:40:40 20:40:40 40:40:20 30:40:30 東日本 10:30:60 東日本日本海側 東日本太平洋側 30:40:30 20:40:40 20:40:40 30:40:30 西日本 10:20:70 西日本日本海側 西日本太平洋側 30:40:30 20:40:40 20:40:40 30:40:30 沖縄・奄美 10:30:60 沖縄・奄美 20:30:50 40:40:20 1 週目(%) 2 週目(%) 3~4 週目(%) 低 並 高 低 並 高 低 並 高 北日本 10:30:60 20:30:50 20:30:50 東日本 20:30:50 20:30:50 20:30:50 西日本 10:20:70 10:30:60 20:30:50 沖縄・奄美 10:30:60 10:40:50 20:30:50 気温 最近1週間の天候経過 最近1週間(7/28~8/3)は、北海道では低気圧や前線の影響で曇りや雨の日が多く、大雨となっ た所があった。その他の地方は、西日本を中心に晴れて猛暑日となった所も多く、関東甲信地方は 28日ごろ、東北地方は29日ごろ梅雨明けした(速報値)。期間の後半は上空に寒気を伴った低気圧 が関東の南から北上したため、北・東日本太平洋側を中心に大気の状態が不安定となって雷雨とな り、局地的に大雨となった。 気温は、全国的に平年を上回った。降水量は北日本と東日本太平洋側で平年を上回り、東日本日 本海側と西日本、沖縄・奄美で平年を下回った。日照時間は、北日本で平年を下回り、東・西日本 と沖縄・奄美で平年を上回った。 全般季節予報支援資料 1か月予報 1 / 3 頁 予報資料の解釈 ●1か月(8/6~9/2) ・ 500hPa高度は、亜熱帯ジェット沿いに波列がみられ、大陸東岸がトラフ、千島の東がリッジと なっている。一方、日本の南海上では熱帯の対流活動に対応して高度が低く、負偏差となって いる。 ・ 850hPa気温は、日本付近は正偏差。日本の東海上で高気圧の勢力が強いことから、南から暖か い空気が流れ込みやすい北日本を中心に偏差が大きい。 ・ 海面気圧は、日本の南海上の北緯20度付近に負偏差の極大があり、この付近では対流活動が活 発な傾向が予測されている。一方、本州付近から日本の東にかけて相対的に気圧が高く、日本 の東海上には正偏差がみられ、太平洋高気圧は日本の東で勢力が強い。本州付近は負偏差とな っているが、過去の統計では北緯20度付近で対流活動が活発な場合、本州付近~日本の東で高 気圧が強まる傾向があり(PJパターン)、本州付近の負偏差は平年程度に割り引いて考える。 ・ MJOの対流活動活発位相の東進は不明瞭で、月を通してベンガル湾~フィリピンの東にかけての 北緯20度付近を中心に対流活動が活発な傾向が予測されている。実況では太平洋西部の北緯20 度付近の海面水温(SST)が31℃程度と高く、表層水温も高い状態となっている。モデルの境界 条件として与えた実況のSST偏差が初期値固定となっている影響で、3~4週目を中心にこの領域 に予測されている対流活動は過大となっている可能性が大きく、割り引いて考えるものの、実 況の水温や対流活動の状況を考慮し、月平均として太平洋西部で対流活動が活発というモデル の傾向は採用する。 ●1週目(8/6~8/12) ・ 500hPa 高度は、日本の南海上に熱帯の対流活動に対応する負偏差がみられ、日本付近が弱い谷 となるものの、北日本付近では実況で千島の東にあるブロッキング高気圧が衰弱し、流れはほ ぼゾーナルで周期変化基調。(先週資料では、引き続き千島の東でリッジが発達し、偏西風の 蛇行が大きい状態が予測されていたが、1週目に日本の東を北上する予測となっている熱帯低 気圧の影響で、大きく初期値変わりしたものとみられる。) ・ 850hPa 気温は、東・西日本太平洋側で相対的に偏差が小さいものの、日本付近は概ね正偏差。 ・ 海面気圧は、日本の南海上の北緯20度付近で対流活動が活発で、小笠原諸島付近と沖縄の南に 負偏差の極大がみられる(降水量、850hPa 流線関数の低気圧性循環偏差も参照)。一方、日本 の東では太平洋高気圧の勢力が強い予測。週間予報資料も参照すると北・東日本太平洋側、沖 縄・奄美では気圧の谷や湿った気流の影響を受ける日がある見込み。 ・ 以上から、沖縄・奄美では、湿った気流の影響で多雨・寡照傾向を見込む。北・東日本太平洋 側は熱帯低気圧の進路や発達の程度によるが、降水量が多くなる可能性がある。これらの影響 を受けにくい東日本日本海側や西日本では多照傾向。気温は全国的に高温傾向。 想定される天候 ・ ・ ・ ・ 北日本日本海側では、天気は数日の周期で変わる。 北・東日本太平洋側では、気圧の谷や湿った気流の影響で、平年に比べ晴れの日が少ない。 東日本日本海側、西日本では、高気圧に覆われやすく、平年に比べ晴れの日が多い。 沖縄・奄美では、湿った気流の影響で、平年に比べ晴れの日が少ない。 ●2週目(8/13~8/19) ・ 熱帯の対流活動は、アラビア海で不活発、ベンガル湾からフィリピンの東にかけて活発。これ に対応して、チベット高気圧の日本付近への張り出しが強まる。200hPa 流線関数では、亜熱帯 ジェット気流沿いにカスピ海付近を波源とする波列がみられ、亜熱帯ジェット気流は日本付近 で北偏し、オホーツク海付近を流れる予測。 ・ 500hPa 高度は、熱帯の対流活動の影響で、日本の南に負偏差がみられる。一方、亜熱帯ジェッ 全般季節予報支援資料 1か月予報 2 / 3 頁 ト気流沿いの波列に対応して、バイカル湖の東が負偏差、千島の東が正偏差となり、北日本は 北海道日本海側を中心にやや西谷。 ・ 850hPa 気温は、東・西日本太平洋側で相対的に偏差が小さいものの、日本付近は正偏差。 ・ 海面気圧は、500hPa 高度に対応して日本の南に負偏差の極大がみられ、日本の東は正偏差。ま た、沿海州付近はバイカル湖の東のトラフに対応して負偏差となっている。日本の東で太平洋 高気圧の勢力が強い予測だが、前述のとおり、日本の南の対流活動により、本州付近でモデル より高気圧が強まる可能性がある(PJ パターン)ため、本州付近の負偏差は割り引き、平年程 度に修正して考える。 ・ 以上から、やや西谷となる北日本(北海道日本海側中心)や、湿った気流の影響を受けやすい 沖縄・奄美では多雨・寡照傾向、西日本太平洋側では天候は平年と同様だが、湿った気流の影 響を受ける可能性を考慮して、多雨傾向を見込む。東・西日本日本海側は太平洋側に比べると 湿った気流の影響を受けにくく、多照傾向。気温は全国的に高温傾向だが、多照傾向となる東・ 西日本日本海側は太平洋側よりも高い確率を大きくした。 想定される天候 ・ 北日本日本海側では、天気は数日の周期で変わるが、気圧の谷の影響で、平年に比べ晴れ の日が少ない。 ・ 北日本太平洋側では、天気は数日の周期で変わる。 ・ 東・西日本日本海側では、高気圧に覆われやすく、平年に比べ晴れの日が多い。 ・ 東・西日本太平洋側では、平年と同様に晴れの日が多い。 ・ 沖縄・奄美では、湿った気流の影響で、平年に比べ晴れの日が少ない。 ●3~4週目(8/20~9/2) ・ 熱帯の対流活動に対応して、2週目と同様の予測となっており、日本の南海上で高度や気圧が 低く、亜熱帯ジェット沿いの波列もみられる。この予測はモデルの境界条件として与えた実況 の SST 偏差により過大となっていると考えられるため、傾向は考慮するが、ガイダンスは割り 引く。 ・ 以上から、天候は、2週目とほぼ同様の傾向だが、スプレッドの大きさも考慮して、東・西日 本では平年と同様とした。北日本日本海側と沖縄・奄美では多雨・寡照傾向。西日本太平洋側 では多雨傾向。気温は全国的に高温傾向。 想定される天候 ・ 北日本日本海側では、天気は数日の周期で変わるが、気圧の谷の影響で、平年に比べ晴れ の日が少ない。 ・ 北日本太平洋側では、天気は数日の周期で変わる。 ・ 東・西日本では、平年と同様に晴れの日が多い。 ・ 沖縄・奄美では、湿った気流の影響で、平年に比べ晴れの日が少ない。 気象庁ホームページ ○季節予報 http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/001_00.html ○向こう1か月の天候の見通し(1か月予報の解説)」 http://www.jma.go.jp/jp/longfcst/pdf/pdf1/001.pdf も参照してください。 この資料は、気象事業者等が気象庁の提供する季節予報の根拠を理解するための補助資料であり、 そのままの形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。 全般季節予報支援資料 1か月予報 3 / 3 頁
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