インド・ベトナムの予想引き上げ(2015/3/25作成);pdf

*グローバル投資環境
No.937*
ご参考資料
髙木証券投資情報部
アジア開発銀行の2015年経済概観
~インド・ベトナムの予想引き上げ
2015年3月25日作成
*今月24日、アジア開発銀行はアジア途上国[日
▼アジア開発銀行による
本・豪州・ニュージーランドを除くアジア太平洋の国・ GDP成長率及びインフレ率予想 (前年同期比)
2016年予想
地域]の経済見通しである「Outlook2015」を発表し
2014年見込
2015年予想
た。域内の成長率を2014年+6.3%と見込み、2015
今回
9月時点 今回 9月時点 今回
年及び2016年についても+6.3%と予想している。昨
+7.4 +7.4
+7.2
+7.0
① +7.5
中国
年9月時点では2014年+6.1%、2015年+6.4%と予
+2.0
+1.8
+2.3
② +2.4
+3.0
想していた。
+7.4 +6.3
+7.8
+8.2
① +5.5
インド
+7.0 +5.5
+5.0
+5.5
② +5.7
*主要先進国である日米ユーロ圏を合算した成長率
+5.0 +5.8
+5.5
+6.0
は2014年+1.6%、2015年+2.2%、2016年+2.4%と
① +5.3
インドネシア
予想している。
+6.4 +6.9
+5.5
+4.0
② +5.8
+6.0
+4.7
+5.0
①
+5.7
+5.3
*インフレ率は、2014年見込みの+3.1%から2015年 マレーシア ② +3.3 +3.1 +3.6 +3.2
+2.9
は+2.6%への鈍化を予想しているが、翌2016年には
+6.1
+6.4
+6.3
①
+6.2
+6.4
+3.0%に加速すると予想している。原油安はコスト低
フィリピン
+4.1
+2.8
+3.3
②
+4.4
+4.1
下という点から成長の後押しとなっているだけに、急
+2.9
+3.0
+3.4
① +3.5
+3.9
激にインフレ動向が反転した場合は、成長が下振れ
シンガポール
+1.0 +2.3
+0.2
+1.5
② +2.0
する要因となりうる。
+0.7
+3.6
+4.1
① +1.6
+4.5
*米国経済の回復は輸出先の回復としての恩恵が
タイ
+1.9
+0.2
+2.0
②
+2.2
+2.6
見込まれる反面、米国の利上げによる投資資金の
+6.0
+6.1
+6.2
①
+5.5
+5.7
引上げやドル高による現地通貨の下押し圧力が懸
ベトナム
+4.1
+2.5
+4.0
②
+4.5
+5.5
念材料ともなるだろう。
+3.3 +3.8
+3.5
+3.7
① +3.7
韓国
*原油価格反転や米国利上げの前に、インフラ整備
+1.3 +2.4
+1.3
+2.1
② +2.0
等も含め経済・財政改革をどこまで進められるのか
上段①:GDP成長率
が、今後、中長期的な発展を遂げる鍵となりそうだ。
下段②:インフレ率
GDP成長率を上方修正
インフレ予想を引き上げ
*以下では主要各国に対するアジア開発銀行のコメ
ント等をみていく。
GDP成長率を下方修正
インフレ予想を引き下げ
*中国は成長予想が引下げられたが、3月上旬の全人代において2015年の成長目標が+7.0%とされ
たように、構造転換に伴なうゆるやかな成長鈍化は、想定の範囲内といえるだろう。
*モディ政権の改革進展が期待されるインドは、追加金融緩和や設備投資の持ち直しによる大幅な成
長加速を見込んでいる。インド中銀はプラスの実質金利を維持しつつ、慎重に利下げを行うだろう。
*財政改革のために補助金削減や増税を行うインドネシアやフィリピンでは、見通しは引下げられたもの
の、堅調な成長が見込まれている。
*予想が引き上げられたベトナムは、年を追うごとに成長が加速する見通しである。海外からの直接投
資が拡大し、製造業の後押しとなることが見込まれる。ベトナムは原油の純輸出国であるが、精製した
石油製品の純輸入国であるため、低い燃料価格は家計の可処分所得を押し上げて消費の刺激となる
だろう。原油安は政府の収入を縮小させるが、年度内は引き続き経済成長を促進していく見込みであ
るため、財政赤字は拡大する可能性がある。
(アジア開発銀行より髙木証券作成) (文責:佐野)
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