Today’s Headline ご参考資料 ご参考資料 “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン “ジュネーブから今を見る” 今日のヘッドライン 2014年10月22日 最近気になる、量的金融緩和の効果について 米国では量的金融緩和(QE)の終了が視野に入っているものの、ユーロ圏や日本ではQEが継続される見込みで ある中、QEの有効性に関する議論も盛んになっており、今後のQEの動向を占う上での注目点を述べます。 欧州中央銀行(ECB):関係者談=社債の買 い入れ、12月に決定も ロイター通信が2014年10月21日に複数の関係者の話として 欧州中央銀行(ECB)が流通市場での社債の買い入れを検 討しており、早ければ12月にも買い入れを決定する可能性 があると報道しました。ただし、ECB報道官はロイターに対し、 ECBはそのような決定をしていないと述べています。 どこに注目すべきか QEの効果、信用乗数、市場との対話 2008年に米国で始まった量的金融緩和(QE)は、米国では終 了が視野に入っているものの、ユーロ圏や日本では今後も QEが継続される見込みです。一方で、有効性に関する議論 も盛んになっています。今後のQEの動向を占う上で次の点に 注目しています。 まず、QEの(経済)効果について、米連邦準備制度理事会 (FRB)のバーナンキ元議長が退任直前のインタビューで「QE は実務的には機能したが、理論的には機能しない」とユニー クに表現しています。理論的にはQEは長期国債と短期の国 債(マネー)を交換(スワップ)してるに過ぎず、効果はないと の見方があります。しかし、バーナンキ元議長は「投資家が 長期国債保有への期待が高い場合」には効果があると述べ ています。そのQEの効果で多くのペーパーが共通して示唆 するのは次の2つで、(リーマンショックのような)金融市場の 崩壊を防ぐことと、長期国債利回りの低下です。 ただ、経済成長への効果を示唆する証拠は意外と少なく、む しろ弊害さえ指摘されています。例えば、弊害の一つが潜在 的なインフレリスクの上昇です。図表1に示したように、米国で はQEが始まってからマネタリーベースは急上昇しています。 マネタリーベース、マネーサプライ、そして名目GDP(国内総 生産)は2008年以前はほぼ、同じ動きをしていましたが、この 関係は崩れています。このギャップは理論的には長期的、潜 在的なインフレ要因となることも懸念されます。 次に、QEのプラス効果を高める方法として図表1のマネタリー ピクテ投信投資顧問株式会社 ベースとマネーサプライの伸びの差異にも注目しています(図 表1の①)。理由は、この差異は信用乗数の低下として示され るからです。名目GDPの上昇という経済成長を目指すには、 信用メカニズムの回復を図ることも大切と考えられます。 QEの効果を高める別の方法として市場との対話の重要性に 注目しています。例えばシカゴ連銀のエバンス総裁は最近の インタビューで、QE3においては「労働市場が回復するまで」 債券購入を続けると言明したことで、市場に安心感を与えたこ とが利回り低下などの効果を高めたとの考えを述べています。 最後に、米国の経験を踏まえ、現在の日欧のQEを見ると、市 場への強いメッセージでQEを実施した日銀の黒田氏は米国 流を踏襲する面もあると見られます。一方、資産担保証券 (ABS)やカバード債券の購入、うわさとは言え社債まで視野 にいれているECBは、ユーロ圏の分断化された信用市場のて こ入れによるプラス効果を期待しているようにも見られます。 しかし、現在までに公表されたプログラムでは、名前が示す量 的金融緩和というには量の点で不十分なことと、エバンス総 裁が指摘したメッセージの重要性の点でやや迫力不足と見ら れてしまう点を懸念しています。そして最も重要な点として、信 用市場の活性化は金融政策だけでは不十分で、需要を回復 させる財政政策などを併用するかにも注目しています。 図表1:米国のマネタリーベース、マネーサプライとGDP (四半期、期間:1980年10-12月期~2014年4-6月期) 800 700 600 500 マネタリーベース 2000年1-3月期=100として指数化 マネーサプライ 400 ①:信用乗数の低下 200 ②:貨幣流通速度の低下 300 QE3 名目GDP QE2 ① QE1 ② 100 0 80年 84年 88年 92年 96年 00年 04年 08年 12年 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成 ●当資料はピクテ投信投資顧問株式会社が作成した資料であり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的と したものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。●運用に よる損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。●当資料に記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆 あるいは保証するものではありません。●当資料は信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、 その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。●当資料中に示された情報等は、 作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。●投資信託は預金等ではなく元本およ び利回りの保証はありません。●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構 の対象ではありません。●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資者保護基金の対象とはなりませ ん。●当資料に掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するも のではありません。
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