KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL Cardiac Endothelin-1 Plays a Critical Role in the Functional Deterioration of Left Ventricles During the Transition From Compensatory Hypertrophy To Congestive Heart Failure in Salt-Sensitive Hypertensive Rats( Abstract_要旨 ) Iwanaga, Yoshitaka Kyoto University (京都大学) 1999-03-23 http://hdl.handle.net/2433/181706 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 氏 名 窟 岩 墓 士 学 位 (専 攻 分 野 ) 博 学 位 記 番 号 医 博 学 位 授 与 の 日付 平 成 11年 3 月 23 日 学位 授 与 の要件 学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当 研 究 科 ・専 攻 医 学 研 究 科 内 科 系 専 攻 学 位 論 文 題 目 Ca r di a cEndo血e l i n1Pl a ysaCr i t i c a lRol ei nt heFunc t i o na lDe t e r i o r a t i onof 第 ( 医 篇 学) 2090 号 Le f tVe nt ic r l e sDur i ngt heTr a ns i t i onFr om Compe ns a t o r yHype r t r o phyTo Co l l g e S t i v eHe a r tFa i l ur ei nSa l t Se ns i t i v eHype r t e ns i v eRa t s ( 心筋 エ ン ドセ リン - 1は食 塩感 受性 高血 圧 ラ ッ トにお け る代 償 性 心肥 大 か ら心 不 全 - の移 行 に際 す る左 室機 能 不 全 進 行 に重 要 な役 割 を果 た している) ( 主査) 論 文 調 査 委 員 教 授 野 間 昭 典 論 文 教 授 中 尾 一 和 内 容 の 要 教 授 篠 山 重 威 旨 【 テーマ】 肥大心筋お よび不全心筋 にお ける局所エ ン ドセ リン- 1の制御 と役割 -ダール ラ ッ ト心不全モデル を用いた検討 - 【 背景 と目的】 エ ン ドセ リン- 1 ( ET-1) は血管 内皮細胞 の上清 よ り強力 な血管収縮性ペ プチ ドとして発見 され た。 その後の研究によ り,心筋細胞 な ど多 くの細胞 で産生 され るこ とが明 らかになった。その受容体 も様 々な細胞で発現 してお り,単に循環ホル モ ン としてのみな らずオー トクライ ン/パ ラクライ ン因子 として様々な病態 に関与 していることが示唆 されている。 I nv it r o心筋培養細胞肥大お よびi nvi vo急性圧負荷心にてg r o wt hpr o mo t i ngpe pt i deとしてのET-1の関与が明 らかになっ てい る。 また心不全 において,血衆 中ET・1が上昇 してい る との報告があ り,その上昇 は血行動態,NYHAクラスあるいは 予後 と相 関 してい る とい う。 そのため,近年 ET-1の心不全の病 態生理での役割 ,更 にはエ ン ドセ リンレセプタ一括抗薬の 心不全治療薬 としての展望が大 きな関心 を集 めてい るが,心筋局所での制御 と役割 に関 しては殆 ど明 らかになっていない。 代償性圧負荷心肥大か ら非代償性心不全-の明瞭な移行 を示す ダール ラッ ト心不全モデル を用いて,肥大心お よび不全心 にお ける心筋局所 ET-1の制御 と病態上の役割 を究明 した。 【 方法】 ( 1 )6週齢 よ り高食塩食負荷 を行 い作成 した心肥大期 ( 11 週齢 )お よび心不全期 ( 1 7週齢) のダール食塩感受性 ラッ トを 用い,血圧測定,経胸壁心エ コー法 による左室機能/形態の測定後,血衆及び心筋 内のET-1ペ プチ ドレベル を定量 したO 同時 に左 室 心筋 よ りRNAを抽 出 し, 定量 的RTI PCR法 を用 い て pr e pr o ET・1 ( PPET-1) お よびエ ン ドセ リン変換酵素 ( ECE)のmRNAレベル を測定 した。 また,左室心筋 において特異的抗体 を用いた免疫組織化学 によ りET1 の局在 を検討 し た。対照 としては同週齢 のダール食塩抵抗性 ラッ トを用いた。 ( 2)1 1 週齢 の心肥大期 ダール食塩感受性 ラ ッ トを以下の三群 に分 けた。①エ ン ドセ リン複合型受容体桔抗薬 ;ボセ ンタン ( bo s e nt an;1 0 0 mg / k g / day)慢性投与群,② α 1受容体桔抗薬 ;ドキサ ゾシン ( do xaz o s i n;1mg / k g / day)慢性投与群,③ve hi c l e 投与群。 そ して,生命 予後お よび血圧 ,左 室機能 ( 左室短縮率 ;FS) ,左 室形態 ( LV/ BW) に及 ぼす影響 を経 時的に - 538- 観 察 した。 【 結果 】 ( 1 )心肥大期 では,Ⅰ . Ⅴ/BWは対照の 1.5倍 に増加 したが,FSは正常 に保 たれ ていた。血祭,心筋 内ET-1ペ プチ ドお よび ppET・1,ECEmRNAレベル に変化 を認 めなかった。 心不全期 では,左 室拡張期 内径 は拡大 しFSは4 6%の低下 を認 めた。 1 ペプチ ドは対照の5. 5倍 ,ppET・1は4 . 1 倍 , ECEmRNAレベル は 1 . 6 倍 に上昇 していた。免疫組織 その際,左室心筋 内ET化 学では,主に左 室心筋細胞でET-1活性 が濃染 された。 また,左 室心筋 内ET-1ペ プチ ドレベル はLV/BW とは相 関を認 r-0. 85 6,p<0. 01) を認 めた。 めなかったが,FSと負 の相 関 ( ( 2 )経過 中,血圧 はv e hi c l e 群 に対 してボセ ンタン群 , ドキサ ゾシン群 ともに1 0-2 0 mm Hgの同程度 の低 下 を認 めた。 ボセ ン 6%か ら9 3%に延長 した ( 1 7 週齢 ;p<0 . 01)。 ところが ドキサ ゾシン群 においては生存率の タンの慢性投与 によ り生存率は3 4 2% ;p-0. 8 5vsve hi c l e群),左室肥大の進行お よびFSの低 下に も変化 はなかった。 ボセ ンタン投与群 で 延長 は認 めず ( 6%抑制 され ていた ( 1 7 週齢 ;p<0 . 01)。 は左室肥大の進行 に対照群 と比較 して変化 が示 され なかったが,FSの低 下は5 【 考察】 心筋局所エ ン ドセ リン系は,代償性肥大心においては活性化 はみ られず その役割 は小 さい と考 え られた。 ところが心不全 移行 において左室機能 の低下に伴 って,基質お よび変換酵素の両遺伝子 レベルで活性化 され ることが明 らか となった。エ ン ドセ リン受容体括抗薬 の慢性投与 によ り,左室肥大の進行 には影響せず,その血管拡張作用 とは独 立 して左 室機能不全 の進 行 を抑制 した。つま り心筋局所エ ン ドセ リン系は,左室機能不全 の進展 に直接 的な役割 を演 じてい ることが示 された。本研 究 においては, もともとは陽性変力作用 をもつエ ン ドセ リン- 1が肥大/不全心 とい う病的心筋 において機能不全 を進行 さ せ ることが示 されたが,その機序 に関 しては未 だ明 らかではな く今後の課題 と考 え られた。本研究は,心不全 において心筋 局所エ ン ドセ リン系 を制御す ることが新 たな治療 ターゲ ッ トとなる可能性 を示唆 してい る。 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 高血圧性肥大心か ら不全心-の移行過程 を明瞭に再現す るダール食塩感 受性 ラ ッ トを用いて,心不全移行 に際 して組織エ ン ドセ リン系の活性化 が認 め られ ることを兄い出 した。左室機能不全 の進行 に直接的な役割 を果た してい ることも明 らかに なった。肥大心,不全心におけるエ ン ドセ リンの役割 については,既 にい くつかの報告があるがそれ らは肥大因子 としての 観 点か らであ り,心筋機能修飾 因子 としての役割 の同定は,その本質 を突いた新たな知見 と考 え られ る。 その活性化 が上流 因子 のupr e g ul at i o nに よって生 じてい ることを示す とともに,エ ン ドセ リン受容体阻害薬 の慢性投与 に よってその役割 が 適確 に示 された。 以上の研 究は心不全の新たな病態生理 を示 したのみな らず,心筋局所エ ン ドセ リン系の抑制 が心肥大,心不全治療 の新た なズ トラテジー とな る可能性 を示唆す るもの と考 え られ る。 従 って,本論文 は博士 ( 医学) の学位論文 として価値 あるもの と認 める。 尚,本学位授与 申請者 は,平成 1 1 年 2月 1日実施 の論文内容 とそれ に関連 した諮 問を受 け,合格 と認 め られた ものである。 -5 3 9-
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