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筑波山における地質・地形と風化生成物の関係(卒業論文
要旨)
加野, 律子
お茶の水地理
1983-04-15
http://hdl.handle.net/10083/11515
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Departmental Bulletin Paper
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お茶 の水地理
こうした実態 で,今後は農住混在地 区での生産
拡大は困難 とな り,企業経営 の畜産 な どは郊外へ
第 24号
1
9
83
年
志 向が強ま り,農地 はさらに減少 し,荒廃地化 ・
家庭菜 園化が進む ことが予測 され る.
移転 してい る.全体的には,土地管理型の非農業
筑波 山にお、
け る地質 ・地形 と風化生成 物 の関係
加
地表 を覆 う物質 としての風化生成物 について,
野
律
子
母材 とす る風化生成物 よりも粘土化 が進んでお ら
地質 ・地形 との関係か ら考察す るのが本研究の 目
ず,風化作用 を受 けた時間が短 い と考 えられ る.
的である.研究 の対象 となった筑波山は,花 コウ
3. 花 コウ岩の風化生成物の層 は,下部がクサ レ
岩 と斑 レイ岩の二種類の深成岩類か らな り,急 な
樵,その上 が明褐-赤褐色の砂疎∼砂質粘土層,
傾斜を もつ山頂部 に斑 レイ岩が露出 してい る. こ
表 層 が暗褐色の粘土層 と 3層 に区分 で きるが,班
の斑 レイ岩 は二種 に大別 され,女体峰付近 には カ
レイ岩では この ような区分はない.斑 レイ岩の層
ンラン石- ンレイ岩 が,男体峰付近 には シソキ石
は全体 が粘土質で,下部には 5
0
-7
0
c
m の亜角味
斑 レイ岩 が分布す る.花 コウ岩は山麓 の一部 に露
をはさみ,地表 に近 づ くにつれ僕 が小 さくなる傾
出す るが,残 る山体の大部分 には岩層 が堆積す る.
向があった. この地層 の違いは花 コウ岩 と斑 レイ
現地調査 と脱鉄処理 を した試 料の検鏡か ら判明
岩 の風化の過程の違 いを反映 した ものであ る.す
した ことを以下 にま とめ る.
なわ も,花 コウ岩 は風化の過程 で粒状分解す るの
1. L
U体の南斜面 では風化生成物 と地質 の対応 が
に対 し,斑 レイ岩 は裸 の表面か ら粘土化が進む こ
よい.女体峰付近の風化生成物 にはキ石 が少 な く,
とが原因であろ う.
男体峰付近 にはキ石に富む ものがみ られ る.中腹
4
. 風化度は長石 の風化生成物 の凝集体か ら知 る
の筑波山神社周辺の風化生成物 は有色鉱物 が非常
ことがで きるようである.風化が進むほどこの凝
に少 な く,花 コウ岩が母材であった.山麓 の風化
集体 を構成す る長石の粒 が小 さくな り褐色を帯び
生成物 は山頂付近 ほ ど有色鉱物 が多 くないが,花
て くる.凝集体 がみ られないのは花 コウ岩の クサ
コウ岩の風化生成分 よりほ多 く,花 コウ岩 と斑 レ
レ裸や火山灰 の大部分で,凝集体 が多いのは表土
イ岩の両者を母材 とす る風化生成物 が堆積 してい
であ った. とくに,山頂付近 の斑 レイ岩を母材 と
た.山麓 に この ような風化生成物 がみ られ るのは, す るものは,長石 が単体 として存在せず,濃 い褐
緩傾斜のために,山頂 か らの斑 レイ岩 の岩層 が堆
色 を呈 していた.
積 Lやすか ったためであろ う.
この研究 では,微地形 と風化生成物 との関係を
2. 山体 の ところどころに鹿沼パ ミスをはさむ火
詳 しく調査で きなか ったが,斜面上 の風化生成物
山灰層 が堆積す る. これ らは有色鉱物 が非常 に少
を考 える場合,地形 との関係を見逃す ことはで き
な く,粒径 が0
.
0
1以下 の ものが多い.深成岩類を
ない. これは今後 の課題 である.
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