KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL Effect of maturation on nerve excitability in an experimental model of threshold electrotonus( Abstract_要旨 ) Yang, Qing Kyoto University (京都大学) 2000-03-23 http://hdl.handle.net/2433/180851 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 氏 名 抜 去 学位( 専攻分野) 博 士 ( 医 学) 学 位 記 番 号 医 博 学位授与の日付 平 成 1 2年 3 月 23 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当 研 究 科 ・専 攻 医 学 研 究 科 脳 統 御 医 学 系 専 攻 学 位論 文題 目 Ef f ectofmat ur at i on on ner veexci t abi l i t yi n an exper i ment almodelof 第 221 7号 t hr es hol del ect r ot onus ( 閥値電 気 緊 張 法 の動 物 実 験 モデ ルを用 いた末 梢 神経 の興 奮 性 に対 す る成 熟 の影 響 につ いて) 論 文調査委員 芽 ㌔ ) 大 森 治 紀 独 教 授 井 出千 束 文 内 容 の 要 教 授 柴 崎 浩 旨 Thr e s hol de l e c t r ot onus法 ( 関値電気緊張法;TE法)は,1 9 8 8年に Bos t oc kらにより考案 された検査法で,生休におい て ヒトの末梢神経の膜電位変化や K+チ ャネルなどの機能を,簡単に非侵襲的に評価することができる方法であるO従来の 神経伝導検査は,伝導速度,伝導 ブロック,伝導 している神経線維数を調べ るものであり,それ らの もた らす情報 は神経線 維その ものよりも,それを取 りまく髄鞘の機能を,より多 く反映 している。 従 って,TE法は従来の神経伝導速度を補完 し, 神経線維そのもの機能を臨床的に知 る有力な検査法 となることが期待 される。 iS w 最近.TE法の臨床応用がなされ,筋萎縮性側索硬化症 や糖尿病性 ニュー ロパ テ-,中毒性 ニューロパ チ-,Le Sumne r症候群,monome l i camyot r ophywi t hs pi nalhe mi a t r ophy( MASH)の患者 において,その異常が報告 されてき たが, それ らの解釈については末だ不明な部分が多い。そこで動物を用いて TE法でみ られる変化の意味する生理学的意義 を調べることとし, ラットの尾神経を用いた TE法の実験モデルを考案 した。本方法を用いて, ラットの成長による末梢神 経軸索機能の変化を検討 した。 『 対象 と方法』 (1)対象 : Wi s t a rr at9 0gか ら6 5 0gまでの 7 7匹を用いた。ヒトの結果 と比較するため健常成人 8人 ( 男性 6人)について TE法を 用いて記録を行 った。 (2)実験的 TE法の記録 : 一 Wi s t arr atにベ ン トパル ピタ-ルを腹腔内注射 して麻酔 し, その尾部を 3 5 ℃ に保 ったゴム製の台の上に置 くo 尾の近位 部に刺激電極を置 き, その末梢側 6c m に記録用針電極を挿入 し,尾部に 2 0 %,4 0 % の脱分極及び過分極の条件刺激 ( 1 0 0 ms )を与えて,最大 CMAP振幅 の3 0 % の振幅を得るために必要な試験刺激電流を計測 した。 試験刺激 は, Oms ∼l o oms までの条件刺激申及びその後の 1 0 0msの計 2 0 0msの間に,刺激 タイ ミングを順次ず らしなが ら与えたO (3)TE記録の解析 : Fas tK+チャネルの機能の評価 として,4 0% 脱分極時の 1 0-2 0ms部分 ( TEdl 0-2 0 )の閑値変化の平均を,s l owK+ チャネルの機能の評価 として,4 0 % 脱分極時の 9 0- 1 0 0ms部分 ( TEd9 0-1 0 0 )の開値変化の平均か らTEdl 0-2 0を減 R)の評価 として,4 0 % 過分極時の 1 0- 2 0ms部分 ( TEhl 0-2 0 )の閑値変化の平均を用い じたものを,また髄節間抵抗 ( た。それ らの値 と日齢の指標 となる体重 との相関を統計学的に分析 した。 (4)薬理学実験 : Wi s t a rr at1 5匹 ( 9 0- 1 0 0g:5匹,2 0 0- 31 0g:5匹,4 4 0- 6 5 0g:5匹)を用いて薬理学実験を行 った。 6匹のラッ 2 5ー6 トに f a s tK+チ ャネルの ブロ ッカーである 4ar ni nopyr i di ne (4-AP) を腹腔内に授与 し, 9匹には, 内向 き較正電流 ( i nwar dr e c t i f i e r )の ブロ ッカーであ る Cs Clを腹腔内 に投与,2 0分後 に TEの記録 を行 ったo 『結果』 (1)成熟 した ラッ トの TE記録 は, ヒ トの TE記録 とよ く似ていたが,閥値変化 は ヒ トよ りも少 なか った。 (2)髄節部 f as tK+チ ャネルは,成長 に伴 って体重 3 3 0gまで発現 の増加が認 めたが,3 3 0g以降,突然低下 し,4 0 0g以 降 は安定 していた。 (3)s l owK+チ ャネル活性 は成長 に伴な う有意 の変化 を示 さなか った。 (4)髄節間抵抗 (R)は成長 に伴 って軸索径の増大がお こるために次第 に滅小 して くるが,体重 3 3 01 g以降 は安定 してた。 潜時 も同様 の変化がみ られた。 (5) 4lAPは,幼君 ラッ ト ( 9 0g-31 0g)において f a s tK+チ ャネルを選択的 ブロ ック した。Cs Clは幼若,成熟 ラッ ト i nwar dr e c t i f i e r )を同様 にブロ ックした。 の内向 き較正電流 ( 『 結論 と考察』 (1)幼君 ラッ トでは加齢 とともに f as tK+チ ャネルの髄節 での発現が増加す るが,成熟 ラッ ト ( 4 0 0g-6 5 0g)では,髄 節 の脱分極 によ って も f a s tK+チ ャネルは活性化 されな くなる。 これ は髄鞘の完成 に伴 って傍髄節部 の f as t K+チ ャネルが 機能的 に隔絶 され るため と考え られた。 (2)成熟 ラッ ト ( 4 0 0g-6 5 0g)で は, TE法での記録 では体重 に伴 な う変化がみ られなか った. (3)上記 の結果か ら TE法を用 いて ラッ トの群問比較や経時的変化 の観察 を行 う場合 には,4 0 0g以上 の ラッ トを使用す る必要があるO (4)TE法 は f as t K+チ ャネルテ内向 き較正電流,軸索 と髄鞘のケー ブル特性 を反映す ることが実験的 に証明 された. (5)TE法の臨床応用 はまだ始 まったばか りであ り,今後様 々な末梢神経障害の検査 に利用 され るだ けでな く,病態解明 や治療法の開発 に貢献 してい くもの と考 え られ るO その解釈 にあた って ラッ トのモデルは重要であるO 輸 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 Thr e s hol de l e c t r ot onus法 (閥値電気緊張法 ;TE法)は,生体 にお いて ヒ トの末梢神経軸索の膜電位変化 や K+チ ャネ ルなどの機能 を短時間 に非侵襲的 に評価す る方法であ り,臨床的 に神経線維軸索械能 を検査す る有力な手段 となることが期 待 されている。本研究 では, ラッ トの尾神経 を用 いた TE法の実験 モデルを作成 し, ラッ トの成長 に伴 う末梢神経軸索機能 7匹を用 いて,尾 の近位部 に刺激電極 を置 き,その末梢側 6c m に記録用針電極を挿 の変化を検討 した。 ウィス ター ラ ッ ト7 0% および 4 0 % の脱分極及 び過分極 の条件刺激 ( l o oms )を与 えて,最大活動電位の 3 0% の振幅を得 るため 入 し,尾部 に 2 a s tK+チ ャネルの機能 ,s l owK+チ ャネルの機能,およびそれ に必要 な試験刺激電流 を計測 した。TE記録 の解析 として f as tK+チ ャネルの らの値 と体重 との相関 を統計学的 に解析 した。その結果,幼君 ラッ トで は,加齢 とともに髄節 において f 発現が増加す るが, 体重 3 5 0gを境界 と して, 髄節 の脱分極 によ って も f a s tK+チ ャンルは活性化 されな くな った。 成熟 ラッ トで は,TEの記録 では体重 に伴 な う変化がみ られなか った。従 って,TE法 を用 いて ラ ッ トの群間比較 または経時的変 化 の観察 を行 う場合 には,成熟 ラッ トを使用す る必要が ある。また,TEは K+チ ャネルや内向 き整流電流 ( I r )を反映す る ことが実験的 に示 された。 以上 の研究 は, TE法 を末梢神経障害の検査 に応用す るに当 ってその理論的裏付 けを与 え, その癖熊 の解明 と治療法の開 発 に寄与す るところが多 い。 したが って,本論文 は博士 ( 医学) の学位論文 と して価値 ある もの と認 め る。 なお,本学位授与 申請者 は,平成 1 2年 2月 2日実施 の論文内容 とそれ に関連 した試問を受 け,合格 と認 め られた ものであ る。 -6 2 6--
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