Page 1 Page 2 Page 3 ルギーリ ン酸化合物は早期に回復した〟 さらに

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
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Heat shock preconditioning ameliorates liver injury following
normothermic ischemia-reperfusion in steatotic rat livers.(
Abstract_要旨 )
Yamagami, Kazuhiko
Kyoto University (京都大学)
1999-03-23
http://hdl.handle.net/2433/181689
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
氏
名
やま
がみ
かず
ひこ
山
神
和
彦
(
医
学)
学 位 (専 攻 分 野 )
博
士
学 位 記 番 号
医 博
学 位 授 与 の 日付
平 成 11年 3 月 23 日
学位 授 与 の要件
学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
医 学 研 究 科 外 科 系 専 攻
学 位 論 文 題 目
He
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2073 号
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.
(
熱 シ ョ ック前 処 置 に よっ て脂 肪 肝 に もた ら され る温 阻血 耐 性 に 関す る
研究)
(
主査)
論 文 調 査 委 員
教 授 清 野
論
裕
文
内
教 授 千 葉
容
の
勉
要
教 授 山 岡 義 生
旨
(
背景)脂肪肝 は最 も頻度 の高い障害肝 で あ り,微小循環障害,酸化 ス トレス障害 な どを伴 う温阻血再潅流 障害 に脆 弱で あ
る。肝移植 においては脂肪肝 グラフ トの生者率 が悪 く,拡大肝切 除術 においては脂肪肝 は術後肝不全 を生 じやす い事 が判 明
してい る。 従 って, これ らの外科的治療 をよ り安全 に遂行 で きるた めには,温 阻血再潅流障害 を軽減 させ る手段 を開発す る
ats
ho
c
kpr
o
t
e
i
n
こ とが重要 とな る。我 々は熱 シ ョック前処置 が正常肝 において虚 血再潅流障害 を軽減 させ , この効果 がhe
2の誘 導 と肝 阻血再潅流
(
HSP)72の誘 導 と関連 してい るこ とを報告 した。今 回,熱 シ ョック前処置 の脂肪肝 にお けるHSP7
障害の軽減 効果 , さらに肝組織 の微 小循環障害 ,酸化 ス トレス障害 か らの保護 効果 について検討 した。
wi
sラ ッ トに コ リン欠 乏食 を 4週 間摂 取 させ脂肪 肝 を作成 した。 これ らの脂 肪肝 ラ ッ トを コン トロール 群
(
方法) 雄性 Le
(
C群 :麻酔 のみ) と熱 シ ョック前処置群 (
HS群 :麻酔 下 に42℃ の恒温槽 で全身 を 1
5分 間加 温す る。) の二群 に分 けた。熱
シ ョック前処置4
8時間 目のHSP7
2の誘導 をWes
t
e
r
nbl
o
t
t
i
ng法 にて確認 した。 また熱 シ ョック前処置 か ら4
8時間の回復 を待 っ
5
分 間の致死的肝温阻血 をプ リングル民法 にて負荷 した。温 阻血前,再潅流直前並び に再潅流 4
0分後 にお ける血衆 中肝
て ,4
AST,ALT,LDH),肝組織 内高エネル ギー リン酸化合物 (
ATP, EC) を両群 にて比較 した。 再潅流 4
0分 時の
逸脱酵素 (
E.
染色 にて,酸化 ス トレス障害 の程度 を抗 HNE修飾 蛋 白抗体 に よる免疫組織染色 にて検討 した。 さらに温阻血
肝組織 をH.
負荷後 7日目の生存率 を両群 にて比較検討 した。
2の発現 はHS群 にのみ認 め られ ,HSP7
2の誘 導時間経過 は
(
結果) コ リン欠乏食 に よ り中等度脂肪肝 が作成 された。 HSP7
正常肝 よ り早期 に出現 し,早期 に消失 した。温 阻血前並び に再潅流直前 において両群 間に,肝逸脱酵秦 ,高エネル ギー リン
0分時ではHS群 はC群 に比べていずれ も有意 に良好 な結果 を得 た。
酸化合物量 に有意差 を認 めなかった。 しか し,再潅流 4
AST
ALT
LDH
ATP
EC
C群
467.
7±1
85
51
8.
7±8
0.
3
11
2
95±2
21
3
0.
93±0.
3
5
0.
5
6±0.
1
2
HS群
3
06.
0±42.
6
2
9
9.
3±5
0.
3
6
49
4±1
637
1
.
57±0.
5
9
0.
67±0.
1
0
0.
01
47
0.
0
0
01
0.
0
0
01
0.
0
0
83
0.
03
60
p値
肝組織 H.E.染色 はC群 で強い欝血,肝細胞 のs
po
t
t
yne
c
r
os
i
sを認 めた。 しか し,HS群 では これ らの変化 は抑制 され てい
た。 HNE修飾 蛋 白の形成 もC群 に比 してHS群 では抑制 され ていた。術後 7日目の生存率 もHS群 はC群 に比 して有意 に良好
C群 ;5/
1
5,HS群 ;1
3
/
1
5,D-0
.
00
2
9)
0
であった (
(
考察 )熱 シ ョック前処置 は脂肪肝 において もHSP7
2の誘 導 が可能 で あった。 正 常肝 との誘 導 時 間経過 の差 は肝 細胞 内
での脂肪滴沈着 が比熱 あ るいは熱伝導等 の内部環境 を変化 させ た可能性 を示唆 した。 また熱 シ ョック前処置 は正常肝 同様 に
脂肪肝 において も温阻血再潅流障害 に対 して肝保護効果 を付 与 し,温阻血再潅流後 の肝逸脱酵素 の上昇 は抑制 され,高エネ
-5
03-
ル ギー リン酸化合物 は早期 に回復 したO さらに再潅流後の響血 が抑制 され,微小循環 の改善 も認 めた. その結果HS
群 の生
修飾蛋 白の形成 が抑制 された事 よ り,熱 シ ョック前処置 は少 な くとも蛋 白レベル で
存率が改善 され た と考 え られ た。 HNE
酸化 ス トレス耐性獲得 に関与 してい るもの と考 え られた。脂肪肝 にも熱 シ ョック前処置 によって虚血耐性 を付与す ることで
肝臓外科 にお ける温阻血再潅流障害 とい う困難 な問題 を解決す る方策が兄い出 された。
論
文
審
査
の
結
果
の
要
旨
本研 究では脂肪肝 に熱 シ ョック前処置 を施す ことで肝温阻血耐性 を獲得できるかを検討 した。 コ リン欠乏食 にて作成 され
(
C群 :麻酔のみ) と熱 シ ョック前処置群 (
HS群 :全身 を4
2
℃1
5
分で加温)の二群 に分 け
8
時間後 に4
5
分間の致死的肝温阻血 を負荷 した。 HS
群のみHS
P7
2の誘導が同時期 に認められた。
た。熱 シ ョック前処置か ら4
0
分後 における肝逸脱酵素 (
AS
T,ALT,LDH)
,肝組織 内高エネルギー リン酸化合物 (
ATP,
術後 7日目の生存率,再潅流 4
た脂肪肝 ラッ トをコン トロール群
EC)はC群 に比 してHS群で有意 に良好であった。更に同時期の肝組織H.
E.
染色はC
群 で強い欝血,肝細胞のs
po
t
t
yne
c
r
os
i
s
を認 めるのに対 し,HS
群 では これ らの変化 は抑制 され微小循環の改善が示唆 された。 HNE
修飾蛋 白の形成 もHS
群では抑制
されてお り酸化ス トレス耐性獲得が認 め られた。
以上の研 究は脂肪肝 に熱 シ ョック前処置 によ り温阻血耐性 を付 与できることを示 し,温阻血 を回避 できない拡大肝切除,
肝移植 をよ り安全 に遂行 しうる方策 として肝臓外科,肝移植外科 に寄与す るところが多い。
したがって,本論文は博士 (
医学)の学位論文 として価値 あるもの と認 める。
なお,本学位授与 申請者 は,平成 1
0
年1
2
月2
8日実施 の論文内容 とそれ に関連 した試 問を受 け,合格 と認 め られた ものであ
る。
-5
0
4-