KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL Role of Insulin-like growth factor-2 in colorectal cancer.( Abstract_要旨 ) Kawamoto, Kazuyuki Kyoto University (京都大学) 1998-11-24 http://hdl.handle.net/2433/156995 Right Type Textversion Thesis or Dissertation author Kyoto University 氏 名 かわ もと かず ゆき 河 本 和 幸 ( 医 学) 学 位 (専 攻 分 野 ) 博 士 学 位 記 番 号 医 博 学 位 授 与 の 日付 平 成 1 0 年 11月 2 4日 学位 授 与 の要件 学 位 規 則 第 4 条 第 1項 該 当 研 究 科 ・専 攻 医 学 研 究 科 分 子 医 学 系 専 攻 学 位 論 文 題 目 Rol eofI ns ul i nl i keg r owt hf a c t o r1 2i nc ol or e c t a lc a nc e r . 第 2058 号 ( 大腸 癌 にお け る I ns ul i nl i keg r owt hf a c t o r 2の役割) ( 主査) 論 文 調 査 委 員 教 授 下遠 野 邦 忠 論 文 内 教 授 容 日合 の 要 弘 教 授 今 村 正 之 旨 I ns ul i nl i keg r o wt hf ac t o r -2 ( I GF・2) は種 々の細胞 の増殖 を刺激 し,特 に胎生期 の成長 に重要 な増殖 因子 であるO加 GF齢 とともにその発現 は減少 し,成人期 には肝 ,神経組織 な ど一部 の臓器 で しか発現 が認 め られ な くな る。悪性腫癌 とI 2の関連 の報告は多 く,大腸癌 で もい くつかの細胞株及び切除標本 で発現 の増強が報告 され てい る。細胞株 を使用 した実験 ut o c r i nel o o pの形成 を証 明 した報告 もあるが,実際の大腸癌患者 において どの よ うな作用 を してい るかは,殆 ど明 ら ではa かにされていない。 GF-2を 自ら分泌 し,細胞増殖 を刺激 してい るな ら,I GF-2発現例 では細胞増殖活性 が増加 してい る可能 大腸癌細胞 がI 性 がある。 大腸癌原発巣 のI GFl2染色 と細胞増殖活性 の指標 としてのPr o l i f e r at i ngc e l lnuc l e arant i g e n( PCNA)染色 を 行い,臨床病理 因子及び予後 との関連 を検討 した。 I GF-2は正常大腸粘膜 に比べ大腸癌原発巣 で高率 に発現 していた。特 に大 きな,深 く浸潤 してい る腫療 ほ ど高率 に染色 され る傾 向があ り,細胞増殖活性 の指標 であ るPCNA染色 とも相 関があるこ とか ら,I GF-2が大腸癌細胞 の増殖 を刺激 し GFl2染色 陽性群 では有意 に予後不 良であ り,多変量解析 の結果 Duke s 分 てい る可能性 が示唆 され た。 予後 との検討 ではI GF12染色 は有意 な予後 因子 と考 え られ た。 PCNA染色 では最大腫療径 ,壁深 類,壁深 速度 , リンパ節転移 な どと同様 にI 速度,組織分化度, リンパ管侵襲,静脈侵襲 と有意 な関連 を認 めたが,予後 との検討 では有意差 は認 め られず,独立 した予 後因子 とは考 え られなかった。 GF-2は成人 の肝臓 で産生 され るこ とが知 られ てい る。 ゆえに大 大腸癌細胞 の増殖 を刺激す る因子 の一つ と考 え られ るI 腸癌肝転移巣では肝細胞 の産生 したI GF12がpa r ac r i ne的に癌細胞 に作用 し,転移巣形成 を有利 に してい る可能性 がある と 考 え,大腸癌肝転移巣 のI GF・2とその リガ ン ドのI GF-1レセ プ ター ( I GF-1R)の発 現 を検討 した。 また細胞増殖活性 の GF-2染色 に対 しては腫癌 中心部,腫癌先進部,腫癌近傍部 指標 としてPCNAの染色 を同時 に行っ た。組織切片 の観 察 はI GF-1R,PCNAについては腫癌先進部でのみ行 った.正常肝 のI GFl2染色率は8 0%を 肝そ して遠位部肝 の 4カ所 で行い ,I 超 える高率であった。特に肝転移巣近傍 では肝細胞 が帯状 に強陽性 に染色 され る症例 が多 く認 め られた。連続切片 に対す る i ns i t uhydr i di z at i o nの結果 は,肝転移巣近傍 の肝細胞 でのI GF-2mRNA発現の増強 を示 していた。肝転移巣先進部 ではI GF-2,I GF-1R染色陽性率は高値 であったO 陽性症例 では陰性症例 に比べPCNA染色率が有意 に高値 を示 し,細胞増殖活 性 が高か った。I GF-2は大腸癌 のaut o c r i neg r o wt hf ac t o rのひ とつ と考 え られ てい るが,大腸癌肝転移巣 では肝細胞 由来 GF12がpar ac r i neに癌細胞 に作用 し,転移巣形成 に有利 に作用 してい る可能性 が示唆 された. のI I GF12は大腸癌細胞 の増殖 に関わ る重要 な因子 のひ とつ と考 え られ る.新 たな予後 因子或いは肝転移巣 に対す る治療 の 新たなターゲ ッ トとなる可能性 があ り,今後更なる検討 を加 えてい く必要がある。 - 473- 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 I GF-2) は大腸癌細胞の 自己増殖 因子 と考 え られてい る。 しか し実際の大 胎生期 に重要なイ ンシュ リン様増殖 因子 2 ( GF-2発現 と臨床病理因子及び予後 腸癌患者 での作用 については,殆 ど明 らかでない。 まず大腸癌患者 92例の原発巣でのI GF・2を産生す る肝臓 での大腸癌転移巣 のI GF-2発現 を30例 において検討 した。 との関連 を検討 し,次にI I GF-2は大 きく,深 く浸潤 してい る症例 ほ ど高率に染色 され ( 大きさ,壁深達度それぞれp-0. 022,0. 02 6),大腸癌細胞 の増殖促進因子 と考 え られた.更にI GF-2染色陽性群では予後不 良であ り ( p-0. 01 3),I GF-2染色 は有意な予後因子 と考 GF-2染色陽性症例では細胞増殖活性が高 く ( p-0. 0065),なおかつ近傍の肝細胞のI GFl2 え られた。一方肝転移巣でのI 発現が増強 してお り ( 22例 ,7 3%),肝転移巣では肝細胞 由来のI GF-2が癌細胞 に作用 し,転移巣形成 を有利 に している可 能性が示唆 された。 GF-2の役割 の解 明に貢献 し,新たな大腸癌の予後因子,肝転移 に対す る治療法 以上に研 究は大腸癌細胞増殖 におけるI の開発 に寄与す るところが多い。 したがって,本論文は博士 ( 医学)の学位論文 として価値 あるもの と認 める。 なお,本学位授与 申請者は,平成 1 0年 1 0月 21日実施 の論文内容 とそれに関連 した試問を受 け,合格 と認 め られたものであ る。 - 47 4-
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