Page 1 Page 2 【 247 】 せ がわ たけ ひこ 氏 名 清 川 岳 彦 学位(専攻

KURENAI : Kyoto University Research Information Repository
Title
Author(s)
Citation
Issue Date
URL
Prostate-specific amplification of Expanded Polyglutamine
Expression : A Novel Approach for Cancer Gene Therapy(
Abstract_要旨 )
Segawa, Takehiko
Kyoto University (京都大学)
1999-03-23
http://hdl.handle.net/2433/181732
Right
Type
Textversion
Thesis or Dissertation
none
Kyoto University
氏
名
せ
がわ
たけ
ひこ
清
川
岳
彦
(
医
学)
学 位 (専 攻 分 野 )
博
士
学 位 記 番 号
医 博
学 位 授 与 の 日付
平 成 11年 3 月 23 日
学位 授 与 の要件
学 位 規 則 第 4条 第 1項 該 当
研 究 科 ・専 攻
医 学 研 究 科 外 科 系 専 攻
学位 論 文 題 目
Pr
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7 号
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(
前 立腺 特 異 的伸 長 ポ リグル タ ミン発 現増 幅 法 :癌 遺伝 子 治 療 の新 しい
アプローチ)
(
主査)
論 文 調 査 委 員
教 授 野 田
論
文
亮
内
教 授 鍋 島 陽 一
容
の
要
教 授 小 川
修
旨
癌 の違法子治療 においては,治療遺伝子 をいかに して癌選択的 に効率 よく発現 させ るかが一つの課題 である。それ を達成
す るアプ ローチ として,癌組織特異的に発現 してい る蛋 白を同定 し,その遺伝子 の発現制御領域,す なわち組織特異的プ ロ
モー ター を用いて治療遺伝子 を発現 させ る方法が理論的には成立す る。 しか し現実 には,組織特異性 と高発現量 を兼ね備 え
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n(
PSA)は前立腺癌 の進行 とともにその血 中濃度 の上
た理想 的なプ ロモー ターの報告 は少 ない。 Pr
昇す る前立腺癌 の血清腫疲マーカーであ り,極 めて厳密 に前立腺組織特異的な発現様式 を示す ことが知 られてい る。 当研究
ではPS
A遺伝子発現制御領域 の前立腺癌遺伝子治療 における可能性 を追求す ることを 目的 とした。 まず過去の報告 をもとに
PCR法 にて増幅 したPSA遺伝子断片 をプ ローブに し, ヒ トゲ ノム ライブ ラ リー よ りPSA遺伝子全長 を単離 した。 それが制
御す る転写活性 をル シフェラーゼ にて解析す るこ とに よ り, 5領 域約53
00
bpが,非前立腺組織飾胞 では発現せず,前立腺
癌細胞 のみで発現す る とい う前立腺特異性 に関 して必要かつ十分 であるとい う結果 を得た。 しか しなが らその発現量は,十
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rの 1
%以下で非常に低値 であった。遺伝子治療 目的では, この発現量は不十分で
分 な発現量 ゆえ繁用 され るCMVpr
あったため,前立腺特異性 とい う長所 を維持 しつつ,低発現量 とい ラ短所 を克服す る 目的で,組織特異的発現増幅法 を考案
した。す なわち,PSApr
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制御 下に強力 な人工転写活性化 因子であるGAL4l
VP1
6
遺伝子 を発現 させ,前立腺でのみ
発現 したGAL4l
VP1
6蛋 白がGAL41
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を含 んだ mi
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制御 下に発現す る治療遺伝子産物 を数
百倍 量 に増幅 させ る とい うもので ある。 この方法 に よ り,非前立腺組織細胞 では発現 を増幅 させ るこ とな く前立腺癌細胞
LNCaPにおいて, CMVpr
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rに匹敵す る発 現 が可能 となった。 さらに,癌遺伝子治療 にお けるこの組織特異的発現増
pande
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nege
ne (
e
x・
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ne
)の可能性 を追求 した。 ポ
幅法 の長所 を生かす ため,治療遺伝子 としてのEx
リグル タ ミンはハ ンチ ン トン舞踏病 に代表 され る遺伝性神経変性 疾患の原因遺伝子産物 に共通 に見 られ る蛋 白領域であ り,
病的遺伝子 はその グル タ ミンを コー ドす るCAG配列数 が正常遺伝 子 に比較 して異常 に増加 してい る。 さらにその病的に伸
長 したグル タ ミン部分 を含 んだ蛋 白が特定の神経細胞 内に蓄積 し,発現量依存的に神経細胞 にアポ トー シスを引き起 こす こ
とが これ ら遺伝性神経変性疾患の病態である可能性 が示唆 されてい る。 まず この発現量依存的アポ トー シスに着 目し,伸長
x・
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neをCMVpr
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rにて組織非特異的 に各種癌飾胞 に発現
した グル タ ミン蛋 白をコー ドす る遺伝子,す なわ ちe
させた。その結果,神経 由来の細胞 に限 らず全ての細胞 で,やは り発現量依存的にアポ トーシスが起 こることが確認できた。
xpo
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yQg
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neを導入 したが, この発現法 では,非前立腺細
次 に上述 の前立腺組織特異的発現増幅法 にて同様 に各種細胞 にe
Pのみ にe
xpo
l
yQが発現 し,アポ トーシス を誘導す ることが可能 であった。 これ ら
胞 には影響 を与 えず前立腺癌細胞 LNCa
の結果 は,前立腺癌 を標 的に した遺伝子治療 を他 の正常臓器 に影響 を与えることな く効率 よく行い得 ることを示 してい る。
加 えて,組織特異的遺伝子発現増幅法 とe
x・
po
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yQ ge
neの組 み合 わせ は,組織特異的プ ロモー ター を変 えることで前立腺
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癌以外の癌 の遺伝子治療 に対 して も十分応用できる可能性 を秘 めてい る。
論
文
審
査
の
結
果
の
要
旨
癌遺伝子治療 においては,治療遺伝子 を癌選択的 に効率 よ く発現 させ る必要がある. 当研 究では,まず Pr
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pe
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ge
n(
PSA)遺伝子 の発現制御領域 の単離お よび解析 を行 い, 5領域 が非常に活性 の弱い前立腺特異的プ ロモー ターで
ある との結果 を得た。そのため, この前立腺特異性 とい う長所 を維持 しつつ,低発現量 とい う短所 を克服す るため,転写活
VP1
6遺伝子 を介在 させ た組織特異的発現増幅法 を考案 し,前立腺癌細胞 のみ において,1
00倍以上の発現量
性化 因子GAL4-
dpol
ygl
ut
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ne
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ne (
遺
を得 ることが可能 となった。 さらに, この方法の長所 を生かすべ く,治療遺伝子 としてExpande
伝性神経変性疾患群 の原 因遺伝子 に共通 に見 られ る領域で,神経細胞 を含 め各種細胞 にアポ トー シスを引き起 こす)の可能
dpo
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yg
l
ut
ami
neは,非前立腺細胞 には影響 を与 えず前立腺癌細胞 のみ にアポ
性 を探 った。 この方法で発現 させ たExpande
トーシスを誘導す ることが可能であった。
以上の研 究結果 は,前立腺癌 を標 的 に した遺伝子治療 を他 の正常臓器 に影響 を与 えるこ とな く効率 よく行 い得 ること示唆
してい るのは もちろんの こと,組織特異的プ ロモー ター を変 えることで前立腺癌以外 の癌 の遺伝子治療 に対 して も十分応用
で きる可能性 を秘 めてお り,今後の癌遺伝子治療 の発展 に寄与す る ところが多い。
したがって,本論文 は博士 (
医学)の学位論文 として価値 あるもの と認 める。
なお,本学位授与 申請者 は,平成 1
1
年 2月 1
0日実施 の論文内容 とそれ に関連 した試 問 を受 け,合格 と認 め られた ものであ
る。
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