ス ポー ツ外傷 。障害 を負 つた 大学生競技選 手 の精神 的 ス トレス につ いての考察 201lHP003 青木麻友 問題 ・ 目的 本論文 では趣 味や健康 の ため とい っ た ス ポー ツではな く、競技 として行 ってい る大学生競技選 。 手、そ の 中で も 「練 習 に参加 した いが 、参加す る ことがで きな い 」 スポー ツ外傷 障害 を負 った 選手 に着 目 した。 本来、 チ ー ムの 中で は何 らか の 共有 され る 目標 が 存在す る こ とがチ ー ムの成 り立 つ 条件 である バ (山 口、2008)。 だが、第 一 線 で活 躍す るメ ンバ ー と、練習 に参加 す る こ とす らで きな いメン ー では 目標 に違 いが あ るので はな いか と思われ た。 この 日標 の違 い には 、 ス ポー ツ外傷 。障害 を 負 つた彼 らの精神的 ス トレスや 、競技 に対す るモ チベ ー シ ョン、 チ ー ム メイ トか らの様 々 な ソー シ ャル ・ サ ポー トが 関わ つてい る と考 え、それ らを明 らかにす る こ とが本論 文 の 目的 である。 方法 に私 立 大学 の体育会運動部 に所属す る男子大学生競技選手 6名 に対 してイ ンタ ビュー調査 を行 つた。 そ の うち 3名 は競技生活 にお いて一時的 な運動停 止 、 リハ ビ リを余儀 な く 平成 26年 9月 され た選 手であ つた。 そ の他 3名 は前述 の 3名 とプ ライ ベ ー トで交流 が あ り、負傷経験 をもたな い者 であ った。本論 文 では前者 3名 を 「被 障害群」後者 3名 を 「サポー ター 群」 と呼ぶ。 結果 。考察 6名 の 面接 内容 の逐語記録 を起 こ した後 、被障害群 の 中学 。高校 で の部活動 生活 か ら大学 で負 。 傷経験 し、現在 に至 るまで を時系列 ご とに並 べ て整理 し、複線経 路 等 至性 モ デ ル (TrtteCtOry Equiinality Model;以 下 TEM)の 手法 を用 い なが ら被傷害群 の体験 を 1つ の TEM図 にま とめ た。 これ とサポー ター 群 の イ ンタ ビュー 結果 を比較 し、考察 を行 つた。 被障害群 の うち 1名 は負傷前 に新人戦 で優秀 な成績 を収 めてお り、また、選抜 に選 ばれ るな ど ベ 個人 ス キル を認 め られ る場 面 が 存在 した。 この経験 が負傷後 にモ チ ー シ ョンの大 幅 な低下 を防 ぎ、サ ポー ター群 と同 じ種 の 目標 を持 つ ことができた。 次 に精神的 ス トレス につい て 、被 障害群 の うち 1名 は本 当に負傷 して い るのか 、 チー ム メイ ト か ら疑われ 、 か らかわれ た経験 を持 つて いた。 この経験後 、 モ チベ ー シ ヨンの上昇 がみ られ なか った ことか ら、強 い精神 的 ス トレス を受 けた と考 えるこ とがで きる。 これ は被 障害群 の特徴的 な 精神的 ス トレス であ り、 チー ム 内で の 人間関係 が うま くい つていないために引 き起 こされ たので 「 「 はな いか と思 う。コ ミュニ ケ ー シ ョンの一 環 として行 つた か らか い 」が被障害者 に とつては 疑 い」 に変換 され て しま つた と考 え られ る。 最後 に有効的 な ソー シ ャル ・ サ ポー トについ て、被障害群 ・ サポー ター 群共 に無意識 的ではあ るが、何 らか の ソー シ ャル ・ サポ ー トが行 われ ていた。 ただそ の 中で特 に競技 に関す る技術面 の ソー シ ャル ・ サ ポー トについて被 障害者 か ら多 く語 られ ていた。 これ に よ り、個人 の 内面 をケア ハ ビリ す るた めの ソー シ ャル ・ サ ポー トよ りも、競技 をす る (こ の場合 では練習復帰 のた めに リ テ ー シ ョンをす る、軽 い メニ ュー を こなす )こ とについ てサポー トを行 う方 が有効的 な ソー シ ャ ル・サポー トである と考 え られ た。 友達親子 が子 どもに与 える影響 ―子 どもの 自立のプ ロセス に与 える影響 を中心 に 一 201lHP005浅 羽 未 奈 問題 目的】近年、メデ ィアでは 「友達親子」 とい う親 と子 の関係 が友達化 してい る親子につい 【 て取 り上げられることが多 くなつた。 この友達親子は共 に同 じ趣味を共有 しお互いに楽 しみ合 う 関係 だと言われる。仲 が良く理想的な関係 のよ うに思 えるが、 この関係 は子 どもの 自立 を妨げる とい う指摘 が されてい る。そ こで本研究では、友達親子 とい う親子関係 が青年期 の発達課題であ る精神的 自立にどのよ うな影響を与えるのかを検討 した。着眼点は第 1に 、友達親子 とい う親子 関係 がどのよ うな関係性 か とい う点である。第 2に 、友達親子 が青年 の 自立にどのよ うな影響を 与えるか とい う点である。 【 調査方法 】調査① とし、大学生 20名 に対 し友達親子 の特徴 を記述 したチ ェ ック リス トによるイ ンタビュー対象者 の選出を行 った。そ して調査② として高得点者であつた女性 3名 に対 し半構造 化イ ンタビュー を用いたイ ンタビュー調査を行 い、分析方法 はナラティブ分析 を用 いた。 結果・ 考察 】 【 (1)友 達親子 とい う関係 は、背景 に母親 との 間 に“絶対的な信頼 関係 "が 結 ばれ てお り、そ の信頼 関係 をも とに対等 で親密 な親子関係 が築 きあげ られ て い た。 そ して母親 の子 どもと仲良 くしたい とい う思 いが子 どもに働 きか け られ た結果 、趣 味 をお 互い に共有す る友達親子 と言 う関係性 が成 り立 って い く ことが考 え られ た。 また友達親子 はただ単に共通 の趣 味 をお互 いに楽 しみ合 うとい うタイ プ と、精神 的な成長 を遂 げて い く中で 自分 自身 の母親 との 関係性 を振 り返 るこ とで新 たな 気 づ きを得、更に新 しい母親 との 関係性 を構築 させ て い くタイ プがあつた。後者 の タイプは母親 との信頼 関係 を更 に深 めてい く中で、母親 へ の積極 的な恩 返 しの気持 ちや思 いや りの気持 ちが芽 生 えて い た。 (2)精 神 的な 自立 とい う面 に対 し、友達親子 はプ ラスの影響 とマ イナ スの影響 を与 えることが分 思 いや りの気持 ち"は 青年 の 自立 を促す役割 を果 た し か っ た。親密 な関係 か ら生 まれ た母親 へ の“ ていた。 しか しその一 方で、親密 であるが故 に母親 の価値観 に“囚 われ る"一 面や 自立 をす るため 葛藤 "を 感 じて い た。 以 上 の こ とか ら友達親子 は精神 的 自立 を促す に母親 か ら距離 を取 る ことに“ 作用 があ るが、葛藤 な ど自立 を抑制 させ る とい つた作用 もある ことが考 え られ た。友 達親子 は母 親 との信頼 関係 の 中で 自立 を してい くと考 え られ るが、親密 な母親 との友達 の よ うな関係 を維持 しなが らも、心理的な距離 を取 る ことが重要 な課題 だ と考 え られ た。 両親不和経験が子 どもの 自己形成 に与える影 響 一青年期にある両親不和経験者 の話 りか ら一 201lHP015 深見桃子 研究 目的 両親不和 とい う家庭問題 は,虐 待 のよ うに子 どもに直接的な被害があるわけではな く,離 婚 の よ うに 日につ きやす い ものでないため,社 会的 にあま り問題視 されない。 しか し,両 親 とい う存在 の影響力 の強 さか ら,両 親不和 も子 どもの 自己形成に大きく影響 を与えるもの と考えら れ る。本研究 では,両 親不和を経験 した子 どもが,両 親不和 によつて得 た感情や価値観 に焦点 を当て,両 親不和経験が子 どもの 自己形成に与える影響 を明 らかにす る こ とを 目的 とす る。 研究方法 半構造化面接に よるイ ン タ ビュー形式 の調査 を行 った。対象者は,中 学校卒業時まで両親 と 同居 して いたこと,そ の期間に両親不和を経験 した こと,現 在は成人 であることを満 たす 4名 である。イ ンタ ビュー か ら逐語録 を作成 し、ナ ラティブ分析 を行 つた。 分析結果・ 考察 イ ンタ ビューの分析結果 を、 (1)自 己形成 へ の影響 (2)両 親不和経験 の意味づ け (3)両 親 不和経験 の他者 へ の開示 の 3点 か ら考察 した。 (1)で は、結婚観 。家族観 につい て、子 どもは 両親 の関係 にネガテ ィブな印象 を持 ち、 自分は将来的に良好な夫婦 。家族関係 を築 く意思を示 した。また、対人観にお いて 、ネ ガテ ィブ な経験は必ず しもネガテ ィブ な対人行動に繋が らず 、 本人 の 自覚 と方向づ けによつて変容す ることが示唆 された。 (2)は 松下 (2005)を 参考 とし、 イ ンタ ビュー対象者 の経験 の意味づ け方 をタイプ分類 した。その結果、“ 未来希望型 "“ 成長確 認型 "と い う未来的にポジテ ィブ なもの となる意味づ けをす る傾向が全体的に見 られた。 しか し、 タイプの項 目の表現 が両親不和経験者 には相応 しくなか つた り、2つ の タイプの 中間に位 置 した りと、イ ンタ ビュー対象者 を完全に分類す るこ とはできなかつた。 また 、今後 の経験に よつて意味づ けは変化 してい くものであると考えられ るため、今回 の分類 はあ くまで青年期 に おけるもので あるこ ととす る。 (3)で は、 (2)で 行 つたタイ プ分類 と、松下 (211C15)の 考察を もとに、両親不和経験 の他者 へ の開示について考察 した。両親不和経験 の意味づ け方 と他者 ヘ の開示 には関連 が見 られ 、経験 を肯定的に意味づ けている者は限定的 に他者 に開示 を行 い、経 験 を否定的に意味づ けてい る者は開示 をほとん ど行わないこ とが明 らかになつた。 しか し、他 者に開示 をす る こ とで経験 の意味づ け方が肯定的になってい くとい う松下 (2008)の 主張か ら、 両親不和経験者 が友人や恋人な どの可能な範囲で経験 の開示を行 うことで、今後 の人生がよ り 生 きやす い もの となるこ とが期待 され る。 ス クール カース トに伴 い発生 したい じめによる心 の傷 の ケア と予防策 につい て の一考察 201lHP024 長谷川愛 問題 。目的】ス クールカース トとは、 クラス内にできた友人グループの ヒエ ラル キーで 【 ある。主に自己主張力・共感力・ 同調力 といつた コ ミュニケーション能力や クラスでの人 気を基軸に構成 されてい る。 ス クールカース トは、い じめを併発 しやす い とい う点 と、生 徒 の 自尊心を損ないかねない とい う点では問題である。他方、どのカース トに所属 しよ う とも、なるべ く自己否定をせずに自分を傷つ けることのないよ うに生活 してい く方法を探 ることができるとい う点では、生徒 の利益 ともな りうる。つ ま り、ス クール カース トが存 在す るクラスの中で生活す るこ とには、生徒 に とつて否定的な側面 と、比較的肯定的な側 面の両方があると考 えられ る。本研究では、① 中学校におけるス クールカース トに伴 い発 生す るい じめによる心の傷 のケア、② カース トが存在す るクラスの 中で 自分を傷付けない 方法で生きてい く方法、③ い じめによる心の傷を致命的なものに しないための予防策につ いて検討す ることを 目的 とした。 考察 。結論】スクール カー ス トは、社会的背景 と強 く結び付 いてい る可能性がある。現 【 代 の社会では 「コ ミュニケーシ ョン能力」や 「生きる力」 といつた定義 が曖味な能力が重 視 されつつ ある。 コ ミュニケーシ ョン能力 の高 い労働者 の社会的需要や、「生きる力」 の 教育 の提唱が ス クールカース トに潜在的なカ リキ ュラム として影響 を及ば している可能 性 がある。社会 に コ ミュニケーシ ョン能力を軸 とした ヒエ ラルキーが存在 し、その ヒエ ラ ルキーの 「正 しさ」が蔓延す る限 り、ス クール カース トの下位層 の生徒 は自分に非がある と思わざるをえなくなつて しま う可能性 がある。 研究 目的① の 「い じめによる心の傷 のケア」に大切な ことは、介入者 が共感的理解をベ ース とした理解 を示 し、心理的孤立を防 ぐことである。 この時、PTSDの 視点か ら状況を 観察す ることも有用であろ う。例 えば虚偽 の被害 を訴える生徒は、実は過覚醒 の状態 であ るかもしれない。② 「カース トの中で 自分を傷付けないで生きてい く」ためには、 コ ミュ ニ ケー シ ョン能力 と人格的魅力 の評価軸は一体 ではない と生徒 に伝 えるとよい と思われ る。③ 「予防策」 としては、 自己主張力・共感力・ 同調力以外 の コ ミュニケーシ ョン能力 を生徒 に示す こと、コ ミュニケーシ ョン能力以外の基準をス クール カース トの 中に持ち込 む ことで単一的な ヒエ ラルキー を複雑化す ることが挙げ られる。 家族 レジ リエ ンス に影響 を与 える可能性 を持 つ 個人要素 の考察 201lHP058片 岡優介 問題・ 目的】 【 家族 を取 り巻 く問題は DV、 虐待、災害、経済変動な ど家族 内外で枚挙にい とまがなく、個人 も 家族 も発達 し、不安定な時期を経験す ることも踏まえると、すべ ての問題 を避 けて通ることは不 可能であろ う。 これか らの家族 に求められ る家族像 は、愛情 とい う情緒的な絆 で結ばれ てい るだ けでな く、それを基盤 に して、問題 が起 こつて一致団結 して乗 り越 えていける “レジ リエ ンス" を有 した家族 であると思われ る。 力"で ある「家族 レジ リエ ンス」について大学生に尋ね、 本研究では、家族 が困難に対処す る “ スキルをは じめとした大学生の持つ個人要素が家族 の レジ リエ ンス を高める可能性 を検討 してい る。本研究によつて、例 えば、学生相談やサ ポー トグループ とい う大学生のスキル を開発す る資 源は当人だけでな く、家族 レジ リエ ンスにも間接的に影響 を及ぼ しうると示唆 され る。 方法】 【 私立大学生 156人 (男 性 49人 、女性 107人 )を 研究対象 とした。基本情報 (性 別、学年、家族 構成、住まい (「 実家暮 らし」か 「下宿暮 らし」)な ど)を 尋ねた。下宿 と答えた人に対 してのみ、 誰 と暮 らしてい るか (「 一人暮 らし」か「それ以外 か」)と 家族 との コ ミュニケーシ ョンの量 (対 面、 電話、メール で どれ くらい話す か。)を 加 えて尋ねた。家族 レジ リエ ンス測定尺度 (FRS)(大 山 。 野末,2013)、 コ ミュニケーシ ョン・ スキル を測 る ENDCOREs(藤 本 ,2013)、 他者理解尺度 (青 木 , 2011)を 修 正 した家族理解尺度、家族 との親密 さを測 るために用 いた Aron,Aron,Smollan(1992) の IOS尺 度、筆者 が独 自に作成 した家族関与動機尺度に回答を求 めた。 結果・ 考察】 【 家族 レジ リエ ンス とコ ミュニケーシ ョン・ スキルは中程度 の正の相関があった。 また、家族理 解 と家族 との親密 さ、家族関与動機が調整変数 として家族 レジ リエ ンス とコ ミュニケーシ ョン・ スキル との関連 に影響 を与えるかについては、実証 されず 、家族 レジ リエ ンスに対する四変数そ れぞれ の主効果 のみが得 られた。また、大学生の住 まいによつて、家族 レジ リエ ンスの大きさが 異なるのかについて、下宿暮 らしの大学生の方が実家暮 らしの大学生より家族 レジ リエ ンスを高 く示 した。家族関与動機 に関 して も、下宿暮 らしの大学生 の方が、高 く示 した。 このことか ら、 下宿暮 らしの大学生は親元か ら離れて、 自分 の身の回 りのこ とを自分ですることによつて、 自信 が芽生え、 自分が家族 に対 し、何 か しらの影響 を与えることができると認知す ると推察 され、下 宿暮 らしによる親へ の感謝 と自己効力は、家族 レジ リエ ンス と正 の関連 を持つ ものだ と考えられ る。 対人恐怖 心性 の世代間 にお ける差異 につい て の研究 201lHP059 加 藤挙 【問題・ 目的】 対人恐怖 とは、「主 として恐怖や不安 のために対人関係 の在 り方に関 し て困難 を抱 える状態」 (1ヒ 山,2002)と 定義 され る。 そ の 中核 となる心性 については、従 来か ら、「恥」の心性 にあ る と考 え られ ていた の だが、1980年 代後半 あた りか ら、「おび え」 の心性 へ と変化 して きた ことが指摘 され るよ うにな つた。 また、健 常 な人 に も認 め られ る対人恐怖的な傾 向を表す概念 として、「対人恐怖 心性 」が存在す る。対 人恐怖心性 が高 い生徒 に とつて 、大学 は、人間関係 を上手 く築 くこ とが難 しい環境 とな つてい ると 考 え られ る。 なぜ な ら、人間関係 の構築に主体性 が求め られ るか らである。 そ の ため、 そ うい った 生徒 に対 しては、何 か しらの対応や カ ウンセ リングな どが必要である と考 え られ る。 したが つて 、現代 の大学生における対人恐怖 心性 につい て理解 を深 め る こ とに 意義 がある。 そ こで本研究 では 、「恥 Jの 心性 に基 づ く 「対人恐怖 心性尺度」 (堀 井・ 小 川 ,1997)と 、「おび え」の心性 に基 づ く「対人恐怖 心性尺度 Ⅱ」(堀 井 ,2006)を 用 い て 、 30代 後半以 上 の 「親世代」 と 10代 後半 か ら 20代 前半 の 「子世代」の間 で 、対人恐怖 心 性 の 中核 とな る心性 に差異があ るか どうかについ て実証的に検討 し、また、そ の時代的 差異 を検討す る こ とで、現代 の大学生 にお ける対人恐怖 心性 について理解 を深 め る こ と を 目的 とした。 【方法 。結果 】 本研究では、質問紙調査 を行 い 、そ の結果 を ′検 定に よつて分析 した。 また、各世代 で 、尺度 ご との平均値 の値 を比較 した。結果 としては、堀井 。小川 (1997) の尺度 では 15項 目中 11項 目、堀井 (2∞ 6)の え度では 15項 目中 10項 目につい て親 世 代 よ りも子世代 の方が有 意 に高 く、他 の 9項 目も子世代 の方が高 かつた。また、親世代、 子世代 ともに、堀井・ 小川 (1997)の 得点 の方 が堀井 (2006)の 得点 よ りも高か つた。 考察 】 【 対人恐怖 心性 の 中核 となる心性 の世代間 における差異は見受 けられなか つた が 、成長す る こ とで対人恐怖心性 が軽 減す る こ と、そ して、対人恐怖 心性 にお いては、 「恥」の心性 が 中核 となる心性 に近 い とい うことが示唆 された。 また、子世代 で得点 が 高 か つた項 目について考察す るこ とで、現代 の大学生における対人恐怖 心性 について理 解 を深 め る こ とができた。今後 は、対人恐怖 心性 の高 い生徒に対す る適切な対応や カウ ンセ リングの方法について検討 してい くた めに、縦断的な調査や コホー ト分析 が求め ら れ ると考 えられ る。 ヽ 長 期 化 した 場 面 織 黙 に 対 す る治 療 的 ア プ ロー チ ー認知情報処理ア プローチの適用 一 201lHP140高 木伸也 要旨 本研究は、長期化 した場面絨黙 の治療的 アプ ロー チ として適 してい る と考 え られた認知情 報 処理アプ ロー チ の注意 バ イア ス修 正 訓練 の適用可能性 につい て論 じられた もので ある。 問 題意識 として、主に 3つ の ことが挙 げ られた。第一 に 、場面絨黙研 究に関す る研 究を客観的 な視点を持 つて捉 えることができて い ない ことが挙げ られた。第 二に、場面絨黙 と社交不安 障害 の違 いや位置 づ けがは っ き りしていない ことが挙 げ られた。第 二 に、長期化 した場面絨 黙 の治療的 アプ ロー チに 関す る研 究 がかな り少 な く、臨床場面 で も成功 して い る例が少ない ことが挙げ られた。 以上 の問題意識 か ら目的 として 、①場面絨黙 に関す る基本情報 の批評 的に捉 え直 して、丁 寧 に研究内容 を レビュー して い くこ と、②場面場 面絨黙 と社 交不安障害 を比較・ 検討す る こ とで両者 の位置 づ けについ て検討す る こと、③長期化 した場面絨黙 に も有効である と考 え ら れた認知情報処理 アプ ロー チ の注意 バ イア ス修 正 訓練 を場面絨黙 に適用す ることについて検 討す ることが挙げ られた。 また、本研 究は文献研究 によつて行われた。 第 2章 では、場面絨黙 の診断基準 。名称、発 生率、発症率 と発 見時期 、男女差、自然改善要 因な どがそれぞれ の項 目ごとにま とめ られた。第 3章 では 、過 去 に行 われた遊戯療法、行動 療法、そ の他 の事例研 究 か ら治療的アプ ロー チを整理す る ことで今後 ど ういつた治療的 アプ ロー チが望 まれ るのか を考察 され た。第 4章 では、社交不安障害 と場面絨黙 の位置 づ けにつ いての検討 が行われ 、DSM‐ 5の 情報、併病率 の高 さな どか ら場面絨黙は社交不安障害 のサブ タイプ (症 状 の表れ方 の一つ )で あることが十分 に推測 された。 第 5章 では 、場面絨黙 の 中 で も長期化 した もの に限定 して 、そ の治療的 アプ ロー チを ど う工 夫す るかについ て論 じた。 検討 された結果、 い ままで行 われて きた行動療法 に社交不安障害 の治療的 アプ ロー チ として 近年、海外 で研究 されて い る認知情報処理 アプ ロー チ の注意 バ イ ア ス修 正 訓練 を適用す る こ とが考 え られた。 それ か らそ の概観 と効果 について検討 して 、長期化 した場面絨黙 に適 した アプ ローチであることが推測 された。 第 6章 では、 ま とめ と今後 の展望 につい て述 べ てきた。最終 的 に本研 究 では 、社交不安 障 べ 害 の研究 の知見 を活か して注意 バ イ ア ス修 正 訓練 を長期化 した場面絨黙 に適用 して い く き だ とい う主張 が され た。 また今後 の展望 として以下 の 四点が挙げ られ た。第 一 に男女差 を統 計的な検定 で解 明 して い こと、第 二に 自然改善要因 を質 問紙調 査 、イ ン タ ビュー調査 で検討 してい くこと、第 二に今回推測 された場面絨黙 の認知 モ デル を実証的 に検証 して い くこと、 ロー チ として も注意 第 四に注意 バ イ ア ス修 正 訓練 の実証的研 究、場面絨黙 全体 に対す るアプ バ イ ア ス修 正 訓練 の適用 を検討す ることであ つた。
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