Title Author(s) Citation Issue Date URL コモンベッチVicia sativa L.およびその近縁種の雑種に関 する研究( Abstract_要旨 ) 山本, 喜良 Kyoto University (京都大学) 1965-09-28 http://hdl.handle.net/2433/211655 Right Type Textversion Thesis or Dissertation none Kyoto University 【333 】 氏) 山 本 善 良 やま もと き よし 学 位 の 種 類 農 学 博 士 学 位 記 番 号 論 農 学位授与の 日付 昭 和 40 年 9 月 28 日 学位授与の要件 学 位 規 則 第 5 粂 第 2 項 該 当 学位論文題 目 コモンペ ッチ Vicia sa liva L . およ びその近縁種 の雑種 に 博 第 109 号 関す る研究 (主 論 文 調 査 委員 査) 教 授 赤 藤 克 己 論 文 内 教 授 今村 駿一郎 容 の 要 教 授 上 坂 孝 次 旨 本論文は コモ ンベ ッチ V icia saliva L . 2n - 12 およびヤ- ズエ ン ドウ V . ang ustif olia L . 2n - 12 を 改良す るために, これ らと野生種 V . am phlCarPa L . 2n - 10 との種間雑種および V . ang ustlf olia L . の 3 変種問 の相互雑種 について, 育種の基礎的諸事項を主 と して細胞遺伝学的な らびに実験遺伝学的に究 明 した ものであ って, その大要 はつ ぎの とお りである。 (1) まず V ・ saliva i . と V . am i,hicarPa L . との核型を決定 し, その雑種 について識別可能な染色 体 と不可能 な染色体 とを明 らかに し, ついで雑種後代 に出現す る両親型, F . 型, 種 々の賭種型および triploid 型植物 を世代を追 って, または戻交雑を行な って識別可能な染色体 については細胞学的観察 によ って, 識別不可能な染色体 についてはその上 に座位す る遺伝子を m arker と して, 両親染色体の部分相 同性, 雑種への分配の様相および機構な どを明 らかにす るとともに, 雑種後代および F l の コル ヒチ ン処 理 によって え られた複二倍体 2n - 22 の中には, 実用的にきわめて有望な系統のあることを指 摘 して い る。 (2) V ・ am phlCarPa L . と V . ang ustiFolia L . との種間雑種 について も (1) と全 く同様の方法によっ て, 両親染色体の部分相同性, 雑種- の分配の様相および機構な どを明 らかに してい るが, 雑種後代 に出 現す る両親型植物の うち育種の対象 とな る ang ustiFolia 型植物 は, いずれ も稔性が低 く不安定であって 育種学的価値 は低い と してい る。 (3) V , ang uastlf olia L . に属す るヤ- ズエ ン ドウ var. seg etalis ホソバヤハズェ ン ドゥyar. m inor およびッル ナシャ- ズエ ン ドウ var. norm alis の 3 変種問の相互雑種 は, 一般 に形質 の異常分離 と顕著 な部分不稔性を示すが, これ らの原因を核型 に差異のない ことを明 らかに した上で, 花色および巻ひげに 関与す る遺伝子を m arker と して究明 し, 選択的配偶子除去の存在 を明確 に してい る。 - 851 - 論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨 本論文 はマメ科牧草 として有望視 されてい る V icia 属植物の改良を企図 して, 種間な らびに変種間雑 種 の遺伝現象を, 細胞遺伝学的な らびに実験遺伝学的に究明 し, 育種の可能性 に検討を加えた も の で あ る。 種間雑種 についてはまず供試材料 (1) V . saliva L . 2n - 12 , (2) V . ang ustif olia L . 2n - 12 および (3) V . am phicarPa L . 2n - 10 の核型を決定 して雑種 において 識別可能な染色体 と不可能な染色体 とを 明 らかに してい る。 ついで各種 とも若干の系統 を用いて(1)×(3) および (2)×(3) の正逆交雑を行ない, 雑 種後代 に出現す る両親型, F . 型, 種 々の雑種型および triploid 型植物を世代を迫 って, または戻交雑を 行 な って, 識別可能な染色体 については細胞学的観察によって, 識別不可能な染色体 についてはその上に 座位す る遺伝子を m arker と して, 両親染色体の部分相同性, 雑種への分配の様相および機構な どを明 ら か に してい る。 さらに (1)×(3) の組合せは優良系統育成の可能性 は高いが, (2)×(3) の組合せは対象 とす る雑種後代 に出現す る ang ustlf olia 型植物が低稔性で不安定なために, その可能性 は低い と してい るO S の 3 変種 つ ぎに V . ang ustif olia L . に属す る uar. seg etalis, uar. m inor および var. norm al名 問の相互雑種 は, 一般 に形質の異常分離 と顕著な部分不稔性を示すが, これ らの原関を核型に差異 のない ことを明 らかに した上で, 特定の遺伝子を m ark er と して究明 し, 選択的配偶子除去の存在を明 らかに し, 育種 に際 し留意すべ き事項を指摘 してい る。 これ らの成果 は独創性 に富むす ぐれた ものであ って, 今後の種属間な らびに変種間雑種の研究および牧 草育種の実際面 に貢献す るところが大 きい。 よって本論文は農学博士の学位論文 と して価値 あるものと認 め る。 - 852 -
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