週間天気予報解説資料

週間天気予報解説資料
2015 年 12 月 27 日 10 時 00 分 発表
気象庁予報部
予報期間
12 月 28 日から 1 月 3 日まで
1.アンサンブル資料
●アンサンブル(ENS):気圧の谷が数日の周期で日本付近を通過して通過後は一時的に冬型の気圧配置になるため、日本海側は曇り
や雪または雨の日が多い。ただし、強い寒気が流れ込んでも一時的で、強い冬型の気圧配置は長続きしない。太平洋側は、期間の
中頃にかけては高気圧に覆われて晴れる日が多いが、期間の終わりは気圧の谷や湿った気流の影響で雲が広がりやすい。沖縄・奄
美は、気圧の谷や前線の影響で曇りや雨の日が多い。
●500hPa基本場(週間予報支援図):実況の日本付近は、寒冷渦が大きく寄与してサハリン~オホーツク海が明瞭な負偏差で、北日
本は北部を中心に負偏差。一方、サブハイが強い状態は持続しており、東日本以南は正偏差。予報期間の日本付近は高度が上昇し、
広く明瞭な正偏差となる。引き続き日本付近の流れはほぼゾーナルで等高度線の間隔は狭く、気圧系の移動は順調。
●30~31日:日本付近への強い寒気の流入は収まり、31日前半にかけて下層は緩やかな昇温場。北・東日本日本海側での降水
は、30日は限定的な範囲に留まる。ただし、31日は朝鮮半島→日本海へ進むトラフに対応する小じょう乱が日本海に発生す
る可能性があり、日本海側は雪や雨の降る所が多くなる。このトラフの接近により、西・東日本は西南西の流れが次第に深まる
とともに、正渦度の移流場となる。明瞭なじょう乱は予想されていないが、高気圧の後面流が流れ込むとともに南海上で前線が
次第に顕在化するため、太平洋側でも曇る時間帯がある。
●1月1日:トラフは日本付近を通過して一時的に西北西の流れとなり、北・東日本中心の冬型。T850≦-6℃の寒気が北陸~東北
南部まで南下する予想で、日本海側は雲に覆われ、東日本を中心に雨や雪が降る。太平洋側は寒気の影響で雲の広がる所もある
が、概ね晴れる見込み。
●2~3日:下記の通り、北日本をじょう乱が通過する可能性は大きく、じょう乱に向かって南寄りの暖湿気が流れ込んだ後、その
通過後は冬型となって寒気が流れ込む。これらにより、北日本は日本海側を中心に両日とも降水が見込まれる。一方、西・東日
本付近のじょう乱については不確実性が大きい。西・東日本は高気圧後面で雲は広がるものの、現時点では降水の可能性は大き
くないと考える。
●沖縄・奄美:気圧の谷や前線の影響で、曇りや雨の日が多い。
・ アンサンブル(ENS)/27メンバー:2~3日は、「北日本付近」と「西→東日本付近」の両方にじょう乱を予想しているメンバー
が全体の約5割あるが、後者については低気圧としてまとめているものは少ない。そのほかは、前者のみが約3割で、後者のみ
のものはない。
・ スプレッド:2日目が昨日資料と同値で6・7日目がやや拡大したほかは、縮小した。特定高度線は、いずれも期間の終わりに
ややバラつく。
・ 降水頻度分布:高降水頻度域は、日本海~北日本で30・31日に昨日資料より拡大した一方、1日は縮小した。
・ 予想T850時系列:北~西日本は、期間のはじめは負偏差。その後は、平年値近傍→明瞭な正偏差へ上昇する。沖縄・奄美は、期
間のはじめは平年値近傍で、その後は正偏差。
2.防災事項等
・ 期間のはじめは北日本を中心に冬型の気圧配置が強く、北日本日本海側では荒れた天気の所がある。
3.明後日予報(3時40分発表の短期予報解説資料も参照)
・ 5400m付近のトラフが日中に北日本を通過した後、北日本を中心に冬型の気圧配置が続くが、後面のリッジが夜にかけて日本海に
進み、東・西日本は次第に高気圧に覆われる。また、5700m付近のトラフが夜にかけて日本の東に進み、前線が小笠原諸島付近
を通過する。
・ 北・東日本の日本海側は雪や雨の所が多く、西日本の日本海側も雲が広がりやすい。太平洋側は全般に晴れるが、北日本では雲の
広がる所がある。また、高気圧の縁辺となる沖縄・奄美も終日雲が広がりやすい。
4.全般週間天気予報(案)
・ 北~西日本の日本海側は、気圧の谷や寒気の影響で曇りや雪または雨の日が多い。
・ 北~西日本の太平洋側は、期間の中頃にかけては高気圧に覆われて晴れる日が多い。期間の終わりは、気圧の谷や湿った気流の
影響で雲が広がりやすい。
・ 沖縄・奄美は、気圧の谷や前線の影響で曇りや雨の日が多い。
・ 最高気温・最低気温とも、北~西日本は平年並か平年より高いが、期間の前半は平年より低い日がある。沖縄・奄美は、平年並
か平年より高い。
この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する週間天気予報の根拠を理解するための補助資料であり、そのままの
形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。