週間天気予報解説資料 2015 年 3 月 7 日 10 時 00 分 発表 気象庁予報部 予報期間 3 月 8 日から 3 月 14 日まで 1.アンサンブル資料 ●アンサンブル(ENS):期間の前半に寒冷渦を伴う深いトラフが日本付近を通過し、中頃は一時的に強い冬型の気圧配置になって東 日本以西では気温が大きく低下する見込み。10~12日は、発達する低気圧の影響で、北日本および東・西日本日本海側では「大 荒れ」「荒れた天気」「大雪」のおそれがある。北・東日本は、期間の終わりまで寒気の影響で雪の降りやすい状態が続く。 ●500hPa基本場(週間予報支援図):実況は日本の東~はるか東が顕著な正偏差で、日本付近もこの勢力圏内で北日本を中心に広く 正偏差。流れはほぼゾーナル。予報期間は、日本の東~はるか東の顕著な正偏差が弱まるとともに、日本海でトラフが深まる。日 本付近は高度が明瞭に低下して負偏差に転じる。流れは引き続きほぼゾーナル。 ●10日:上層では寒冷渦が日本海を東進し、地上ではそのほぼ直下の低気圧が北海道付近で急速に発達する。日本付近は強い冬型 の気圧配置で、T850≦-9℃が九州中部~紀伊半島南端~関東西部まで南下する。北~西日本の日本海側は強い寒気のため雪の 所が多く、北日本の太平洋側は低気圧の影響で雪または雨が降る見込み。北~西日本の太平洋側も、寒気の影響を受けやすい地 方では雲が広がる。 ●11日:上層の寒冷渦およびその直下の地上低気圧が、北海道北部→オホーツク海へ北上していく。日本付近は上・下層ともに昇 温のステージだが、北日本は強い冬型の気圧配置が続き、後半でもT850≦-9℃の寒気が東北北部まで覆う。このため、北・東 日本では、日本海側は雪の所が多く、太平洋側は晴れる所が多い。西日本では次第に冬型が緩んで中層には明瞭な乾燥域が予想 され、太平洋側を中心に概ね晴れる見込み。 ●12日:寒冷渦および低気圧は、徐々に弱まりながらサハリンの東をゆっくり遠ざかっていく。北日本は引き続き冬型の気圧配置 でT850≦-9℃の寒気が東北北部まで覆う状態が持続するため、北・東日本の日本海側は雪の所が多く、太平洋側は晴れる所が 多い。西日本は(11日ほど明瞭ではなくなるが)中層には引き続き乾燥域が見られ、日本海側も含めて概ね晴れる見込み。 ●13~14日:寒冷渦は不明瞭になり、北緯20~50度付近に南北に連なるトラフが日本付近を通過していく。これに対応する地上 のじょう乱については不確定な面が大きいが、下層では南寄りの湿った空気が流れ込むと見られ、西日本および東日本太平洋側 は14日を中心に雲が広がりやすい状況を見込む。一方、北・東日本の昇温はゆっくりで、T850≦-9℃の寒気が13日は東北 北端まで、14日は北海道まで南下しているため、北・東日本の日本海側は雪の降りやすい状態が続く。 ●沖縄・奄美:概ね期間を通して、華南~沖縄付近の前線が明瞭。気圧の谷や湿った気流の影響で、曇りや雨の日が多い。 ・ ・ ・ ・ アンサンブル(ENS)/27メンバー:10~11日は、全てのメンバーが北海道付近で低気圧を明瞭に発達させている。 スプレッド:3日目が昨日資料より拡大したほかは、縮小した。特定高度線は、5400mが期間の後半にバラつく。 降水頻度分布:高降水頻度域は、12日の九州南海上でやや縮小した。 予想T850時系列:北日本は、正偏差~平年値で概ね推移する。東日本以西は、期間の前半に大きく低下した後は負偏差。このう ち西日本と沖縄・奄美では、平年より8~10℃低くなる期間がある見込み。 2.防災事項等 ・ 期間の中頃(10~12日)は、発達する低気圧の影響で、北~西日本では「大荒れ」「荒れた天気」「大雪」のおそれ。 3.明後日予報(3時40分発表の短期予報解説資料も参照) ・ 中国東北区→朝鮮半島付近に寒冷渦が南下して日本付近は深い西谷となり、寒冷渦を回る強風帯となる5520m付近のトラフが西・ 東日本を通過する。地上では日本の南岸を低気圧が発達しながら東進する。またカムチャッカの東の優勢な高気圧からの東風が北 日本太平洋側に吹き付ける。 ・ 全国的に雲に覆われる。東・西日本では雨が降り、北日本でも湿った気流の影響で雨や雪となる所がある。西日本は低気圧の通 過後は寒気移流場となり、太平洋側では晴れてくる所もある。 4.全般週間天気予報(案) ・ ・ ・ ・ 北~西日本の日本海側は、気圧の谷や寒気の影響で曇りや雪または雨の日が多い。 北~西日本の太平洋側は、期間の前半は気圧の谷や寒気の影響で曇りや雨または雪。後半は、高気圧に覆われて晴れる日が多い。 沖縄・奄美は、気圧の谷や湿った気流の影響で曇りや雨の日が多い。 最高気温・最低気温とも、北日本は平年並か平年より高く、期間の前半は平年よりかなり高い所もある。東日本から沖縄・奄美 は、期間のはじめと終わりは平年並か平年より高い。期間の中頃は平年並か平年より低く、平年よりかなり低い日もある。 この資料は、気象事業者等が、気象庁の提供する週間天気予報の根拠を理解するための補助資料であり、そのままの 形で一般に提供することを想定して作成したものではありません。
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