10-2.【太陽熱】省エネフォーラム2015_口頭発表資料様式

NEDO 省エネルギー技術フォーラム 2015
太陽熱エネルギー活用型住宅の技術開発/太陽熱活用システムの実証住宅での評価
フェーズ名:実証研究
1. 太陽熱エネルギー活用型住宅の地域別実証
2. 太陽熱エネルギー活用型住宅(改築)の地域別実証
事業実施法人名:
(株)FHA、(株)カワムラ、 (株)大洋建設、花住ホーム(株)
松栄建設(株)、丸七ホーム(株)、アイ・ホーム(株)
共同研究先:九州大学、湘南工科大学
研究開発期間:
1. 平成 26年7月~平成 28年 2月
2. 平成 27年7月~平成 28年 2月(改築)
1.研究開発の背景、目的、目標
1.1.背景
再生可能エネルギーの利用は、これからの住宅に
とって重要な要素です。従来の住宅の技術をベース
に、設計段階から太陽熱を積極的に利用する取り組
みが必要です。
住宅の省エネが叫ばれる近年、高気密・高断熱住
宅など高品質な建物に対応した、高効率、かつリー
ズナブルな太陽熱利用システム開発が求められて
います。
2
1.研究開発の背景、目的、目標
1.2.従来の課題、目的、目標
国土が細長く伸びる日本に於いては、地域により気象条件が
異なり、住宅のエネルギー消費も大幅に変わります。各地の
気象条件に適応した太陽エネルギーシステム開発が必要で
す。
全館空調システムに太陽エネルギー利用を付加し、導入、ラ
ンニング、更新のコストを抑えたシステムを開発。空調・給湯
エネルギーの半減を目指します。
本システムで採用する全館空調システム(MaHAtシステム)
は小温度差空調システムです。このシステムでは太陽熱集
熱部位(ダイレクトゲイン、ダブルスキン、トロンブウォール)
で集熱された、低密度な自然エネルギーを有効利用すること
ができます。
3
2.研究開発体制、研究開発内容
4
2.1.研究開発体制
株式会社カワムラ
研究開発責任者
株式会社大洋建設
花住ホーム株式会社
株式会社FHアライアンス
松栄建設株式会社
丸七ホーム株式会社
アイ・ホーム株式会社
共同実施先
九州大学
湘南工科大学(改築)
2.研究開発体制、研究開発内容
5
2.2.研究開発内容
(1)太陽熱エネルギー活用型住宅の地域別実証
シミュレーションにより地域別の空調給湯エネルギーの
削減効果を確認し、地域性を考慮した設計、施工の課題
を検討して削減率50%以上を目標とする実証住宅を建
設、検証します。
実証住宅の地域別適応(断熱仕様)
シミュレーション結果
MaHAt(マッハ)システム
6
太陽熱活用型住宅の基本コンセプト(構成)
7
MaHAtシステムにより太陽熱エネルギーを有効利用
冬期
・ダイレクトゲイン、ダブルスキン、トロンブウォールから得られた熱はMaHAtシステムにより、住宅内を大風量
で空気を循環して住宅全体に配分することができる。
・配分された熱は躯体に蓄熱され、室温に近い温度まで利用されるため、結果としてルームエアコンの暖房負
荷が低減される。
・より多くの太陽熱を住宅内に取り入れるため、地域性を考慮した平面計画、断面計画、断熱気密性能、開口
部(壁付窓、サンルーム、天窓等)について検討する。
夏期
・ダブルスキンは庇、袖壁により十分な日射遮蔽が確保されるため、冷房負荷軽減に寄与する。なお、外側の
スキンは開放して利用する。
・ダイレクトゲインは冷房負荷を増大する可能性があり、庇、オーニングなど日射遮蔽により軽減を図る。
7
太陽熱集熱部位
8
• ダイレクトゲイン
– 開口部から得られた太陽熱エネルギーをMaHAtシ
ステムを利用して建物全体に循環、配熱します。
太陽熱集熱部位
• トロンブウォール
– 外壁表面にガラス面を設けた集熱装置。
– 集熱した太陽熱エネルギーはMaHAtシステムを
利用して建物全体に循環、配熱します。
9
太陽熱集熱部位
10
• ダブルスキン
– ベランダを利用した太陽熱集熱部位
– 冬季は集熱した太陽熱エネルギーをMaHAtシステムを利
用して建物全体に循環、配熱します。
– 夏季は外側を開放して日射遮蔽装置として利用します。
2.研究開発体制、研究開発内容
11
2.2.研究開発内容
(2)地域性を考慮した住宅の設計、施行、評価
気候条件の異なる全国6か所に実証住宅を建設、太陽熱エ
ネルギー利用の実験と計測を行っています。
カワムラ(旭川)
大洋建設(札幌)
松栄建設(福井)
アイ・ホーム(宮崎)
丸七ホーム(愛知)
実証住宅
花住ホーム(岩手)
実証住宅建設地
住宅モデルの地域別適応
地域ごとの気象条件、日射量を考慮してダブルスキン、ダイ
レクトゲインなど集熱面積、断熱性能、機器の選定を行って
います。
気候条件
旭川
札幌
岩手
福井
愛知
宮崎
省エネ地域区分
1地域
2地域
3地域
5地域
6地域
7地域
冬期日射量区分
H2
H2
H3
H1
H5
H3
年間日射量区分
A2
A2
A2
A3
A4
A4
121.3
118.7
127.02
149.4
118.4
115.5
ダブルスキン面積
トロンブウォール面積
ダイレクトゲイン面積
開口面積 合計 [㎡]
5.4
9.0
15.2
29.6
11.0
0.0
13.9
24.9
6.5
2.6
16.3
25.4
13.5
3.0
6.3
22.8
11.6
0.0
8.4
20.0
9.0
0.0
8.1
17.1
外皮等面積合計[㎡]
320.0
344.0
393.4
461.1
360.5
350.9
Q値
(基準値)
1.26
(1.60)
0.36
(0.46)
2.56
(-)
0.93
(1.90)
0.21
(0.46)
2.07
(-)
1.01
(2.40)
0.27
(0.56)
2.02
(-)
1.12
(2.70)
0.28
(0.84)
2.61
(3.0)
1.07
(2.70)
0.27
(0.87)
2.13
(2.8)
1.08
(2.70)
0.26
(0.87)
1.72
(2.7)
集熱面積[㎡]
16.0
16.0
20.4
20.0
12.0
16.0
貯湯量[L]
460
460
370x2
370x2
300x2
370x2
延べ床面積[㎡]
建物条件
UA値
(基準値)
ηA値
(基準値)
太陽熱温水
システム
12
住宅モデルの地域別適応(旭川)
13
旭川は日射量が少ない地域のため、ダイレクトゲイン、ダブルスキンに
加えて、トロンブウォールを採用し、集熱に十分な開口面積を確保して
います。また、太陽熱温水パネルには集熱効率が高く、放熱ロスの少な
い機器を使用しています。
太陽熱温水パネル 16.0㎡
ダブルスキン 5.4㎡
トロンブウォール 9.0㎡
ダイレクトゲイン 15.2㎡
1地域 株式会社カワムラ(旭川)
住宅モデルの地域別適応(宮崎)
14
冬季に十分な集熱を得られる開口面積を確保するとともに、夏季の日
射対策として開放できるダブルスキンを採用しています。開放することに
より、庇、袖壁により日射遮蔽として機能し、冷房負荷を軽減します。
ダブルスキン 9.0㎡
太陽熱温水パネル 16.32㎡
ダイレクトゲイン 8.1㎡
7地域 アイ・ホーム株式会社(宮崎)
3.成果、実績、展望等
3.1.成果
冬季の暖房実験では、太陽熱エネルギーの利用によ
り暖房負荷の50%以上を補える可能性を確認していま
す。
太陽熱利用による集熱量および暖房負荷の期間積算
15
2.研究開発体制、研究開発内容
16
2.2.研究開発内容(改築)
(1)太陽熱活用型住宅(改築)の基本コンセプト
本研究は、極寒冷地において既築住宅を改修し、太陽熱エネルギー取得技術にて、
消費エネルギーを改修前に比べて50%以上削減することを目的とする。
改修項目は、MaHAtシステム、階間チャンバー、トロンブウォールの設置、太陽熱
温水器の設置の4つである。
基本コンセプト(全体)
基本コンセプト(空調)
17
改修項目
新築
改築
MaHAtシステム
ダクトによる個別送風
既存の階間をチャンバーとし
て利用する送風
トロンブウォール
シミュレーション結果を
基に十分な面積を設計
段階で適切に配置。
限られた既存の外壁面に、
集熱面積を確保するため建
物の南西側コーナー部分に
配置するL字型を採用。
太陽熱温水器
給湯、及び暖房熱源と
して利用
給湯利用
新築からの変更点
18
2.2.研究開発内容(改築)
(2)実証住宅モデルの改修による負荷削減目論見
断熱改修分含めて50.3%の負荷削減を目指します。
太陽熱温水パネル
実証住宅(旭川)
株式会社カワムラ
トロンブウォール
シミュレーション結果
3.成果、実績、展望等
19
3.2.実績等
学会発表等 10件
2014年度 日本建築学会九州支部研究発表会(2015年3月)
空気循環型全館空調システム住宅における空調負荷削減に関する研究 その1
空気循環型全館空調システム住宅における空調負荷削減に関する研究 その2
太陽熱利用温水器の集熱計算モデルの構築と給湯負荷の削減効果
2015年度 空気調和・衛生工学会九州支部学術研究発表会(2015年5月)
空気循環を活用した太陽熱の集配熱に関する研究 その1実証住宅の概要
空気循環を活用した太陽熱の集配熱に関する研究 その2数値シミュレーションによる空調負荷削減効果の検討
2015年度 日本建築学会大会学術講演会(2015年9月)
空気循環型全館空調システム住宅における空調負荷削減に関する研究 ― その1実証住宅の概要
空気循環型全館空調システム住宅における空調負荷削減に関する研究 ― その2数値シミュレーションによる空調負荷削減効果
の検討
2015年度 空気調和・衛生工学会大会学術講演会(2015年9月)
太陽熱利用温水器の集熱計算モデルの構築と給湯負荷の削減効果解析
空気循環を活用した太陽熱の配熱による暖房負荷削減に関する研究 その1実証住宅の概要
空気循環を活用した太陽熱の配熱による暖房負荷削減に関する研究 その2数値シミュレーションによる空調負荷削減効果の検討
3.成果、実績、展望等
3.3.今後の展望
冬季実験に続き、夏季の実験、計測データの解析を進め
ています。さらに、今年度の冬季の実験、計測、解析を通
して、このシステムの有効性の検証、事業化へ向けた課
題確認を行います。
この事業の成果を踏まえ、2018年度を目処にシステムの
商品化、技術ライセンスにより全国への普及を目指しま
す。
20
3.成果、実績、展望等
21
3.4.原油換算省エネ効果
2020年時点: 1,142 kL/年(累計:2,125 kL )
*原油削減量(kL/年) = 消費エネルギーGJ/年 / 38.2GJ/kL