NEDO 省エネルギー技術フォーラム 2015 省エネルギー革新技術開発事業/戦略的省エネルギー技術革新プログラム 実用化開発 <パーソナル吹出口の開発> 事業実施法人名:空調技研工業(株)、日本設計(株) 、芝浦工業大学 研究開発期間:平成26年9月~平成28年2月 1.研究開発の背景、目的、目標 2 1.1.背景 ワークプレイスの空調システムは、室内温度が均一になるよ う設計されてきたが、帰社直後の男性営業マンにも、長時間 事務作業をしている女性にも、同じ26℃でよいのだろうか? これらヒューマンファクターに応じて制御され、個人の快適性・ 知的生産性の向上と、さらなる省エネルギーの推進を目指し たパーソナル空調の研究開発が期待されている。 26℃ 26 ~28℃ 40~50% 0~0.5~1.0m/s パーソナル吹出口 気流を個人ごとに調整 最大公約数にあわせた統一的なシステム →個人差にもとづくクレームを減らすことができない 帰社直後の営業マン vs冷え性に悩む内勤OLに対応できるシステム →クレーム対応が容易。CoolBiz空調(28℃50%)の快適性も向上 1.研究開発の背景、目的、目標 1.2.従来の課題、目的、目標 <従来の課題> 気流制御性や汎用性の面で課題が残るため、広く普及 するまでにはいたっていないのがパーソナル空調の課題 <目的、目標> 空調システムの基本デバイスである「吹出口」に着目し、 複雑な制御のいらない、ファン付のパーソナル吹出口を 開発 ユーザー満足度90%以上を確保し、設定温度の緩和や ワーカー不在時の停止制御、タスクアンビエント照明など の技術と組み合わせ、従来比で約23%の省エネ性を実 現するシステムの確立を目標とする 3 1.研究開発の背景、目的、目標 4 1.2.従来の課題、目的、目標 下記3点を開発目標とした。 ①快適な気流感・・・座席付近で0.8~1.0m/sを確保 ②静穏性・・・従来同等(NC-40)となるようファン騒音対策 ③汎用性・・・オフィスのシステム天井向けサイズに限定 ファン付パーソナル吹出口 アンビエント空調 →室温を制御 タスク空調 →個人ごとに 気流感を形成 2.研究開発体制、研究開発内容 5 2.1.研究開発体制 研究開発責任者 研究開発責任者 空調技研工業株式会社 株式会社日本設計 ・開発試作品の作成・改良 ・気流実験室での性能実験の実施 ・オフィスへの試験導入工事の実施 ・開発試作品の要求仕様の策定 ・気流実験室での性能評価 ・オフィスへの試験導入の計画立案 共同研究先 芝浦工業大学 ・気流実験室での被験者実験 ・オフィスへの試験導入による性能評価 およびユーザー評価 ・シミュレーションによる省エネ性評価 2.研究開発体制、研究開発内容 2.2.研究開発内容 (1)パーソナル吹出口の試作 ノズルを3Dプリンターで製作し、ファンを汎用品から調達 ノズル開口サイズ、DCファンサイズなど複数試作 6 2.研究開発体制、研究開発内容 2.2.研究開発内容 (2)気流実験室、残響室での性能検証 試作品の気流性状、騒音データを測定し、性能を把握 7 2.研究開発体制、研究開発内容 2.2.研究開発内容 (3)気流実験室での被験者実験 被験者実験を行い、アンケート、生理量データ測定を実施 8 2.研究開発体制、研究開発内容 2.2.研究開発内容 (4)実オフィスへの試験導入に伴うユーザー評価 今夏に実オフィスへ導入し、ユーザーアンケートを実施 現在、データ集計分析中 9 3.成果、実績、展望等 10 3.1.成果 汎用性の高いパーソナル吹出口を開発。新築だけで なく、改修・テナント工事での導入も容易。 3.6m×3.6mに 4人まで対応できるモデルを作成 INV ビル用マルチパッケージ VAV VAV EA VAV 200m3/h エアハンドリング ユニット VAV OA VAV アンビエント 空調 アンビエント 空調 タスク空調 INV パーソナル吹出口 温度センサー CO2センサー 幅広い空調システムに対応可能 タスク空調 3.成果、実績、展望等 11 3.1.成果 気流実験により、空調機からの温度・風量変動によら ず、十分な気流が確保できることを確認 空調機からの風量が200m3/h (定格風量) 空調機からの風量が60m3/h (30%給気時) 写真1 200m3/h アンビエント気流 写真3 60 m3/h アンビエント気流 写真2 200m3/h タスク気流 写真4 60 m3/h タスク気流 いずれの場合も、気流速度は0.8m/s程度、温度は室温 とほぼ同等になることを確認 3.成果、実績、展望等 12 3.1.成果 CASE1 吹出16℃ 室内26℃ Δt=10℃ 200m3/h タスクノズル 強運転 CASE2 吹出12℃ 室内28℃ Δt=16℃ 60m3/h タスクノズル 強運転 CASE3 吹出12℃ 室内28℃ Δt=16℃ 200m3/h タスクノズル 強運転 一次空気の風量変化に関わらずタスク域の風速は、概 ね0.8m/s程度の気流感を得られる。 3.成果、実績、展望等 13 3.1.成果 側面から撮影 正面から撮影 居住域での気流拡散幅は約0.7m程度あり肩幅を覆う気 流となっている。 3.成果、実績、展望等 3.1.成果 4方向タスク気流 それぞれのタスク気流の到達もバランスされている。 14 3.成果、実績、展望等 15 3.1.成果 アンビエント気流 60m3/h 大温度差VAV制御風量 (30%)を想定した60m3/hでは 天井面に沿わない。 アンビエント気流 200m3/h 3.成果、実績、展望等 16 3.1.成果 CASE1 風速分布 吹出16℃ 室内26℃ Δt=10℃ 200m3/h 天井高さ3mを想定した居住域FL+1100 地点にて0.7~0.9m/sの風速が得られた 0.7~0.9m/s 3.成果、実績、展望等 17 3.1.成果 CASE1 温度分布 吹出16℃ 室内26℃ Δt=10℃ 200m3/h 居住域ではほぼ室内温度26℃を示して おり冷風が局部的に到達することなく拡 散されている 26.0~26.5℃ 3.成果、実績、展望等 3.1.成果 被験者実験によりパーソナル吹出口の有効性を確認 18 3.成果、実績、展望等 19 3.1.成果 エネルギーシミュレーション(BEST)により省エネ性を 試算。クールビズ、在室検知などとの組み合わせること で、汎用手法による省エネビルより、空調の1次エネル ギー量を約19%削減できる。 -19% +クールビズ28℃設定 &VAV全閉制御 80.6% 熱源本体 +タスクアンビエント照明 93.6% 93.9% +照明の在室検知制御 熱源補機水搬送 水搬送 空気搬送 100.0% 汎用手法による省エネビル H25省エネ基準 0 200 400 600 800 1000 空調の1次エネルギー消費量[MJ/㎡年] 1200 3.成果、実績、展望等 3.2.実績等 学会発表等 2件 2015年度日本建築学会大会 2015年度空気調和衛生工学会 来年度も発表を予定 Indoor Air 2016など 海外でも学会発表予定 20 3.成果、実績、展望等 3.3.今後の展望 事業終了後も継続して自社開発を進め、2018年頃を 目指して今回開発した技術を組み込んだパーソナル空 調の実用化を進めます。 今回開発した技術は、新築ビルだけでなく、改修・リ ニューアルにも採用可能です。 オフィスワーカーが自分で環境をカスタマイズできる、 新しいコンセプトの製品・システムです。 今後も低コスト化、軽量化をはかり、幅広い普及に努 めます。 21 3.成果、実績、展望等 22 3.4.原油換算省エネ効果 2020年時点: 760kL/年(累計: 2,280kL ) 2030年時点: 1,425kL/年(累計:14,250kL ) 2020年時点: 301万kWh/年(累計:904万kWh ) *原油削減量(kL/年) = 消費エネルギーkWh/年 / 3,967kJ / kL
© Copyright 2024 ExpyDoc