NEDO 省エネルギー技術フォーラム 2016 戦略的省エネルギー技術革新プログラム フェーズ名: 実用化開発 <SiC搭載型マイクロスマートグリッドシステムの開発> 事業実施法人名: 株式会社アイケイエス、株式会社竹中工務店 研究開発期間: 平成26年12月~平成28年6月 1-1.研究開発の背景 2 開発の位置付け (1) 再生可能エネルギーを無駄なく利用する技術を確立。 (無駄なく作る・蓄える) (2) 再生可能エネルギー利用プロセスにおけるエネルギー 変換に伴うロスを削減し省エネルギーを図る。 (3) エネルギー輸送/供給手段としてのEV、PHEVの有効 活用を促進する。 1-1.研究開発の背景 3 エネルギーの使用動向 業務用他部門のエネルギー削減が急務 ⇒ 建設エンジニアリングへの期待が大 我が国の最終エネルギー消費と実質GDPの推移 出典: エネルギー白書2015 1-1.研究開発の背景 4 市場動向(太陽光発電、EV、PHEV、蓄電池) 市場動向予測 2015年 2020年 2030年 出典 A 太陽光発電市場(累計) 30GW 50GW 100GW 太陽光発電協会 B EV市場(単年) 20万台 40万台 70万台 経済産業省 C 蓄電池市場(累計) 1GWh 7GWh 34GWh 太陽光発電協会 A 国内累積導入量見通し (太陽光発電) 出展:太陽光発電協会 B 国内における次世代自動車の普及見通し 出典:経済産業省 C 蓄電池ストックポテンシャル 出展:太陽光発電協会 80%はEV/PHEV 1-1.研究開発の背景 5 市場動向(エネルギーマネジメント(EMS)市場) 出典: 富士経済ホームページより抜粋 https://www.fuji-keizai.co.jp/market/15075.html EMS市場拡大のカギを握るポイント 1-2.研究開発の目的、目標 6 現状システムの問題点と課題 現状システム ● Si型パワーデバイスを使用 ● 個々の装置を交流で接続 ● 装置専用のエネルギー変換器 を設置 個別接続 課題 ● 個別変換器のロスが大きい。 ● 変換器通過回数が多くなり、 システムロスが大きくなる。 ● 自立運転時(停電時)には、 波形が揃わないため、電力統 合が難しい。 Si型 パワーデバイス DC/AC変換器 発電機 DC/AC変換器 CHAdeMO変換器 交流接続 1-2.研究開発の目的、目標 7 提案システム ● 高効率SiC型パワーデバイスを使用 ● 直流バスへの接続によるマイクロスマートグリッドシステム SiC型 パワーデバイス 直流バス への接続 DC/DC変換器 発電機 AC/DC変換器 DC/AC変換器 DC/DC変換器 CHAdeMO変換器 SiC型パワーデバイス利用 マイクロスマートグリッドシステム 1-2.研究開発の目的、目標 8 課題の目的と目標 1. 各種電力変換器のSiCデバイス利用による変換効率の 向上(単体効率) 目標: ロス削減率40%以上 2. SiCデバイス利用マイクロスマートグリッドシステムによるシ ステム効率の向上 目標: システムロス7%以下 3. SiC化したマイクロスマートグリッドシステムの安定運転 目標: 実証施設において30分計画値同量制御の 達成 1-2.研究開発の目的、目標 9 1. 各種電力変換器のSiCデバイス利用による変換効率の 向上(単体効率) 個別の電力変換効率を向上させる。 SiC版 変換器 (目標値) ロス 削減率 変換器 変換種別 Si版 変換器 ① EV、CHAdeMO 変換機 DC/DC 93.8% 96.3% 40.3% ② 蓄電池充放電 変換機 DC/DC 96.7% 99.2% 75.8% ③ 太陽光発電 変換器 DC/DC 94.6% 96.8% 40.7% ④ 交流/直流 変換器 AC/DC 93.0% 96.0% 42.8% ロス40%削減を目標 1-2.研究開発の目的、目標 10 2. SiCデバイス利用マイクロスマートグリッドシステムによるシ ステム効率の向上 一例として、太陽光発電の電力を蓄電しさらにEVへ充電する 過程において変換ロスを7%に削減することを目標する。 現状一般システム (Si型デバイス使用) 太陽光変換機 98% 効率 直流交流変換器 93% ~ 効率 蓄電池変換器 効率 93% EV充電器 効率 マイクロスマート グリッドシステム (Si型デバイス使用) 太陽光変換機 98% 効率 直流直流変換機 93% ~ 効率 73%(ロス量27%) 全体効率 蓄電池変換器 蓄 電 池 98% 効率 98% 効率 EV充電器 効率 SiCデバイス搭載型 マイクロスマート グリッドシステム 93% 蓄電池変換器 蓄 電 池 太陽光変換機 99% 効率 93% 直流直流変換機 87%(ロス量13%) 全体効率 蓄電池変換器 蓄 電 池 99% 効率 99% 効率 EV充電器 効率 96% 93%(ロス量 7%) 全体効率 1-2.研究開発の目的、目標 3. SiC化したマイクロスマートグリッドシステムの安定運転 SiC化したシステムにおける、多種電源の安定的制御技術 の確立 マイクロスマートグリッドシステム 11 2-1.研究開発体制 12 研究開発責任者 株式会社アイケイエス ・ 装置開発/製造 ・ 装置性能評価 株式会社竹中工務店 ・ 実証施設構築 ・ 実証評価 (エネルギーマネジメント評価) 2-2.研究開発内容 13 装置(マイクロスマートグリッドシステム)の開発 (1) ドライバー回路の最適化(ゲート抵抗の最適化) (2) SiCモジュールの動作温度の適正値検討 (3) SiCモジュールの並列稼働の動作検討 (4) 複合PCSの入出力電圧変動対応制御検討 2-2.研究開発内容 14 実証建物での検証 (1) 実証建物概要 実証施設として、竹中関連会社本社ビルTAK新砂ビルに、SiC型マイクロスマート グリッドシステム(MSEG®:Multi-source Energy Gateway)を導入した。 [建物概要] 所在地: 延床面積: 階数: 建物用途: 竣工: 東京都江東区新砂 3,918 m2 地上4階 事務所/一部倉庫 2010年 [設備概要] 受電: 変圧器: 高圧受電 動力 300kVA×1 電灯 100kVA×3 ※ 発電機: 35kW(低圧ガス) ※ 太陽光発電: 20kW(屋上設置) ※ 照明: 自動調光システム 給水: 受水槽 4㎥ 給湯: 局所式 空調: EHP(マルチエアコン) ※ 一部氷マルチ エレベータ: 乗用11人×1基 ※ は今回の実証にあたり付加 2-2.研究開発内容 15 (2) 実証システム SiC型マイクロスマートグリッドシステム(MSEG®)の入出力を受電量の計画値 同量制御を達成するために、クラウド側から指示・制御するシステムとした。 2-2.研究開発内容 (3) 16 実証環境の整備と実証データの取得 実建物において、エネルギーマネジメントシステムにマイクロスマートグリッド システム(MSEG®)を組み込んだ設備システムを構築。 天気予報 ・室利用状況 ・催し等 電力購入 エネルギー コスト情報 ユーザー 当日朝 前日 負荷予測① 電力、熱負荷 把握 負荷抑制の要請 運転計画 最適化 負荷予測② パーソナルDR 予備力把握 リアルタイム リアルタイム 制御 MSEG® 設備システム 建物設備 ・熱源/氷蓄熱 ・照明制御(照度) ・空調制御(温度)等 マルチ電源 ・PCS ・蓄電池 ・発電機 ・太陽光発電 ・EV充放電 2-2.研究開発内容 (4) 17 実証システム外観 パワーコンディショナー 蓄電池 ガス発電機 (リユース) (SiCデバイス搭載型) EV充放電器 (SiC) EV SiC型マイクロスマートグリッドシステム(MSEG®)の設置状況 2-2.研究開発内容 18 開発結果 (1) 各種電力変換器のSiCデバイス利用による変換効率 の向上(単体効率) Si型からSiC型に変更によるエネルギーロス削減の目標値 (40%)を達成した。 効率[%] ロス削減率[%] 100 100 98 80 エネルギー 96 60 ロス削減率 94 40 SiC型効率 実績 92 20 90 0 EV 蓄電池 双方向 双方向 充放電器 充放電器 AC/DC AC/DC ① 10kW ② 50kW 50kW 50kW 絶縁型 非絶縁型 絶縁型 絶縁型 各コンバータ変換効率実績 SiC型効率 目標 Si型効率 2-2.研究開発内容 (2) 19 SiCデバイス利用マイクロスマートグリッドシステムによる システム効率の向上 目標に掲げた、太陽光発電の電力を蓄電しさらにEVへ充電する 過程において変換ロスを約7%に削減することができた。 効率(%) 100 80 変換ロス =約7% 60 40 一体化システム(SiC型デバイス) 一体化システム(Si型デバイス) 現状一般システム(Si型デバイス) 20 0 20 40 60 出力(%) 出力別のシステム効率 80 100 2-2.研究開発内容 20 (3) SiC化したマイクロスマートグリッドシステムの安定運転 30分計画値同量制御についてデータを取得し想定どおりの運転が 行われていることを確認した。 積算電力量 [kWh] 30分毎の計画受電量 1分毎に制御 時刻[min] 1分毎の制御により30分毎の 計画値同量を達成 3-1.成果 21 ● SiC型デバイス単体での運転効率について装置組込状 態で当初目標を確保することができた。 ● SiC型デバイスを組み込んだマイクロスマートグリッドシス テムのシステム効率について当初目標を確保することが できた。 ● SiC型デバイスを組み込んだマイクロスマートグリッドシス テムの安定運転を確認した。また、同システムを利用し た実建物において、電力受電量の30分計画値同量 制御を行うことができた。 3-2.今後の展望 22 (1) 開発品の優位性 ・ 複数の電源が接続可能、かつ直流で安定的に制御できる機能はこのクラ スでは競合製品が無い。 ・ BEMSからの制御が容易。 ・ SiC型デバイスの利用により高効率な省エネルギー機器。 ・ PCSの共有化およびユニット化されたMSEG®による価格競争力が期待で きる。 (2) 課題 ・ 海外においてはUL規格の取得を要求されるが、SiCモジュールがUL未取 得であり、メーカーでの対応が必要。 ・ 現時点では価格が高く、ランニングコストの削減との比較によるメリットをだ すために、さらにコストダウンを進める必要がある。 3-2.今後の展望 23 (3) 国内に於ける事業展開 ・ 既に製品の供給は可能。 ・ エネルギーマネジメントの手段が手薄な10,000㎡前後の中規模ビルにニー ズがあると考えられる。 ・ BCP目的、EV充電ステーションの設置、多棟間でのエネルギーマネジメント 等機会を捉えた営業によりニーズの掘り起しが可能。 (4) 海外に於ける事業展開 ・ 北米・欧州において複合型かつ高効率な装置に対するニーズが存在。 ・ 特に50kWクラスの競合製品が無い。 ・ 当面は輸出で対応するが、将来的には現地生産が必要となる。 (5) 実績について ・ 実証建物の他、自社ビル(既存ビルのZEBへの改修)へ導入した。 ・ 設置提案を推進中であり、既に導入予定の建物が複数ある。 3-2.今後の展望 24 システム導入への誘導例 御提案対象の顧客ニーズの例: 「電力自由化に対応したい」 「BCP対応を考えたい」 「停電の時にエレベータが停まって困った」 「EV利用が増えた」「EV用充電器を設置したい」 「太陽光発電を設置したい」 規模: 5,000㎡~20,000㎡程度 建種: 事務所(役所)、商業、学校、集合住宅、 いつでも聞かれる ニーズ これらのニーズをエネル ギーマネジメントに繋 げる。 ほぼ全ての建種で導 入の検討可。 駅ビルなど 太陽光発電(40~100kW) 太陽光発電 (20~50kW) 事務所ビル 20,000~40,000㎡ 事務所ビル 5,000~20,000㎡ MSEG (50kW) EV Sta. ~5台 MSEGの 複数台設置可 MSEG (50kW) EV Sta. ~10台 MSEG (50kW) 複数台設置で大規模建物にも設置可能 3-3.省エネルギー効果 2020年時点: 3.44万kL/年(累計: 25 6.64万kL ) 2030年時点: 34.4万kL/年(累計:192.13万kL )
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