1.5MB - 新エネルギー・産業技術総合開発機構

NEDO 省エネルギー技術フォーラム 2015
戦略的省エネルギー技術革新プログラム
実用化開発
<未利用一過性温排熱を用いる蒸気生成吸収ヒートポンプの開発>
事業実施法人名:荏原冷熱システム(株)
共同研究先:早稲田大学
研究開発期間:平成25年7月~平成27年3月
1.研究開発の背景、目的、目標
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1.1.背景 <研究開発の位置付>
排温水から蒸気を発生できれば、
高い経済性と環境負荷低減効果が期待できる
環境負荷の
低減
コストダウン
・化石燃料の枯渇
・炭酸ガスの排出量削減
・厳しいコスト削減目標
・燃料費の高騰
「温水排熱を利用した
蒸気製造」
というソリューション
排温水の
有効利用
・排熱の利用先がない ・排熱をより低い温度まで
・排水放流温度の規制 利用(回収)したい。
膨大な
蒸気需要
・蒸気はユーティリティとして不可欠
・ボイラの負荷低減によるメリット
1.研究開発の背景、目的、目標
1.1.背景 <国内外の技術動向>
【蒸気生成可能なヒートポンプ】
・圧縮式ヒートポンプ
・ケミカルヒートポンプ
・吸収式ヒートポンプ
○蒸気を取り出すために必要な、
原油換算エネルギーは、吸収式が最も低い。
○実用機としての可能性が高い。
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1.研究開発の背景、目的、目標
4
1.1.背景 <国内外の技術動向>
競合技術(圧縮式)との消費エネルギー/電力比較
項目
蒸気
給水温度
生成蒸気(飽和温度)
生成蒸気熱量(給水→蒸気)
効率の種類
効率値
燃料(原油)
給水ポンプ
バーナファン
圧縮機/油ポンプ
温水ポンプ
温水
ポンプヘッド
冷却水ポンプ動力
冷却水
ポンプヘッド
単位
kg/h
℃
℃
kW
L/h
kW
kW
kW
kW
kW
ボイラ
1000
60
180
702
燃料基準ボイラ効率
0.90
73.47
1.54
3.7
0.2
-
-
-
-
-
-
冷媒ポンプ
kW
-
溶液ポンプ
kW
-
kW
L/h
L/h
%
-
5.24
1.21
74.68
1.00
0(基準)
-
使用電力合計
使用電力合計(原油換算)
使用エネルギー合計(原油換算)
エネルギー消費比率
省エネ効果
電気基準COP
三段昇温型吸収HP
1000
60
180
702
排熱基準COP
0.20
-
1.54
-
-
9.31
温度88→73℃
ΔH=10m,ηp=0.60
22.34
温度25→30℃
ΔH=10m,ηp=0.60
1.16
ΔP=200kPa,ηp=0.30
2.43
ΔP=200kPa,ηp=0.30
36.78
8.48
8.48
0.11
89
19.09
圧縮式HP
1000
60
120
682
電気基準COP
3.0
-
0.77
-
227.22
1.21
温度88→73℃
ΔH=10m,ηp=0.60
-
-
-
-
-
229.20
52.86
52.86
0.71
29
2.98
1.研究開発の背景、目的、目標
5
1.1.背景 <国内外の技術動向-吸収サイクル>
吸収冷凍機
第1種HP
高温熱源
・燃料⇒直焚き
・蒸気⇒蒸気式
・高温水
高温熱源
・燃料⇒直焚き
・蒸気⇒蒸気式
・高温水
温水生成
(80℃程度)
冷却水
(27℃程度)
冷水生成
(7℃程度)
低温排熱源
(40℃程度)
第2種HP
蒸気・温水生成
(120~180℃)
排熱源
(90℃程度)
冷却水
(27℃程度)
1.研究開発の背景、目的、目標
1.1.背景 <国内外の技術動向-第二種ヒートポンプ>
第二種吸収式ヒートポンプサイクルのイメージ図
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1.研究開発の背景、目的、目標
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1.1.背景 <国内外の技術動向-第二種ヒートポンプ>
第二種吸収式ヒートポンプサイクルの特徴
サイクル
単段
二段
三段
熱源温水入口
90℃
90℃
90℃
熱源温水出口
85℃
85℃
70~75℃
冷却水条件
25/30℃
25/30℃
25/30℃
蒸気圧力(温度)
0.3MPaA
(133℃)
1.0MPaA
(180℃)
1.0MPaA
(180℃)
理論COP
0.5
0.33
0.25
溶液濃度
濃い
(61%)
中間
(60%)
薄い(55%)
AEGC、SEP
AEGC、EH、
AH、SEP
機器構成
AEGC、EM、
AM、EH、AH、
SEP
1.研究開発の背景、目的、目標
1.2.従来の課題、目的、目標
<従来の課題>
二段昇温吸収式ヒートポンプにより、88℃の温水から83℃
までの熱回収、180℃蒸気の生成が可能であることを確
認。
一過性の排熱利用において、更に低温まで熱回収できる
吸収式ヒートポンプを開発することが課題となった。
<目的、目標>
三段昇温吸収式ヒートポンプによって、90℃の温水から
75℃まで熱を回収し、180℃の蒸気を生成する。
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2.研究開発体制、研究開発内容
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2.1.研究開発体制
研究開発責任者
荏原冷熱システム株式会社
学校法人 早稲田大学
共同実施先
2.研究開発体制、研究開発内容
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2.2.研究開発内容
(1)シミュレーションプログラムの開発と検討
圧力方向に多段化した三段昇温サイクルについて、各種フローパターンの
プログラムを開発し、サイクルの選定を実施。
高温
吸収器
高温
吸収器
中温
吸収器
中温
吸収器
吸収器
再生器
(a)シリーズフロー
高温
吸収器
吸収器
再生器
(b)パラレルフロー
中温
吸収器
吸収器
再生器
(C)リバースフロー
共通の再生器から、吸収器に溶液を送る経路は、多数の組合せが存在。
上記の代表的なフローパターンを中心に静特性解析を実施。
2.研究開発体制、研究開発内容
11
2.2.研究開発内容
(1)シミュレーションプログラムの開発と検討
【COP評価】
・基本フローでは、シリーズフローが最も高
い。
・シリーズフローを一部変形したフローが最高
効率を示す。
【冷却水温度特性評価】
■冷却水温度が低いほど、高いCOPで運転
が可能となる。
■冷却水温度が低いと再生器出口溶液濃度
が高くなり結晶が生じ運転不可となる。
・シリーズフローは、リバースフローに次いで、
溶液濃度を低く維持できる。
【総合評価 】
冷却水温度をより下げた運転が可能であり、
変形(バイパス)フローで使用する制御バルブ
が不要であり、COPが基本フローの中で最も
高い、シリーズフローを試験検証機のフロー
に決定した。
2.研究開発体制、研究開発内容
12
2.2.研究開発内容
(2)三段昇温サイクルの試験検証機による技術評価・検討
試験検証機により、性能確認を実施
気液分離器
中温吸収器
蒸発器
吸収器
高温吸収器
<定格性能試験結果>
項目
単位
試験
結果
実証機
目標値
温水
入口温度
℃
90.2
90
温水
出口温度
℃
74.6
75
冷却水
入口温度
℃
25.3
25
蒸気生成
温度
℃
180.0
180
COP
―
0.205
0.20
蒸気生成量
Kg/h
267
200
①のシミュレーションプログラムと試験データの
静特性の誤差は±5%以内であった
凝縮器
再生器
2.研究開発体制、研究開発内容
13
2.2.研究開発内容
(2)三段昇温サイクルの試験検証機による技術評価・検討
デューリング線図にて、設計サイクルと計測サイクルの比較を実施
2.研究開発体制、研究開発内容
14
2.2.研究開発内容
(2)三段昇温サイクルの試験検証機による技術評価・検討
温水入口温度、冷却水入口温度変化に伴う蒸気発生量の特性評価を実施
冷却水入口25℃条件で、温水温度
を変化させた場合、温水温度が高
いほど、発生蒸気量が多い。温水
入口温度は80℃でも運転可能。
冷却水温度が変化する場合、冷却水
温度の上昇と共に、蒸気の圧力が維
持できるが、蒸気発生量が減少。冷
却水入口温度は35℃でも運転可能。
2.研究開発体制、研究開発内容
15
2.2.研究開発内容
(2)三段昇温サイクルの試験検証機による技術評価・検討
機器の起動特性評価を実施
約1 時間で発生蒸気温度が
定格仕様の180℃に到達
定常運転
運転開始
2.研究開発体制、研究開発内容
2.2.研究開発内容
(3)要素試験による特性評価<管内蒸発試験>
・吸収器管内の冷媒(水)の二相流沸騰特性を把握することで、
吸収器の最適設計に使用する。
・二相流沸騰の特性に与えるパラメータの影響を実験により評価した。
・内面平滑管、内面加工管、各1種類の伝熱管の評価した。
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2.研究開発体制、研究開発内容
2.2.研究開発内容
(3)要素試験による特性評価<管内蒸発試験結果>
①自然循環/強制循環の比較
自然循環方式、強制循環方式を問わず、管内質量流速の上昇に伴い、
総括伝熱係数は上昇した。
②伝熱管種類の比較
内面平滑管の場合、総括伝熱係数は、2~5kW/(m2・K)の値を示した。
内面加工管の場合は、6~10 kW/(m2・K)の値を示し、
平滑管と比較し2~3倍の伝熱向上が確認された。
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2.研究開発体制、研究開発内容
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2.2.研究開発内容
(3)要素試験による特性評価<低温蒸発試験>
散布器
満液時
液面
散布時
液面
吸収ヒートポンプでは、低温
蒸発器の作動条件は、従来
の吸収式冷凍機の40~50倍
の蒸気圧である30~40kPaと
なるため、蒸発/沸騰形態が
大幅に異なる。
満液式の採用可能性を探る
ため、要素試験を行った。
2.研究開発体制、研究開発内容
19
2.2.研究開発内容
(3)要素試験による特性評価<低温蒸発試験結果>
①満液式/液膜式の比較
試験条件下では、満液式と流下液膜式で伝熱特性に大きな相違は見られな
かった。
②伝熱管種類の比較
満液式の低温蒸発器において、平滑管、ローフィンチューブ、沸騰伝熱管の
管外熱伝達率の測定を行った。目標値である管外伝熱係数2.0kW/(m2・K)を
満たす伝熱管は、ローフィンチューブ、沸騰伝熱管であった。
③満液式の液位設定
沸騰伝熱管、平滑管は、液位の影響が見られなかった。
3.成果、実績、展望等
3.1.成果
三段昇温吸収式ヒートポンプにより、
温水入口温度90℃、温水出口温度75℃、
冷却水入口温度25℃の条件で、
180℃蒸気を200kg以上生成し、
COP=0.20以上を達成した。
三段昇温型サイクルについて、各種フローパターンの
シミュレーションプログラムを開発し、
静特性の計算結果は、試験検証機データからの誤差
±5%以内となった。
要素試験(管内蒸発試験/低温蒸発試験)により、
今後の設計改良に必要なデータを得ることができた。
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3.成果、実績、展望等
3.2.実績等
学会発表等 3件
・ISHPC(International Sorption Heat Pump Conference)
・2014年度日本冷凍空調学会年次大会講演
・紙パルプ技術協会 第19回省エネルギーセミナー
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3.成果、実績、展望等
22
3.3.今後の展望
今後の課題
・製品化に向けた大容量機の開発が課題。
・市場投入規模の実用機(蒸気生成量1ton/h)の設計、製造、試験を
計画している。
事業展開
・市場投入済みの単段昇温型、市場規模実用機試験完了の二段昇温型
に続き、三段昇温型を市場投入していく。
社会的意義
・排熱利用にそれぞれ特徴を持つ、単段、二段、三段昇温機を製品化
することで、様々な顧客ニーズに合わせた製品を提供することができ、
省エネルギーに貢献することが可能となる。
3.成果、実績、展望等
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3.4.原油換算省エネ効果
2020年時点: 20,794 kL/年(累計: 34,830 kL )
2030年時点: 156,301 kL/年(累計:986,155 kL )
180000
160000
原油削減量 (kL/年)
140000
120000
100000
80000
60000
40000
20000
0
2015
2020
2025
年
2030