NEDO 省エネルギー技術フォーラム 2015 省エネルギー革新技術開発事業/戦略的省エネルギー技術革新プログラム フェーズ名:実用化開発 <発電ガスタービン用レニウムフリー単結晶合金 ・動翼鋳造技術の開発> 事業実施法人名:三菱日立パワーシステムズ(株) 研究開発期間:2012年12月~2015年2月 1.研究開発の背景、目的、目標 1.1.背景 2 ・原子力発電の今後の展望が不透明 ⇒火力発電割合の増加(約9割) ・火力発電設備からの炭酸ガスの排出量も増加 ⇒炭酸ガス排出削減が大きな課題 高温強度に優れた 単結晶(SC)動翼を適用 ・冷却空気削減、 ・燃焼ガスの高温化 ・ガスタービンの熱効率向上 ・コンバインド発電プラントの 熱効率向上 ●狙い ・大幅な省エネ効果の達成し、炭酸ガスの排出量を削減 8百30万kl/年(2030年度) 1.研究開発の背景、目的、目標 3 940 <従来の課題> SC動翼の低コスト化 (DS翼と同等レベルの価格) *低コスト化が実用化のキイポイント 耐用温度 (℃) 1.2.従来の課題、目的、目標 第2世代SC合金 920 日立 開発合金 ②大型翼SC化鋳造技術の開発 ・多数本取りSC翼鋳造条件の確立 GE (F7H) 3%Re GE(F7FA) 880 Siemens (SGT-1000F) 860 第1世代SC合金 0%Re 現用DS合金 840 5 10 素材コスト比(現用DS合金:1) 100 航空機用 小型動翼 80 合格率 (%) ①低コスト単結晶合金の開発 ・0%ReのSC合金 1.4%Re 900 0 <目的、目標> Siemens (SGT-800) 60 開発動翼 ( DS動翼 と同等) H25動翼 40 (NEDO/助成実績) 発電用 大型動翼 (DOE報告) 20 0 0 100 200 300 SC動翼の大きさ(mm) 400 2.研究開発体制、研究開発内容 4 2.1.研究開発体制 研究開発責任者 三菱日立パワーシステムズ 株式会社 研究所 吉成 明 *)委託先等は無し 研究所 火力システム研究部 研究所 ターボ機械研究部 2.研究開発体制、研究開発内容 2.2.研究開発内容 (1)レニウムフリ-単結晶合金の開発 ●開発手法 ①Reフリー ⇒ 低コスト化 ・ReをW、Taで置換 ②耐酸化性の向上 ⇒ 高温化対応 ・Mo量の低減、Siの添加 ③結晶粒界強化元素(C,B、Hf)を添加 ・異結晶許容による合格率のアップ 940 耐用温度 (℃) ●目標: ・0%ReのSC合金 ・Re3%のSC合金と同等の強度 ・異結晶許容型合金 ・現用DS材と同等の耐食/耐酸化性 ・大型動翼の単結晶化が容易 5 第2世代SC合金 920 日立 開発合金 Siemens (SGT-800) 1.4%Re 900 GE (F7H) 3%Re GE(F7FA) 880 Siemens (SGT-1000F) 860 第1世代SC合金 0%Re 現用DS合金 840 0 5 素材コスト比(現用DS合金:1) 10 2.研究開発体制、研究開発内容 6 2.2.研究開発内容 (2)大型レ二ウムフリー単結晶動翼鋳造技術の開発 ●目標: ・多数本(4翼/回)取り鋳造条件の確立 4本鋳造/回の条件で、 SC翼合格率:50% ・プラットホーム単結晶化 ●開発手法 ・翼部、プラットホーム部は 単結晶(異結晶許容無し) パイパス形状の最適化 ・温度の低い部位での異結晶の許容 (シャンク、ダブティル部等) 粒界強度の評価手法の確立 許容基準の策定 異結晶許容 DS翼(現状) 本開発(SC動翼) 3.成果、実績、展望等 7 3.1.成果 (1)レニウムフリ-単結晶合金の開発① ●耐用温度910℃(開発目標:900℃)の単結晶合金を開発 耐用温度: 910℃ 図 開発単結晶合金のクリープ破断強度 3.成果、実績、展望等 3.1.成果 8 (1)レニウムフリ-単結晶合金の開発② ●単結晶合金の異結晶部は現用DS材と同等の強度を確保し、異結晶を許容 ・異結晶 粒界 図 試験片採取位置 図 異結晶模擬(DS/T方向)部の引張り強度 3.成果、実績、展望等 3.1.成果 9 (1)レニウムフリ-単結晶合金の開発③ ●2結晶材の疲労試験と結晶FEMに より疲労強度への影響を評価 ・500℃:2結晶材の疲労寿命は、 結晶の方位差によらず公称 応力で評価可能 ・900℃:2結晶材の疲労寿命は、 粒界での相当応力で評価可能 500℃ DS/L方向疲労試験片 ● 試験片 900℃ 疲労試験片 引張り/クリープ試験片 高サイクル疲労試験片 曲げ疲労試験片 曲げ疲労試験片 ・異結晶粒界 (a)2結晶試験片 ・2結晶試験片 (b)一方向凝固試験片 図 2結晶材の低サイクル疲労試験結果 3.成果、実績、展望等 3.1.成果 10 (1)レニウムフリ-単結晶合金の開発④ バリヤ型TBCでは、高温・長時間の暴露後もバリヤ層により、 コーティング・基材の相互拡散による基材の組織変質を抑制。 現用TBC 拡散バリヤ型TBC ボンドコート 45mm 基材 15mm 70mm 図 コーティング・基材反応に伴う組織変質 (1000℃×1000h(900℃×32000h相当)暴露後 3.成果、実績、展望等 3.1.成果 11 (1)レニウムフリ-単結晶合金の開発⑤ ・耐酸化性は現用DS材より優れ、 耐食性は現用DS材と同等。 図 ① ② ⑤ ⑥ 図 図 酸化試験結果 溶融塩腐食試験方法 ③ ④ ①,②:開発合金 ③,④:現用DS合金 ⑤,⑥:他社高CrSC合金 溶融塩腐食試験後の試験片外観 3.成果、実績、展望等 3.1.成果 12 (2)大型レ二ウムフリー単結晶動翼鋳造技術の開発① ●要素試験でバイパス形状 を検討し、単結晶化が可能な 形状を決定 課題:プラットホーム等軸晶 PF P F 等軸 晶 断熱材 サセプタ 翼 翼 背側 腹側 鋳型 高周波コイル バッフル 水冷リング バイパスの適用、形状最適化 課題: シールフィンの 結晶粒界割れ PF 翼 水冷チルプレート 鋳型引き出し 図 単結晶動翼の鋳造法 等軸 晶 PF 翼 PF PF 翼 PF 割れ 補強 翼 翼 3.成果、実績、展望等 3.1.成果 13 (2)大型レ二ウムフリー単結晶動翼鋳造技術の開発② ①翼部単結晶化率:80%、 ②P/F部単結晶化率:60% ●翼の単結晶化合格率:60%(3/5) 表 6本取り鋳造試験結果 P/F部 No 中子折れ 翼部 パス形状 結果 1 ○ ○ ×(等軸晶) A 2 ○ ×(柱状晶) ×(等軸晶) B 3 ○ ○ ○ A 4 ○ ○(スリバー) ○ A 5 ○ ○ ○ A 4/5 3/5 6 合格 湯漏れ(鋳型割れ) 5/5 等間隔に配置 TE部を内側 図 6本取り鋳造方案 パスA パスB 3.成果、実績、展望等 3.1.成果 (2)大型レ二ウムフリー単結晶動翼鋳造技術の開発③ ●試鋳翼の実体強度は、開発目標を達成 14 3.成果、実績、展望等 3.2.実績等 学会発表等 3件 15 3.成果、実績、展望等 3.3.今後の展望 (1)結晶粒界での変形、き裂発生等のメカニズムの解明 ・異結晶の許容範囲を更に拡大し、合格率向上。 ⇒更なる低コスト化 (2) 開発SC合金をベースにしたDS合金への改良 (異結晶許容の概念をDS合金開発へ展開) ・燃焼温度上昇によるガスタービンの高効率化には、 後段(3段、4段)動翼のクリープ強度向上が必要。 *後段動翼は長翼のため、単結晶化は不適。 (3) SC合金、DS合金の適用による高効率化 16 3.成果、実績、展望等 3.4.原油換算省エネ効果 17 1)既設ガスタービンH100への適用 ⇒冷却空気量を26%削減 ⇒相対熱効率1.5%向上 2,516 kL/年の省エネ(原油換算、8000h/年運転) 2)SC翼適用高効率GT(燃焼温度を約50℃上昇) ⇒熱効率は約1.1%(相対効率は3.0%)向上 5,032 kL/年の省エネ(原油換算、8000h/年運転) 指標B:2020年、2030年時点の市場導入(普及)量 1)SC翼適用H100ガスタービン 国内:(リプレース+新規)2台/年(*:マーケット規模:既設機17台、新規2台/年) 海外:(リプレース+新規)5台/年、(*:マーケット規模:既設機900台、新規23台/年) 2020年 国内 国外 2030年 国内 国外 省エネルギー効果量 (kL/年) 5,032 0 55,352 1,448,650 2020~2030年間の累計 (kL) 5,032 0 332,112 7,967,575
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