Vol. 113 - コマツ産機

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進化はここから生まれる。
激動する時代、メーカーはどのようにこの変化に挑み、取り組んでいるのか。
コマツの製品をお使いのユーザーの方々をレポートしてご紹介いたします。
今回は、自動車用ヒューズにおいて、国内・海外でトップクラスのシェアを
誇り、世界中のお客様から厚い信頼を得ている、太平洋精工株式会社様 に
お話をお伺いしました。
Vol. 113
自動車用回路保護機器の成形・組立・プレス、
並びに精密金属プレス用金型設計・プレス加工・組立
太平洋精工株式会社
本社工場 〒503-0981 岐阜県大垣市桧町450番地 TEL. 0584-91-3131(代) FAX. 0584-91-6102
大垣工場 〒503-0974 岐阜県大垣市久瀬川町7-5-8 TEL. 0584-81-3131(代) FAX. 0584-81-6102
創 立 1961(昭和36)年10月3日 代表取締役社長 小川 貴久 資本金 9,840万円 従業員数 327名
ホームページ http://www.pecj.co.jp
創業からの経緯及び、現在の事業内容を
お聞かせ下さい。
1961(昭和36)年10月、太平洋工業株式会
社より特殊部品部門を分離独立し、太平洋
精工株式会社を設立。グリースニップル、
ガラス管ヒューズ、リベットの製造を開始
しました。
以来、開発・設計から生産まで一貫して
任せられる部品メーカーとして、40年以上
にわたり日々力を注いでまいりました。
お陰様で来年2011年には、設立50周年を
迎えようとしています。
この様な弊社の主力事業は、大きく2つ
の領域に分けられます。
1つは、自動車用ハーネスメーカー様に
納品し、自動車に組みつけられる各種ヒュ
ーズを主製品とした「自動車用回路保護機
器」部門です。
国内シェア85%はもちろん圧倒的な1位と
なっており、世界シェアでも45%と1、2位
代表取締役社長
小川 貴久
氏
を争うほどに、皆様から多大なご支持を頂
いております。(2009年3月、当社調べ。)
もう1つが主に電機メーカー様とお取り
引きいただいている「精密金属プレス」部門
です。
液晶テレビやプラズマテレビ、次世代ゲ
ーム機、携帯電話、など私たちの身のまわ
りのあらゆる家電製品の高度な金属板パー
ツの金型設計から製作、そして生産までを
受注しています。
国内外でトップクラスのシェアを誇る、太平洋精工(株)の
自動車用ヒューズ。
KOMATSU COMMUNICATION REPORT
「技術」と「こだわり」で
社会に貢献する新しい価値を
創造しています。
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進化はここから生まれる。
自由な発想と豊かな創造力を発揮し、卓越した技術力を持つ
エンジニア集団。工場では徹底した品質管理と原価低減意識
を持ち、社員全員が一丸となって仕事に取り組んでいる。
さらにメーカーの信頼に応えるための積極的な技術革新も
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推進している。
精密金属プレス部門について御社の特徴
をお聞かせ下さい。
家電製品や自動車などに使われる様々な
部品のプレス加工を手がけるのが、精密金
属プレス部門です。
導入当時、国内唯一であった、コマツの
サーボプレス600トン1台と400トン6台を組
み合わせた大型サーボプレス7台のロボッ
トラインを始め、常に最新の生産設備を揃
えて、お客様の多様なニーズにお応えして
います。
弊社では液晶テレビのリアカバーの生産
を65インチまで対応しておりますが、この
大型サーボプレス7台のロボットラインに
加え、金型の自動交換、さらに洗浄までと
いった、生産から洗浄までの一貫した自動
化によって生産コストを下げ、グローバル
コストへの対応をしています。
そのノウハウを注いだのが「深絞りプレ
ス」と呼ばれる加工方法で、主に業務用二
次電池缶の精密加工に活かされています。
特に当社の深絞り加工は高さ100mm以上
の大型サイズの丸形缶、大型の角形缶にも
対応し、円筒缶においては、真円度の誤差
も100分の5mm以下という極めて高い加工
精度を実現しています。
今後は、ハイブリッド車やEV自動車用、
あるいは太陽電池のバックアップ用電源な
ど、特殊電池の需要はますます増えていく
ことが予想されます。
「深絞りプレス」で加工された業務用二次乾電池缶。
御社の生産体制についてお聞かせ下さい。
65インチまで対応できる、生産から洗浄まで一貫した
液晶テレビリアカバーの自動化ライン。
最先端の設備とともに太平洋精工の優れ
た加工品質を支えるのが、独自に築き上げ
た「金型製作技術」です。
弊社では、金型設計から試作・量産・品
質保証までの一貫体制であらゆる精密加工
に対応しています。
試作段階から携わることで、量産時にお
けるコスト低減や歩留まりの改善など、様
々なご提案をさせて頂くことができます。
大型サーボ7台ロボットラインなどの最
新設備を駆使した短納期対応も当社の特長
です。大型部品の金型納期は最短で35日、
Vol. 113
自動車用回路保護機器の成形・組立・プレス、
並びに精密金属プレス用金型設計・プレス加工・組立
第2事業部門 製造2部
執行役員 部門長
小型部品では15日とスピーディーな対応が
可能です。
コマツサーボプレスH2F600×1台とH2F400×6台の
大型サーボプレス7台で組まれたロボットライン。
従来、切削処理していたものをプレス加
工に置き換えたことも当社が持つ金型技術
の特長の一つです。これにより加工コスト
が5分の1、場合によっては10分の1にまで
大幅に低減することが可能となりました。
1工程でプレス加工とタップ加工をこな
す「型内タップ」も、効率化・低コスト化
を実現する上で欠かせない製法です。
海外への展開についてお聞かせ下さい。
弊社は、メキシコとタイに生産工場を構
えております。こちらにもコマツのサーボ
プレス及び品質管理システムを導入し、日
本国内と同等の技術・品質を提供できる生
産体制、人的ネットワークを構築しており
ます。
世界各国に展開する生産・販売拠点(代
理店含む)を通して、グローバルなニーズ
にきめ細かく対応しております。
氏
部長 小椋
幸明
氏
第2事業部門 製造2部 製造課
課長
吉川 克彦
氏
環境対応への取組みも積極的に行われて
いるようですね。
弊社では「地球にやさしい環境づくり」と
いうスローガンのもと、全社一丸となって
環境保全に取り組んでいます。
精密金属プレス加工部門においても様々
な面から環境への配慮を具体的に実践して
います。
たとえば製品の洗浄には「アルカリイオ
ン水洗浄機」を導入。工場から排出される
のはほとんど水だけで、環境に負荷を与え
る有機溶剤などは一切排出していません。
基本的に「洗浄レス加工」を推進し、大切
な水資源の節約にも貢献しています。
プレス加工時に使用する油については、
24時間以内に100%蒸発する速乾性油を採
用しています。油を大量に使用する切削加
工からプレス加工に切り替えた生産ライン
も環境負荷低減に貢献していると考えます。
水都・大垣にふさわしいクリーンな工場
をめざして、これからもあらゆる面から環
境保全に取り組んでまいります。
ISO9001(左)、ISO14001(右)。
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馬渕 浩 一 郎
太平洋精工株式会社
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Vol. 113
進化はここから生まれる。
自動車用回路保護機器の成形・組立・プレス、
並びに精密金属プレス用金型設計・プレス加工・組立
太平洋精工株式会社
KOMATSU COMMUNICATION REPORT
今後の展望をお聞かせ下さい。
自動車産業と家電産業。モノづくり大国
日本を代表する二大産業の発展に、私たち
太平洋精工株式会社は半世紀にわたって貢
献し続けてきました。
特に自動車用ヒューズに関しては、世界
中のお客様より、信頼をいただくまでに成
長することができましたが、その礎となっ
ているのが、一歩先のニーズにお応えでき
る「最先端技術・設備」と、製造と同時に
作り込む優れた「世界共通品質」、そして、
開発・設計段階からお客様とともに一つの
製品を作り上げていく「パートナーシップ」
です。
今後も、ますます高度化・細分化するニ
ーズに即応できる体制を整え、常に最新の
技術・設備、そして付加価値の高いサービ
スで、あらゆるお客様のご要望にお応え致
します。品質管理においては、全ての従業
員が「人命を預かる部品製造に携わってい
る」という高い品質意識を持ち、製造段階
から徹底的に品質の作り込みを行ってまい
ります。
これからも太平洋精工は、加速度的に進
化する産業界の発展と歩調を合わせ、お客
様にご満足いただける高付加価値な製品、
サービスの提供に邁進してまいります。
65インチ液晶テレビのリアカバー。
コマツ産機株式会社 マーケティング本部 営業企画部
〒920-0225 石川県金沢市大野町新町1番1-6-8
TEL. 076-293-4206 FAX.076-293-4354
インターネットアドレス http://www.komatsusanki.co.jp/kts/