Vol. 82

KTS-Net
進化はここから生まれる。
激動する時代、メーカーはどのようにこの変化に挑み、取り組んでいるのか。
コマツの製品をお使いのユーザーの方々をレポートしてご紹介いたします。
今回は、長年に渡り、農業機械部品をはじめとしたプレス加工を行い、豊富
な経験と技術力で社会に貢献されている熊本県熊本市の株式会社島田製作所
様にお話をお伺いしました。
Vol. 82
農業機械部品・自動車部品・二輪車部品
株式会社 島田製作所
本 社 工 場 熊本県熊本市長嶺西1丁目4番22号 TEL.096-382-3305(代表) FAX.096-382-3368
長嶺事業所 熊本県熊本市長嶺西1丁目7番11号
西原事業所 熊本県阿蘇郡西原村布田字雀塚1431-1 TEL.096-279-4056(代表) FAX.096-279-4072
設
立 1956(昭和31)4月 代表取締役 島田 年幸 資本金 1,000万円 従業員数 65名
創業から今日に至るまでの経緯について
お聞かせ下さい。
大正3年4月、現社長の祖父にあたる先々
代が、クワやスキといった農具の製造を主
とする鉄工業として創業しました。
その後、昭和31(1956)年 4月に、島田製
作所として設立するとともに、九州向けに
クボタの水田用車輪をライン化して製造す
ることになりました。この水田用車輪の製
造は、その後、昭和47年頃に至るまでの長
い間続きました。
昭和41年には、熊本総合鉄工団地内に現
在の本社工場となる工場を新設。地元メー
カーの農業機械部品の製作を手掛けること
となりました。
創業から今日まで、長年に亘り様々な農
業機械部品の製造を手掛けてきた弊社にと
って、最も大きな転機を迎えたと言えるの
が、平成3年のことです。
大手自動車メーカーが、二輪部門の集約
の為、熊本の仕事が拡大する事になり、そ
れを機に二輪車部品の受注を頂くことが出
来、取引を開始することになったのです。
取締役管理部長
村上 弘幸
氏
この二輪車部品の製造に伴い、生産量が
大幅に拡大しました。さらにその技術と経
験を活かし、平成 7年からは、自動車部品の
製造も手掛けるようになりました。
現在では、農業機械部品とともに弊社の
柱と言えるまでになった自動車部品製造で
すが、今後も長年培ってまりました様々な
技術や経験を活かし、さらに新しい知識や
情報・技術を取り入れ、常に信頼される製
品作りを続けてまいります。
御社では、どのような社員教育をされて
いますか。
弊社では、社員1人1人を見て評価してい
ます。
まず、図面を見る力や技術といった個人
の能力、そして実作業状況を吸い上げ、そ
れを教育プログラムに反映しています。
毎月 1 回の教育プログラムでは、私のよ
うな事務職の者が基礎的な指導を行い、実
際の現場での実践指導を現場の班長等の者
KOMATSU COMMUNICATION REPORT
『信頼される製品
企業の繁栄
個人の尊重』 KTS-Net
進化はここから生まれる。
日々変化する顧客のニーズに応え、最良の品質とサービス
を追求したモノづくり。工場では徹底した品質管理と原価
低減意識を持ち、社員が一丸となって仕事に取り組んでい
る。さらに顧客の信頼に応えるための積極的な設備投資も
推進している。
KOMATSU COMMUNICATION REPORT
が行っています。そして、その成果の確認
を年 1 回行っております。
このようなことは、I SO 取得に向けた活
動を行っていた時から実施してきたことで
すが、今後も続けて行くことによって、社
員1人1人のさらなるスキルアップを目指
して行きたいと思っています。
ISO 9001 : 2000 ISO 14001 : 2004 認証取得。
その活動は、今も社員のスキルアップに活かされている。
古くから農業機械部品を手掛けられてい
ますが、その特徴をお聞かせ下さい。
農業機械という物は、実に独特な特徴が
あります。
例えば、弊社が昭和31年から15年間程製
造していた水田用車輪は、鉄板を2枚重ね
て羽を作り、それを鉄の輪に取り付けるの
ですが、使用される地域によって水田の土
の硬さが違うため、羽の構造を土の硬さに
よって変えなければならないのです。その
ため当時の弊社は、九州用を担当していま
した。
また、コンバインなども使用される地域
の土の硬さによって脚回りのキャタピラの
幅を変えなければなりませんし、自動車と
は違い、稲を刈る機能やモミの分別など農
業機械としての様々な機能を持たせなけれ
ばなりません。にも関わらず、生産量は多
くても年間3,000台、物によっては月に1台
か2台といったケースもあります。まさに
多品種小ロットの世界なのです
弊社では、このような製品を長年手掛け
て来たことにより、様々なノウハウを培う
ことが出来たため、製品によって作り方を
変えるといったことが得意になりました。
また、少なくなってきた現在でも 4,000
∼5,000点という品種の多さに対応すべく、
かなり以前からコンピュータを導入し、材
料・加工工程・在庫等を管理してきたため、
多品種の部品管理や生産管理等の管理力も
培うことができました。
二輪車部品を手掛けることになったのが
御社の大きな転機だったのですね。
創業以来、農業機械部品の製造を続けて
きた弊社が二輪部品の製造を手掛けること
になったのですが、当時、そのメーカーの
社員の方々が 1年間程弊社にお越し下さり、
技術管理及び品質保証管理を徹底的に支援
をして下さったのです。
弊社はこのメーカーに育てて頂いたと今
でも感謝しております。 二輪車部品の製造を手掛けることが、そ
の後の自動車部品にも結び付くことになっ
たわけで、やはり弊社にとって大きな転機
であったと言えます。
Vol. 82
農業機械部品において、様々な部品の製
造を行って来たため、二輪車及び自動車部
品でもその経験を活かすことができました。
弊社ではレーザ加工、プレス加工、溶接
をはじめ、金型製作から治具製作まで一貫
した生産を行っています。
そのため、レーザーで切断した後、プレ
スで加工するといったような複合加工品の
御要望にもお応えしております。
また、メーカーが持ち込まれたかなり古
い金型を使っての生産というご要望にも応
えることが出来ました。
サーボプレスH2F御導入の動機と実際に
御使用された感想をお聞かせ下さい。
弊社では様々な自動車部品を手掛けてい
ますが、シートブラケット部品等、硬い材
料を使うものが増えてきたのです。
元々、鉄はもとに戻りたいという性質を
持っているため、その反力を抑えて加工す
るには、サーボプレスが最適です。
また、今までは C型フレームのプレスで
加工していたため、口開き等の問題もあり、
複合加工もサーボプレスなら安定した高い品質を実現。
株式会社 島田製作所
品質の安定を図りたく、コマツACサーボ
プレスH2F300 を導入しました。
早速、C型フレームの 250トンプレスで
使用していた金型を装着して加工を試みた
所、今まで調整のために入れていたシムを
全て取り除くことになったのです。サーボ
プレスなら正確な加工が出来るため、無駄
な金型調整が要らないことを強く実感しま
した。
また、サーボプレスならば、トン数が少
なくて済むということも判りました。今ま
で250トンプレスで行っていた加工をサーボ
プレスで行いたかったため、300トンプレス
を導入したのですが、実際に使用した所、
今まで一度も荷重計が200トンを指したこ
とがないのです。
本当に、金型にもプレス自身にも負担が
掛からないことを実感させられました。
ACサーボプレスH2F300。今後の更なる活躍が期待される。
KOMATSU COMMUNICATION REPORT
農業機械部品・自動車部品・二輪車部品
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進化はここから生まれる。
農業機械部品・自動車部品・二輪車部品
株式会社 島田製作所
今後の展望などをお聞かせください。
KOMATSU COMMUNICATION REPORT
現在の弊社では、農業機械部品と自動車
部品がちょうど均等の割り合いを示してい
ますが、今後は、さらなる自動車産業への
進出を図りたいと思っています。
海外での生産が主流になりつつあります
が、中国等の海外では現在、日本ほど材質
の安定した鉄が手に入らない為、自動車部
品などは日本で生産し、輸出しているとい
う状況です。
しかし、今後各自動車メーカーが現在国
内で生産している車種は、近い将来、殆ど
海外生産になり、国内で生産される車種は
少なくなって行くであろうと思われます。
その様な状況の中でも、今まで弊社が手
掛けていない部品を取り込むなどして、積
極的に自動車部品の製造を行っていきたい
のです。
そのためにも、ACサーボプレスH2Fを
活用して、様々な新しい課題に取り組んで
行きたいと思っています。
KTS-Net
KTS-Netとは、サーボプレスを活用し
て革新的なプレス加工を追求されてい
るユーザーの方々の集まりです。
皆様の情報受発信の場として、是非ご
利用ください。
また、今後もこの誌面でKTS-Netのお
客様をご紹介させて頂きます。
ご入会をご希望の方は、是非弊社のサ
イトをお訪問下さい。