ゲーム理論(第2回)

ゲーム理論・ゲーム理論Ⅰ
(第9回)
第5章 不完全競争市場の応用(続き)
クールノー競争
2014年6月6日
担当 古川徹也
2014/06/06
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クールノーの複占モデルの特徴
• 需要側は逆需要関数1本で表現される。
したがって,消費者はすべてプライステ
イカーであると仮定する。
• 企業は2企業(企業A,企業B) 。完全に
同一の財を生産している。
• 企業Aと企業Bの意思決定は同時(先手,
後手があるものはシュタッケルベルグ・
モデル)。
• 1回限りのゲームである。
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5.3 クールノー・モデル
• 需要側:逆需要関数 p  120  x
p :市場価格, x :市場需要量
• 供給側:2企業(企業A,企業B)
x A:企業Aの供給量, xB:企業Bの供給量
• 限界費用は30で一定,固定費用はゼロと
する。
• 需給均衡条件: x  x A  xB
• 市場価格: p  120  ( x A  xB )
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各企業の利潤
• 企業Aの利潤
 A  px A  30 x A  (120  ( x A  xB )) x A  30 x A
さらに整理: A   x A ( x A  (90  xB ))
独占で学んだやり方を用いれば,利潤を
最大にする生産量は x A  (90  xB ) / 2
• 企業Bの利潤に関して同様に分析すると,
利潤を最大にする利潤は xB  (90  x A ) / 2
となる(各自確認)。
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最適反応曲線を求める
• 最適反応曲線:相手の行動を与件として,
自らの利得を最大にする戦略(行動)を選
ぶことによって導ける。
90  xB
• 企業Aの場合: x A 
2
• 企業Bの場合:
90  x A
xB 
2
• これらを x A  xB 平面に描く。
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図5.5 最適反応曲線
xB
90
企業Aの最適反応曲線
45
企業Bの最適反応曲線
45
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90
xA
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クールノー・ナッシュ均衡
xB
90
企業Aの最適反応曲線
45
30
企業Bの最適反応曲線
30
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45
90
xA
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計算で求める
• 最適反応曲線の交点 = 連立方程式の解
• 企業Aの最適反応曲線を表す式
90  xB
より,2 xA  xB  90
xA 
2
• 企業Bの最適反応曲線を表す式
90  x A より,
2 xB  xA  90
xB 
 xB
2
• 裏技:対称的な式(変数を入れ替えただ
け)なので,はじめから xA  xB で計算し
てよい。→ x A  xB  30 がすぐ導ける。
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5.4 クールノー競争による複占市場の分析
• クールノー・ナッシュ均衡での企業Aの利
潤は,以下の式で計算できる。
 A ( x*A , xB* )   A (30,30)  30  (30  (90  30))  900
• この値は企業Bに関しても同様なので,企
業Bの利潤も  B ( x*A , xB* )  900 となる。
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図5.6
B
20と30のみを比較した利得行列
20
30
20
(1000, 1000)
(800, 1200)
30
(1200, 800)
(900, 900)
A
典型的な囚人のジレンマの状況である。
※企業の利潤が最大化されるのは,22.
5(独占の半分)のときである。
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消費者余剰
価格
120
p
消費者余剰
p*=60
x*=60
市場の販売量 x
社会全体の利益をはかるには,企業利潤の合計と,消費
者余剰を足し合わせた,「社会的総余剰」を考える。
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企業の利潤,消費者余剰,社会的総余剰
価格
生産量
企業利潤の
合計
消費者
余剰
社会的
余剰
独占
75
45
2025
複占
60
60
1800
1800
3600
完全競争
30
90
0
4050
4050
1012.5 3037.5
完全競争>複占>独占,という関係になっている
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