環境経済論 第5回目 消費者余剰と旅行費用法 旅行費用法 • 「環境」の代替財として「旅行」市場に着目 • 自然環境、美しい景色に「価格」はないが、実 際にそれを味わうためには、そこまでの「旅 行」が必要 – どれだけの人がどれだけの費用を払って訪問す るかを観察することにより対象環境の価値を計る • 旅行には費用が伴う – 金銭費用=交通実費 – 時間費用=「時は金なり」 消費者余剰の概念 • 支払い意思額と実際に支払った額との差。 消費者余剰= 支払い意志額(WTP)-取引価格(p) • 財を購入(貨幣との交換)した後に、購買者の 手元に残る純効用 • 交換の「満足度」をあらわす 消費者余剰 例:60円のバナナを購入する 支払い意思額100円であったとすると 消費者余剰は40円 消費者余剰 (40円) 支払い意思額 (100円) 取引価格 (60円) 複数個購入した場合の消費者余剰 150円 100円 80円 60円 1個目 2個目 3個目 合計の消費者余剰= 90円 +40円 +20円 =150円 市場全体の消費者余剰 WTP P0 需要曲線(=WTPを大きい順に並べたもの) 消費者余剰 R P O Q 市場全体の消費者余剰 バナナが単価60円で80個売れた場合の消費者余剰 (需要曲線は直線と仮定、最大値は200円) 200円 60円 0 80個 全体の消費者余剰=1/2×80個×(200円-60円)=5600円 旅行という商品 • 旅行の数量=トリップ数(片道または往復) • 旅行の費用 旅行費用=交通費+時間費用 • 交通費:旅行にかかわる実際の出費 電車代、バス代、ガソリン代など • 時間費用:そこに到達するために必要な時間 のロスの経済的価値 時間費用とは • 時間の生産性の観点から – 失われる収入機会 – 賃金率をベースに • 時間の選好の観点から – 待つことによる苦痛バイパス通行料などをベースに • ただし、現地の滞在時間は費用に含めない – 現地の滞在時間では自然鑑賞の「楽しみ」の時 間と考える – どれだけ長く滞在するかは本人の自由 消費者余剰の意味 • 旅行者(利用者)は旅行に対して一定の支払い意志額を持 つと仮定すると、入園料が賦課されてもWTP以内であれば 利用者は支払って入園すると考えられる 消費者余剰=仮想的入園料として徴収可能 ≒対象とする環境の旅行価値 旅 行 の 支 払 い 意 思 額 消費者余剰 =入園料として 追加的に徴収可 能な金額 旅 行 費 用 旅行市場における消費者余剰 WTP P0 消費者余剰 R P 旅行費用総額 O Q 需要曲線 消費者余剰の変化(その1) P1 P2 旅行費用低減に伴う消費者余剰の変化 バイパス建設プロジェクト P1 P2 消費者余剰の変化(その1) 需要曲線1 需要曲線2 旅行需要変化に伴う消費者余剰の変化 ビーチ整備プロジェクト 需要曲線1 需要曲線2
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