Interregional mixed duopoly, location and welfare

Interregional Mixed Duopoly,
Location and Welfare
Graduate School of Economics, Waseda University
Tomohiro Inoue, Yoshio Kamijo,
and Yoshihiro Tomaru
日本経済学会 2007年度春季大会; 2007年6月2日
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概要
»
»
»
»
»
»
mixed oligopoly(混合寡占)
研究目的
先行研究
モデル
結果
結論と今後の研究
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mixed oligopoly(混合寡占)
» 私企業と公企業の競争
►

e.g. 金融(民間 vs. 政府系); 教育(私立 vs. 国公立)
私企業: 利潤最大化
 公企業: 厚生最大化
c.f. De Fraja and Delbono (1989)
» 国営企業だけでなく,地方公企業も存在
►

e.g. 教育(県立校・市立校); 病院(県立・市立)
国営企業: 一国全体の厚生最大化
 地方公企業: 当該地域の厚生最大化
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研究目的
» 地方公企業が当該地域外の市場,企業,消費者の
存在によって受ける影響
» 地方公企業の決定が他地域の厚生に与える影響
 立地モデル(線分市場モデル)を用いる
» 国際社会における公企業
►
一国における各地域の地方公企業と,国家連合体にお
ける各国の国営企業の関係の類似性
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先行研究(1/2): 線分市場モデル
» shopping model(輸送コストは距離の2乗に比例),複
占・各企業は立地点と財価格を決定(2段階ゲーム)
私企業 vs.
私企業
国営企業
地方公企業
研究
d’Aspremont
et al. (1979)
Cremer et al.
(1991)
本研究
» 各モデルの違いは企業の目的関数



私企業: 自己の利潤
国営企業: 一国全体の厚生(社会厚生)
地方公企業: 当該地域の厚生
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先行研究(2/2): 結果
» d’Aspremont et al. (1979): 私企業複占

PA = PB = 1
企業A
企業B
1/2
0
1
» Cremer et al. (1991): 混合複占(一方が国営企業)

PA = PB = 0.5
企業A
0
1/4
企業B
1/2
3/4
1
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モデル(1/2)
» 消費者は[0 , 1]の線分市場に一様に分布
» 各消費者は必ず財を1単位購入する
 財消費による総便益は一定(→ 捨象)
» 消費者の負担する輸送コストは距離の2乗に比例
» 企業は2社存在し,[0 , 1]区間内に立地して,同
質財を費用ゼロで生産
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モデル(2/2)
☆ 地域1: 区間[0 , 1/2),地域2: 区間[1/2 , 1]
☆ 企業A: 地域1の政府が所有(地方公企業)
☆ 企業B: 地域1住民以外の民間所有(私企業)
→ 企業A: 地域1の厚生最大化
企業B: 利潤最大化
» ゲーム構造(2段階ゲーム)

1st: 立地点の決定, 2nd: 財価格の決定
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図解
①
④
②
PB
PA
0
③
a
1/2
x
地域1
b
1
地域2
» 地域1の厚生=① - ② - ③
» 企業Bの利潤=④
※ 社会厚生=-(総輸送コスト)
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結果(1/2): Theorem 1 & Proposition 1
» 部分ゲーム完全均衡は2つ存在する(E1, E2)

E1 : PA = 0.31, PB = 0.43 → PA < PB
a1
0

x1
1/4
1/2
b1
3/4
1
3/4
1
E2 : PA = 0.49, PB = 0.36 → PA > PB
x2
b2
0
1/4
a2
1/2
» E2 は E1 を利得支配するが,社会厚生は E2 に比べ
て E1 の方が高い
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E1の解釈
企業Aの立地に影響する誘因
»
① 企業Bに近づく誘因

地域2住民からの需要拡大効果
② 企業Bから離れる誘因
直接効果(乖離による需要の価格弾力性の低下→価格上昇)
 間接効果(企業Bの価格上昇→戦略的補完による価格上昇)

③ 地域1住民の輸送コスト削減誘因
 私企業: ① < ②
 地方公企業: ① > ② となり,③ が加わる
a
a1
0
1/4
x1
1/2
3/4
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b1
1
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E2の解釈
» 誘因③が相対的に強く働き,企業Aは1/2よりも左
方に立地
 各企業の利得は E1 よりも大きい
A)
B)
顧客の大部分は地域2住民であるため,高い価格設定
企業Aの価格上昇により,需要拡大
 地域2住民に負担を押し付けているため,社会厚
生は E1 よりも低い
x2
b2
0
1/4
a2
a
1/2
1
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結果(2/2): Proposition 2 (E1 or E2?)
» 均衡選択: どちらの均衡が成立するか?
(企業Aの利得,企業Bの利得)
企業B
企業A
b1
b2
a1
(0.05 , 0.12)
(0.06 , 0.05)
a2
(0.03 , 0.07)
(0.09 , 0.13)
 利得支配 → E2 = (a2 , b2)
 リスクを考慮する基準: e.g. マキシミン原理,リスク支配
 E1 = (a1 , b1) が選択される
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結論と今後の研究
【結論】
» 均衡は複数存在し,利得支配する均衡における社会厚生は
そうでない均衡における社会厚生よりも低い
» リスクを考慮する基準では,相対的に社会厚生の高い均衡
が選択される
» 地方公企業はどの均衡においても当該地域内に立地する
【今後の研究】
» 地域間の規模の違い(非対称地域)
» 立地制限や課税の考慮
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