ゲーム理論・ゲーム理論Ⅰ (第10回) 第5章 不完全競争市場の応用(続き) シュタッケルベルグ競争 2014年6月13日 担当 古川徹也 2014/06/13 1 シュタッケルベルグ競争の特徴 • 需要側は逆需要関数1本で表現される。 したがって,消費者はすべてプライステ イカーであると仮定する。 • 企業は2企業(企業A,企業B) 。完全に 同一の財を生産している。 • 企業Aと企業Bの意思決定は,交互に行わ れる。すなわち「先手」と「後手」に分 かれて意思決定を行う。 2014/06/13 2 5.6 シュタッケルベルグ・モデル • 需要側:逆需要関数 p 120 x p :市場価格, x :市場需要量 • 供給側:2企業(企業A,企業B) x A:企業Aの供給量, xB:企業Bの供給量 • 限界費用は30で一定,固定費用はゼロと する。 • 需給均衡条件: x x A xB • 市場価格: p 120 ( x A xB ) • 企業Aが先手,企業Bが後手である。 2014/06/13 3 シュタッケルベルグ・モデルの解法 Step 1:まず,与えられた先手の戦略に対する 後手の最適反応を求める。これは,クールノー モデルで用いた手法をそのまま当てはめればよ い。 → 後手の最適化問題を最初に考えるところは, バックワードインダクションの考え方を用いて いると考えられる。 Step2:Step1で求められた戦略を後手が選ぶこ とを前提に,選択は自分が各戦略 x A を選んだ ときの自分の利潤を計算する。 Step3:Step2で求めた先手の利潤を最大にする 戦略 x Aを求める 2014/06/13 4 Step1 • 企業Bの利潤 B ( x A , xB ) pxB 30 xB (120 ( x A xB )) xB 30 xB を最大にする xB を求める。クールノーモ デルのときと同じように計算すれば,与え られた x A に対して,企業Bの利潤を最大に する xB は, 90 x A xB 2 として求められる。これが企業Bの最適反応 関数である。 2014/06/13 5 Step2 • 企業Bの最適反応関数を与件として,企業 Aは利潤 A ( x A , xB ) px A 30 x A (120 ( x A xB )) x A 30 x A を最大にする x A を求める。 • 最適反応関数を与件とすることは,xB に 最適反応関数 xB (90 x A ) / 2 を代入する ことと同じである。すなわち,企業Aの利 潤は,以下のようになる。 90 x A 1 A ( x A ) 120 ( x A ) x A 30 x A (90 x A ) x A 2 2 2014/06/13 6 Step3 • 企業Aの利潤 90 x A 1 A ( x A ) 120 ( x A ) x A 30 x A (90 x A ) x A 2 2 を最大にする x Aを求める。 • これは結局 の最大化と同じで, 独占と同じ問題となる。したがってこれ * x x を最大にする A は A 45 であり,その ときの xB は xB* 22.5 となる。 2014/06/13 7 図 シュタッケルベルグ均衡の図示 xB 90 企業Aの最適反応曲線 45 22.5 企業Bの最適反応曲線 45 2014/06/13 90 xA 8 比較:クールノー・ナッシュ均衡 xB 90 企業Aの最適反応曲線 45 30 企業Bの最適反応曲線 30 2014/06/13 45 90 xA 9 利潤の比較 • 企業Aの利潤 A ( xA ) • 企業Bの利潤 1 (90 45) 45 1012.5 2 B ( x A ) (120 (45 22.5)) 22.5 30 22.5 506.25 • 企業Aの利潤は,クールノーナッシュ均衡 の場合よりも大きくなる。企業Bの利潤は クールノーナッシュ均衡の場合よりも小 さくなる。 • 先手のほうが有利になるが,どちらが先 手になるかは,研究課題である。 2014/06/13 10 企業の利潤,消費者余剰,社会的総余剰 価格 生産量 企業利潤の 合計 独占 75 45 2025 クールノー ナッシュ 均衡 60 60 1800 シュタッケル ベルグ均衡 52.5 67.5 完全競争 30 90 2014/06/06 消費者 余剰 社会的 余剰 1012.5 3037.5 1800 3600 1518.75 2278.125 3796.875 0 4050 4050 11 練習問題 • 需要側:逆需要関数 p 200 x p :市場価格, x :市場需要量 • 供給側:2企業(企業A,企業B) x A:企業Aの供給量, xB:企業Bの供給量 • 限界費用は20で一定,固定費用はゼロと する。 • 企業Aが先手,企業Bが後手としたときの, シュタッケルベルグ均衡を求めよ。 2014/06/13 12
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