ゲーム理論・ゲーム理論Ⅰ (第8回) 第5章 不完全競争市場の応用 2014年5月30日 担当 古川徹也 2014/05/30 1 いままでの内容で,理解して欲しい点 • 第2章 支配戦略均衡を求める,片方にのみ支配戦略が ある場合のゲームの解,ナッシュ均衡を求める。 • 第3章 ゲームの木のゲームの解を求める。 • 第4章 支配,弱支配関係が答えられるようにする。支 配された戦略の繰り返し削除でゲームの解を求 められる。簡単なオークションにおけるゲーム の解が求められる。 2014/05/30 2 第5章の内容 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 2014/05/30 完全競争市場とゲーム理論の発展 独占市場での企業行動 クールノー競争 クールノー競争による複占市場の分析 ベルトラン競争 シュタッケルベルグ競争 3 完全競争市場とは • ミクロ経済学で学ぶ需要・供給曲線の基 礎となるのは,完全競争市場である。 • 完全競争市場の最大の特徴:個々の消費 者,企業は,価格を与件として行動する 価格受容者(プライステイカー price taker)。 • 与えられた価格に対してどれだけ購入す るかを市場全体で合計したのが需要曲線, 販売しようとするかを合計したのが供給 曲線である。 2014/05/30 4 なぜ完全競争市場が正当化されるのか • 消費者も生産者も多数存在する場合,誰も単 独では価格をコントロールするようなことは できない。 • 「相場(常識的・平均的な水準)」より高く 売ることはできないし,低く買うこともでき ない。 • なんとなく決まる「相場」のもとで売ったり 買ったりするような市場を考える場合,完全 競争市場 → 世の中には,このような性質を持たない市 場もたくさんある(とくに供給側) 2014/05/30 5 市場均衡 価格 供給曲線 市場均衡 市場均衡 価格 需要曲線 市場均衡数量 2014/05/30 数量 6 不完全競争市場 • 売り手または買い手が市場で決まる価格 に影響を与えることができるような市場 を,不完全競争市場と呼ぶ(不完全競争 市場は他のタイプもある)。 • とくにゲーム理論と密接なかかわりを持 つのは,(1) 買い手側(需要)はプライス テイカーで,需要曲線で表現,(2) 売り手 側(供給)が価格設定者(プライスメイ カー)となっている市場。 2014/05/30 7 不完全競争市場の種類 • 独占:供給側が1企業のみ • 複占:供給側が2企業 • 寡占:供給側が3企業以上少数 複占・寡占では,企業間に戦略的相互依存 関係が存在する。これは完全競争市場・独 占と複占・寡占を分ける点である。 2014/05/30 8 独占モデル:モデル17 逆需要関数: p 120 x 収入: R p x (120 x ) x 可変費用: 30 x 固定費用: 0 費用の全体:可変費用と固定費用の合計。し たがって C 30 x • 企業の利潤:売り上げから費用を差し引いた もの • • • • • x ) R C (120 x ) x 30 x (90 x ) x 2014/05/30 9 独占企業の販売量,価格と利潤 販売量(x) 価格(p) 収入(R) 費用(c) 利潤(π) 0 120 0 0 0 20 100 2000 600 1400 40 80 3200 1200 2000 60 60 3600 1800 1800 80 40 3200 2400 800 100 20 2000 3000 -1000 2014/05/30 10 利潤を最大にする生産量の求め方 (1)平方完成を使う ( x ) ( x 45) 2 2025 (2)利潤の式を微分してゼロとおく ( x ) x 2 90 x を微分して, ' ( x ) 2 x 90 0 (3)(この授業ならこれで十分)利潤の 式をもとにして求める。 2014/05/30 11 この授業ならこれで十分 ( x ) x 2 90 x x ( x 90) のように, ( x ) x( x a ) の形に直す。 aを1/2にした値が利潤を最大にする x ここでは90の半分だから45。 2014/05/30 12 5.3 クールノー・モデル • 需要側:逆需要関数 p 120 x p :市場価格, x :市場需要量 • 供給側:2企業(企業A,企業B) x A:企業Aの供給量, xB:企業Bの供給量 • 完全に同一の財を供給している。限界費 用は30で一定,固定費用はゼロとする。 • 需給均衡条件: x x A xB • 市場価格: p 120 ( x A xB ) 2013/05/24 13 各企業の利潤 • 企業Aの利潤 A px A 30 x A (120 ( x A xB )) x A 30 x A さらに整理: A x A ( x A (90 xB )) 独占で学んだやり方を用いれば,利潤を 最大にする生産量は x A (90 xB ) / 2 • 企業Bの利潤に関して同様に分析すると, 利潤を最大にする利潤は xB (90 x A ) / 2 となる(各自確認)。 2013/05/24 14 最適反応曲線を求める • 最適反応曲線:相手の行動を与件として, 自らの利得を最大にする戦略(行動)を選 ぶことによって導ける。 90 xB • 企業Aの場合: x A 2 • 企業Bの場合: 90 x A xB 2 • これらを x A xB 平面に描く。 2013/05/24 15 最適反応曲線 xB 90 企業Aの最適反応曲線 45 企業Bの最適反応曲線 45 2013/05/24 90 xA 16 クールノー・ナッシュ均衡 xB 90 企業Aの最適反応曲線 45 30 企業Bの最適反応曲線 30 2013/05/24 45 90 xA 17 計算で求める • 最適反応曲線の交点 = 連立方程式の解 • 企業Aの最適反応曲線を表す式 90 xB より,2 xA xB 90 xA 2 • 企業Bの最適反応曲線を表す式 90 x A より, 2 xB xA 90 xB xB 2 • 裏技:対称的な式(変数を入れ替えただ け)なので,はじめから xA xB で計算し てよい。→ x A xB 30 がすぐ導ける。 2013/05/24 18
© Copyright 2024 ExpyDoc