2期間モデル(消費) マクロ金融論2010 1 金融取引 金融取引は、ある一時点でみれば、黒字主体(所 得>支出)がその余剰資金を資金不足にある赤 字主体(所得<支出)へ資金を融通する取引。 しかし、金融取引は、その一時点では終わらない。 現在を行った金融取引は、将来において元本と利 子の返済が伴う。 したがって、現在の赤字主体(所得<支出)は、将 来には黒字主体(所得>支出)になることを前提 に借入れを行い、現在の黒字主体(所得>支出) は、将来に赤字主体(所得<支出)になれることを 前提に行動できる。 マクロ金融論2010 2 金融取引(続) 金融取引は、現在時点の所得と将来時点 の所得とを交換する取引であり、また、現 在時点の支出と将来時点の支出を交換 する取引である。 あるいは、金融取引は、現在の資金と将 来の資金とを交換する取引である。 マクロ金融論2010 3 2期間モデル 現在から将来にわたる異なる時点の間 (異時点間)における経済主体の行動を 考える。 簡単化のために、現在から将来にわたる 時間の流れを大きく2つに分けて、現在と 将来の2期間モデルで経済主体の行動を 考える。 マクロ金融論2010 4 家計の経済活動 (1) (2) 家計は、現在と将来にわたって経済活動を行う。 家計は、現在と将来にわたって所得を得る。 家計は、現在と将来にわたって消費することに よって、現在と将来にわたる消費から得られる 効用を最大化する。 家計は、貯金や借金を行うことができる。貯金 や借金には金利が付される。 家計は、現在時点の期首で資産負債がゼロ、 将来時点の期末で資産負債がゼロと仮定する。 マクロ金融論2010 5 現在 将来 時間 所得 所得 Y1 消費 Y2 消費 C1 貯蓄 B (借金) 1 C2 貯蓄 (借金) の返済 (1 r1 ) B1 マクロ金融論2010 6 予算制約 現在時点の予算制約 Y1 C1 B1 将来時点の予算制約 Y2 (1 r1 ) B1 C2 異時点間の予算制約 C2 Y2 C1 Y1 W1 1 r1 1 r1 マクロ金融論2010 7 C2 Y2 Y1 Y1 , C1 マクロ金融論2010 C1 C1 8 効用関数 現在の消費と将来の消費から効用を得る。 各時点における効用関数は同じ。効用関 数の特性は、限界効用逓減。 しかし、現在から見て、将来の効用を割引 いて、評価する(時間選好率 、割引因 子 )。 u C2 U U C1, C2 u C1 1 マクロ金融論2010 9 効用関数(限界効用逓減) u(c) c マクロ金融論2010 10 無差別曲線(効用一定の現在と将 来の消費の組合せ) 効用関数を変化分( )で表現すると(全微分 すると)、 du C1 1 du C2 U C1 C2 0 dC1 1 dC2 無差別曲線の傾き du C1 du C1 C2 dC1 dC1 (1 ) du C2 C1 1 du C2 1 dC2 dC2 マクロ金融論2010 11 C2 マクロ金融論2010 C1 C1 12 家計の解くべき問題 異時点間の予算制約の下で効用を最大 化するような現在と将来の消費を求める。 u C2 Max U U C1, C2 u C1 1 C1 ,C2 C2 Y2 subject to C1 Y1 W1 1 r1 1 r1 マクロ金融論2010 13 ラグランジュの未定乗数法 ラグランジュ方程式 u C2 C2 Y2 L u C1 C1 Y1 1 1 r1 1 r1 最大化の一階の条件 L du C1 0 C1 dC1 L 1 du C2 0 C2 1 dC2 1 r1 マクロ金融論2010 14 家計の異時点間の効用最大化 の一階の条件 異時点間の消費の限界代替率(無差別曲 線の傾き)=粗利子率(予算制約線の傾 き) du C1 dC1 (1 ) (1 r1 ) du C2 dC2 マクロ金融論2010 15 現在と将来の消費の関係 現在と将来の消費の関係は、利子率と時 間選好率の関係に依存する。 du C1 dC1 1 r1 du C2 1 dC2 マクロ金融論2010 16 現在と将来の消費の関係(続) 限界効用逓減の特性から、 r1 C1 C2 r1 C1 C2 r C C 1 2 1 ①時間選好率が相対的に高いと、将来の消費 よりも現在の消費の方が高い。 ②時間選好率が相対的に低いと、将来の消費 よりも現在の消費の方が低い。 ③時間選好率と利子率が等しいと、現在から将 来にかけて消費が一定。 マクロ金融論2010 17 例:効用関数が対数関数のとき 次の対数関数の効用関数を想定する。 du (Ct ) 1 u (Ct ) log Ct ; dCt Ct 効用最大化の一階の条件 du C1 dC1 C2 1 r1 du C2 C1 1 dC2 マクロ金融論2010 18 r and Y1 Y2 C2 Y2 , C2 Y1 , C1 Yマクロ金融論2010 1 , C1 C1 C1 19 r and Y1 Y2 C2 Y2 C2 Y1 C1 Y1マクロ金融論2010 , C1 C1 C1 20 r and Y1 Y2 C2 C2 Y2 C1 Y1 Y1 , C1 マクロ金融論2010 C1 C1 21
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