ポートフォリオ・アプローチ マクロ金融論2010 1 ポートフォリオ・アプローチの特徴 内外資産が不完全代替(←為替リスク) 分散投資(ポートフォリオ)によってリスク を軽減可能。 経常収支黒字累積→外国資産流入→国 際ポートフォリオ→為替相場 マクロ金融論2010 2 資産市場と経常収支 資産価格 為替相場 資産残高 外国資産の変化 マクロ金融論2010 実質富 実質為替相場 経常収支 3 内外資産のポートフォリオ・バランス (供給面) ポートフォリオ・バランス供給 Bt St Ft S : 為替相場 B :自国通貨建て債券供給残高 F : 外国通貨建て債券供給残高 マクロ金融論2010 4 内外資産のポートフォリオ・バランス (需要面) ポートフォリオ・バランス需要 D ←①予想内外収益率格差 ②為替リスク D(it i s * t e t ,t 1 , t ) i :自国通貨建て金利 i* : 外国通貨建て金利 ste,t 1 ( ste1 st ) : 予想為替相場変化率 : 為替リ ス ク マクロ金融論2010 5 内外資産のポートフォリオ・バランス (需要面) ポートフォリオ・バランス需要式の特定化 D expt (it i s * t e t ,t 1 ) : 為替リ ス ク に比較し た予想内外収益率格差の 需要に対する 相対的反応度 マクロ金融論2010 6 ポートフォリオ・バランス需給均衡式 需給均衡式 Bt D(it it* ste,t 1, t ) St Ft Bt * e expt (it it st ,t 1 ) St Ft 両辺を対数表示する と 、 log Bt log St log Ft t (it i s * t マクロ金融論2010 e t ,t 1 ) 7 ポートフォリオ・アプローチにおける 金利決定式(1) 金利決定式 it i s * t e t ,t 1 1 Bt log t St Ft (参照)カバーなし金利平価式 it i s * t e t ,t 1 マクロ金融論2010 8 ポートフォリオ・アプローチにおける 金利決定式(2) 国内資産に対するリスク・プレミアム 1 Bt * e it (it st ,t 1 ) log t St Ft 外国資産に対するリスク・プレミアム Bt 1 * e (it st ,t 1 ) it t log St Ft マクロ金融論2010 9 内外資産のリスク・プレミアム 為替リスク 内外資産供給残高 ↑ ポートフォリオ・バランス需要とポートフォリ オ・バランス供給の相違 マクロ金融論2010 10 ポートフォリオ・アプローチにおける 為替相場決定式 為替相場決定式 log Bt log St log Ft t it it* (log Ste1 log St ) bt st ft t it it* (ste1 st ) 1 st i it s bt ft t 1 1 * t e t 1 (参照)カバーなし金利平価 st it* it ste1 マクロ金融論2010 11 ポートフォリオ・アプローチにおける 為替相場決定要因 内外金利差 将来の予想為替相場 為替リスク 内外資産供給残高 ↑ ポートフォリオ・バランス需要とポートフォリ オ・バランス供給の相違 マクロ金融論2010 12 長期的な財政赤字の効果 1980年代の米国の財政赤字の結果、80 年代前半にドル高、80年代後半にドル安。 財政赤字の短期的効果⇒金利上昇⇒ドル 高 長期的な財政赤字の効果⇒ドル建て債の 累積⇒ドル資産のリスク・プレミアム上昇 ⇒ドル安 マクロ金融論2010 13 マクロ金融論2010 14 マクロ金融論2010 15 マクロ金融論2010 16 マクロ金融論2010 17 マクロ金融論2010 18 最近の米国の経常収支赤字とド ル安 米国の経常収支赤字が1990年代後半よ り増加している。 1990年後半の米国の経常収支赤字は、ド ル高を伴い、2002年以降の米国の経常収 支赤字は、ドル安を伴っている。 米国の経常収支赤字の原因:過剰投資 (1990年代後半)⇒財政赤字(2001年以 降)⇒過剰住宅投資(2004-2005年) マクロ金融論2010 19 マクロ金融論2010 2005:1 2003:1 2001:1 1999:1 130 Exchange Rate (left) C urrent Account (right) 110 -1 -2 100 -3 -4 90 -5 80 70 Percent of G D P 120 1997:1 1995:1 1993:1 1991:1 1989:1 1987:1 1985:1 1983:1 1981:1 1979:1 1977:1 1975:1 1973:1 C Y2000=100 最近の米国の経常収支とドル 2 1 0 -6 -7 -8 20 マクロ金融論2010 2005:1 2003:1 2001:1 6 1999:1 1997:1 1995:1 1993:1 1991:1 1989:1 1987:1 1985:1 1983:1 1981:1 1979:1 1977:1 1975:1 1973:1 Percent of G DP 米国の貯蓄投資バランス Figure 3: The US Saving-Investment Balance 8 Private G overnm ent 4 2 0 -2 -4 -6 -8 21 アメリカの経常収支赤字は持続可能か? 経常収支赤字だけをみると、経常収支赤字は持 続不可能。 しかし、持続不可能な経常収支赤字をファイナ ンスするに十分なだけのアメリカへの資本流入 があれば、国際収支全体(経常収支赤字+資 本収支黒字)は持続可能。 したがって、アメリカの経常収支赤字の持続不 可能性がいかにファイナンス(資本流入)される が問題。 アメリカへの資本流入が先細りとなったのは、 2001年(9.11同時多発テロ事件)にあったが、 2007年夏以降のサブプライム危機がアメリカへ の資本流入を抑制している。 マクロ金融論2010 22 グローバル・インバランス (1) (2) (3) グローバル・インバランス(世界的な経常 収支不均衡) アメリカの経常収支赤字(←ITブームの 中の設備投資、財政赤字、住宅投資(そ の後、サブプライム問題に発展)) 日本、中国、東アジアの経常収支黒字 (←過剰貯蓄(Bernanke)) 原油産油諸国の経常収支黒字(←原油 高、ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF)) マクロ金融論2010 23 各国の経常収支不均衡 (billions) 1200 1000 800 600 400 200 0 -200 -400 -600 -800 -1000 90 U.S 91 U.K 92 93 Japan 94 95 96 97 98 99 00 01 Newly industrialized Asian economies 02 03 China マクロ金融論2010 04 05 06 07 Resource-rich nation 08 09 (year) Europe 24
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