政策協調 マクロ金融論2010 1 国際的相互依存関係 自国におけるマクロ経済政策が外国の経 済活動にも波及効果を及ぼす。 外国経済に及んだ波及効果がさらに自国 経済に反作用効果をもたらす。 マクロ金融論2010 2 2国経済モデル 【仮定】 世界には自国経済と外国経済の2国経済 のみが存在。 両国経済の規模とパラメータは同一。 両国経済が生産する財は不完全代替。 完全資本移動+内外資産完全代替。 民間部門の物価水準と為替相場の予想 は所与。 マクロ金融論2010 3 2国経済モデルの体系(1) 自国経済 m p y i (6.1) y ( s p p) i (6.2) * y y ( p p ) e マクロ金融論2010 (6.3) 4 2国経済モデルの体系(2) 外国経済 m p y i * * * * y ( p s p ) i * * y y ( p p ) * * * *e マクロ金融論2010 (6.4) * (6.5) (6.6) 5 2国経済モデルの体系(3) 金利平価式 i i s s * e 1 (6.7) 外生的な予想将来価格水準 *e p p 0 e 単純化のための標準化 y y 0 * マクロ金融論2010 6 価格水準と国内総生産と為替相場 価格水準 p Am Bm C s * e 1 p Bm Am C s * * e 1 (6.8) (6.9) A B, A 0, C 0, D 0, 0 B 0 if B 0 if マクロ金融論2010 7 価格水準と国内総生産と為替相場 国内総生産 y ( Am Bm C s ) (6.10) y ( Bm Am C s ) (6.11) * * e 1 * e 1 為替相場 s CD(m m ) C(C 2 )s * e 1 マクロ金融論2010 (6.12) 8 国際相互依存関係(1) 自国の金融政策は外国経済に影響を及 ぼす。(「近隣窮乏化」) 自国の金融緩和M↑⇒自国金利i↓⇒自国か ら外国へ資本移動⇒自国通貨減価外国 通貨増価s↑⇒外国財から自国財へ需要シ フト⇒自国財価格・生産量上昇+外国財 価格・生産量低下 マクロ金融論2010 9 国際相互依存関係(2) 両国で同様の金融政策を行うと、為替相 場に影響を及ぼさない。それによって、両 国で等しい金利の変化を通じた価格・生 産量の変化が発生する。 近隣窮乏化をもたらさない マクロ金融論2010 10 政策協調のゲーム理論(1) 中央銀行の目的=国内総生産( y )と 一般物価水準( pc 0 )の安定化 損失関数 1 2 2 L ( y ) pc (6.13) 2 1 * * 2 *2 L ( y ) pc (6.14) 2 マクロ金融論2010 11 政策協調のゲーム理論(2) 一般物価水準の定義 pc p (1 )( s p ) (6.15) * p p (1 )( p s) (6.16) * c * マクロ金融論2010 12 政策協調のゲーム理論(3) 両国の物価水準((6.8)・(6.9)・(6.12)式を (6.15)・(6.16)式に代入) pc Fm Gm Hs (6.17) p Gm Fm Hs (6.18) * * c e 1 * e 1 F G, F 0, G 0 or G 0, H 0 マクロ金融論2010 13 政策協調のゲーム理論(4) 損失最小化の最適貨幣供給量:政策反応 関数 m Xm Ys A (6.19) m Xm Ys A (6.20) * * e 1 e 1 2 2 1 X 1, Y 0 マクロ金融論2010 14 政策反応関数 If 0<X<1, 外国の金融緩和に対して自国 も金融緩和する。 If -1<X<0, 外国の金融緩和に対して自 国も金融引締めする。 自国通貨が減価すると予想されれば、自 国は金融引締めする。 GDP目標値が高まると、自国は金融緩和 する。 マクロ金融論2010 15 図6 -1 国際政策協調 m R* R* RR N B C C* B* m* 0 マクロ金融論2010 16 非協調解と協調解 非協調解=ナッシュ均衡N 協調解=CC* 政策が協調されないと、ナッシュ均衡であ る点Nで表される金融政策が行われる。 曲線CC*のどの点が選択されるかは、両 国の交渉力に依存する。 マクロ金融論2010 17 政策協調の限界(1) 経済モデルについての共通認識の不足 ⇒国際政策協調が達成されるためには、政 策当局者が自国と外国の両方の経済の 構造と政策目標と目的関数(損失関数)に ついて共通認識をもっていることが必要。 マクロ金融論2010 18 共通認識がないケース 【想定】自国の中央銀行が真の経済モデルと異 なる経済モデルを信じている。次の図のように、 点B’が損失最小点であると信じている。 ⇒協調解の集合CC*曲線は、点B’を損失最小点と する誤った経済モデルから見れば、ナッシュ均 衡Nに比較して損失が大きいと自国の中央銀行 は考える。国際協調は不利と判断。 ⇒国際協調が行われない。 マクロ金融論2010 19 図6 -1 国際政策協調 m R* R* B’ RR N B C C* B* m* 0 マクロ金融論2010 20 政策協調の限界(2) 両国の中央銀行の金融政策を予想し、予想イン フレ率を高める民間部門の存在(合理的予想) ⇒民間部門が合理的予想をしない場合には両国の 中央銀行は協調によってインフレ率を高める傾 向がある。しかし、民間部門が合理的予想をす る場合には、中央銀行がインフレ率を高めると、 民間部門が予想インフレ率を高めるために、国 内産出量が自然失業率以上に増加できず、イン フレ率のみが上昇する。 マクロ金融論2010 21 合理的予想 物価水準に関する合理的予想 p p e *e p p (6.21) * (6.22) マクロ金融論2010 22 合理的予想の下でのマクロ経済 変数 s m m (6.23) 2 但し、 :自国と外国の趨勢的貨幣成長率の差 為替相場 価格水準、国内産出量 p m i (6.24) * * * p m i (6.25) * y y* 0 (6.26) マクロ金融論2010 23 合理的予想の下での金融政策 政策反応関数(←中央銀行の損失関数最小化 条件) * m i (6.28) 2 * m i (6.29) 2 合理的予想の下での金融政策(点E)は、協調 解の集合CC*より中央銀行の損失が大きい。 マクロ金融論2010 24 図6 -1 国際政策協調 m R*E* R* R* RR N B C C* B* m* 0 RE E マクロ金融論2010 25
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