2期間モデルにおける貨幣 マクロ金融論2010 1 貨幣の機能 計算単位 交換される商品の価値をある貨幣の数量で一 元的に表示する機能 交換手段 貨幣がすべての商品と交換され、すべての商品 の交換の媒介となる機能 価値貯蔵手段 貨幣が一定の価値を少なくとも一時的に蓄える 機能 マクロ金融論2010 2 物々交換 米 A 欲求の二重の一致 B 本 欲求の二重の一致:お互いに手に入れたい物と手放したい物 とが一致しなければ、物々交換が成立しない。 マクロ金融論2010 3 貨幣を媒介とした交換 米 A B おかね おかね おかね 自動車 本 C 貨幣が交換の媒介手段となることによって、交換が円滑化される。 4 マクロ金融論2010 交換のタイミング 物々交換 本 米 売り 買い 貨幣を媒介とした交換 本 おかね 売り 買い 米 「売り」と「買い」が分離可能⇒・交換が容易となる ・交換手段の価値貯蔵が重要 マクロ金融論2010 5 マクロ経済モデルへの貨幣の導入 Cash-in-advance model←交換手段 支出の前に現金を保有 Money in the utility model←交換手段 効用関数に貨幣残高を含める Overlapping generation model←価値貯蔵手段 世代間の資産移転としての貨幣 マクロ金融論2010 6 Cash-in-advance model 消費支出の一部( )は貨幣で支払う必 要がある。そのため、消費支出の前に貨 幣残高を保有する。 マクロ金融論2010 7 予算制約(1) 現在時点の予算制約(名目値) M1 B1 P1 y1 i1 B1 Pc 1 1 M1 B1 i1B1 y1 c1 P1 P1 P1 M1 M1 P1 m 1 P1 P1 P1 b1 B1 B1 P1 P1 P1 P1 マクロ金融論2010 M1 M1 1m1 P1 P1 B1 B1 1b1 P1 P1 8 予算制約(2) 現在時点の予算制約(実質値) (m1 1m1 ) (b1 1b1 ) y1 i1b1 c1 m1 b1 y1 (i1 1 )b1 c1 1m1 (m2 m1 ) (b2 b1 ) y1 rb 1 1 c1 (i1 r1 )m1 m2 b2 (1 r1 )(m1 b1 ) y1 c1 i1m1 将来時点の予算制約(実質値) m3 b3 (1 r2 )(m2 b2 ) y2 c2 i2m2 マクロ金融論2010 9 予算制約(3) 異時点間の予算制約 m3 b3 y2 c2 i2 m2 y1 c1 i1m1 (1 r1 )(m1 b1 ) 1 r2 1 r2 From no-Ponzi game condition ( b3 0 ) y2 c2 i2 m2 y1 c1 i1m1 (1 r1 )(m1 b1 ) 0 1 r2 c2 y2 i2 m2 c1 y1 (1 r1 )(m1 b1 ) i1m1 (1) 1 r2 1 r2 1 r2 マクロ金融論2010 10 予算制約(4) 貨幣を保有する時には、予算制約の中に 所得を減少させる要因として、実質貨幣 残高が加わる。インフレによる実質貨幣残 高の目減りだけ、消費に利用できる所得 を減少させる(=貨幣保有の費用)。 マクロ金融論2010 11 家計の最適化(効用最大化) 家計は効用を最大化する。 その際の制約条件: 異時点間の予算制約式(1) Cash-in-advance制約 m1 c1 (1) (2) U c1 , c2 m2 c2 マクロ金融論2010 12 ラグランジュの未定乗数法(1) ラグランジュ方程式 L U c1 , c2 c2 y2 i2 m2 1 c1 y1 (1 r1 )(m1 b1 ) i1m1 1 r2 1 r2 1 r2 2 c1 m1 3 c2 m2 マクロ金融論2010 13 ラグランジュの未定乗数法(2) 一階の条件 L U 1 2 0 c1 c1 L U 1 3 0 c2 c2 1 r2 L 1 ( 1 1) 2 0 m1 L i2 1 3 0 m2 1 r2 マクロ金融論2010 14 最適な消費水準 異時点間の消費の限界代替率 U c1 1 ( 1 1) (1 r2 ) U c2 1 (r2 2 ) もしあらかじめ貨幣を保有する必要がな ければ( 0) U c1 (1 r2 ) U c2 マクロ金融論2010 15 消費の時間経路 log c2 (仮定) U c1 , c2 log c1 1 U c1 c2 (1 ) 1 ( 1 1) (1 r2 ) U c2 c1 1 (r2 2 ) c2 1 r2 1 ( 1 1) c1 1 1 (r2 2 ) の上昇⇒ c2 c1の低下:非対称的効果 マクロ金融論2010 16 貨幣需要 最適な実質貨幣残高 ラグランジュ方程式の一階の条件 (L 2 c1 m1 0, L 3 c2 m2 0 )より m1 c1 m2 c2 マクロ金融論2010 17 Money in the utility model 貨幣の交換手段としての機能は、物々交 換に比べて、取引相手を捜す時間を節約 する。このことによって余暇の時間を増加 するので、効用が増加する。 U c1, c2 , m1, m2 マクロ金融論2010 18 家計の最適化行動 家計は次の効用関数を最大化する。 U c1, c2 , m1, m2 (1) その際の制約条件: 異時点間の予算制約式(1) マクロ金融論2010 19 ラグランジュの未定乗数法(1) ラグランジュ方程式 L U c1 , c2 , m1 , m2 c2 y2 i2 m2 1 c1 y1 (1 r1 )(m1 b1 ) i1m1 1 r2 1 r2 1 r2 マクロ金融論2010 20 ラグランジュの未定乗数法(2) 一階の条件 L U 1 0 c1 c1 L U 1 0 c2 c2 1 r2 L U 1 ( 1 1) 0 m1 m1 L U i2 1 0 m2 m2 1 r2 マクロ金融論2010 21 最適な消費水準・実質貨幣残高 最適な消費経路 U c1 (1 r2 ) U c2 最適な実質貨幣残高 U U U U m1 1 1 c1 m2 r2 2 c2 マクロ金融論2010 22 効用関数の特定化 効用関数: U c1 , c2 , m1 , m2 log c 1 1 m1 1 2 log c m2 1 但し、 :消費と比較した貨幣の効用への貢献度 U c1 (1 ) c1 U c2 (1 ) c2 (1 ) U m1 m1 U m2 m2 (1 ) マクロ金融論2010 23 最適な消費経路 最適な消費経路 c2 1 r2 c1 1 マクロ金融論2010 24 貨幣需要 最適な実質貨幣残高 m1 c1 (1 )( 1 1) m2 c2 (1 )(r2 2 ) under CIA m1 c1 m2 c2 インフレ率↑⇒貨幣需要↓ 利子率↑⇒貨幣需要↓ 貨幣の効用への貢献度↑⇒貨幣需要↑ マクロ金融論2010 25
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