保険・年金論(第3回) リスクプーリング

経済学A
ミクロ経済学(第8回)
参入、独占
明治大学総合数理学部
2015年6月4日
大塚忠義
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講義資料
http://tyotsuka.cocolog-nifty.com/blog/
から各自事前にダウンロードしてください
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市場
価格と数量が定義される任意の空間
2変数のほかに時間を含む複数のディメン
ジョンが存在
価格と数量は連続である必要はないが、積分
可能な変数であるほうが便利
完備市場、完備性(completeness):
完全競争
完全雇用、税・手数料、規制の不存在
情報の対称
前半は完備市場を前提とする
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市場で価格の決定者
市場:多数の需要者と供給者が存在
すると、個々の需要者と供給者は価
格を決定できない
需要者は、価格が自分の購入希望額を下
回っていたら買う。そして、価格と購入希
望額が等しくなる数量まで買う。
供給者は、価格が自らの費用を上回って
いたら売る。そして、価格と費用が等しくな
る数量まで売る。
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最適な資源配分
個々の需要者は自らの限界評価と価格
が等しくなる数量まで購入する
⇒個々の限界評価は価格と等しくなる
⇒個々の需要者にとって最適の購入量
個々の供給者は自らの限界費用と価格
が等しくなる数量まで供給する
⇒個々の限界費用は価格と等しくなる
⇒個々の供給者にとって最適の生産量
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供給曲線
s   si   Si ( p)
Si
:限界費用曲線
個々の限界費用曲線の合計が供給
曲線
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完全競争
完備市場の第一要件
多数の供給者の存在
不加算数(無限大に近い概念)
供給者数は連続空間で定義可能
⇒任意の供給主体が供給量を変化さ
せても市場価格に変化はない
市場価格より高い価格では売れない、
低い価格をつける理由がない
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余剰の最大化
余剰最大点の一意性
完全競争の存在によって成立
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新規参入(1)
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新規参入(2)
大量の新規参入があったら。。。
超過供給⇒価格、供給が減少
価格の低下
生産者余剰はどのように変化するか?
価格メカニズム
=市場原理
一物一価:市場価格の法則
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新規参入(3)
もっと大量の新規参入があったら。。。
超過供給⇒価格、供給が減少
供給者の行動は?
需要者にとっての超過供給の意味は?
価格メカニズム
=市場原理
市場拡大の恩恵
急激な供給増加があったら??・輸入自由化
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資源の最適配分
完全競争⇒自由な参入退出
有限な資源(労働力を含む)の最適配分
⇒自然淘汰と適者生存
⇒最適な経済発展
新古典派経済学
:経済発展:人類の幸福の実現のため
:市場の完備性を妨げるものを排除
:夜警国家論:アダム・スミス
シカゴ学派;フリードマン、ヒックス、スティグラー….
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労働力の最適配分
完全競争⇒自由な参入退出
一方で多くの摩擦の発生
労働力の参入・・新たな事業分野へ
一昔前のIT 産業
労働力の退出・・外国の競争、衰退分野
の従事者の失業
労働力の最適配分
⇒自然淘汰と適者生存
⇒最適な経済発展
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厚生経済学(Welfare economics)
• 経済的厚生(Economic welfare)に関して、経済全体
における分配の効率性と、その結果としての所得分
配(所得分布)を分析する経済学の基礎的分野。分
析手法としてはミクロ経済学の手法を用いる。
• 複数の「個人」が経済活動の結果得た福利である厚
生をそれらの個人の所属する社会の単位で集計し
た社会的厚生を最大化することを目的とし、必要な
所得再配分について考える。
• 厚生経済学の領域に分類される用語には、外部性・
平等・経済的正義・不平等・利他主義などがある。
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パレート効率性
-市場経済の合理性:希少資源の有効活用
-経済学の社会正義の基準:厚生経済学の第一定理
「他の誰かの効用を下げる(状況を悪化させる)ことなく、
ある人の効用を上げる(状況を改善する)ことができない
状況」
-市場メカニズムの利用:完全競争市場の下では市場均
衡はパレート効率的である。
-完全競争市場の条件:プライステーカーの市場
多数の売手と多数の買手
完全市場:摩擦のない市場
完全情報
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資源の非効率な分配
社会主義国家
市場の不存在:⇒ソビエト連邦と東ヨー
ロッパ諸国の崩壊
資本主義国家の市場は効率的か?
多くの企業は利益を上げている
競争の程度は?
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X非効率性
完備な市場において
個々の供給者は自らの限界費用と価格
が等しくなる数量まで供給する
⇒個々の供給者にとって最適の生産量
⇒供給者にとって利益が出ない点
実証では、企業は均衡価格より高い価格
で販売⇒不完全競争?説明でいない要
因が存在?
説明できない要因:X非効率
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市場
価格と数量が定義される任意の空間
2変数のほかに時間を含む複数のディメン
ジョンが存在
価格と数量は連続である必要はないが、積分
可能な変数であるほうが便利
完備市場、完備性(completeness):
完全競争
完全雇用、税・手数料、規制の不存在
情報の対称
後半は完全競争を前提としない
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利潤とその最大化(復習)
完全競争下での1供給者を基準
利益=収入―費用
=価格×販売数ー総費用
固定経費を無視、数量を連続と仮定
利潤=(価格線-限界費用曲線)

供給者は価格と限界費用が交差する数
量まで供給しようとする
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供給行動
1供給者を基準にしています
供給者:price taker
完全競争下では、供給者にとって価
格は所与のもの
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利潤とその最大化(復習)
s   si   Si ( p)
MC   MCi
完全競争下(完備でなくてもよい)
供給曲線=限界費用曲線
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独占
供給者は1人とする(単純化)
独占はよくない状態か?
価格のメカニズム(=競争)
が働かない 富の偏在 不公平?
供給者が価格設定に影響するので
最適の資源配分が実現しない
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需給曲線を忘れてください
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市場で価格の決定者
市場:単独の供給者と多数の需要者
とが存在すると、供給者が価格を決
定できる? NO
需要者は、価格が自分の購入希望額を下
回っていたら買う。そして、価格と購入希
望額が等しくなる数量まで買う。
供給者は、自らの利益が最大化する数量
を供給する・・・収入=価格×数量、価格
は数量によって変化
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独占下の資源配分
個々の需要者は自らの限界評価と価格
が等しくなる数量まで購入する
⇒個々の限界評価は価格と等しくなる
⇒個々の需要者にとって最適の購入量
独占的な供給者は自らの利益が最大化
する数量まで供給する
⇒完全競争と異なり、独占者は利益を得
ることができる⇒需要者から便益の移転
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独占者の利益
利益=収入―費用
利益、収入、費用は数量の関数
利益は単調増加し、増加幅は減少し、
最大値を超えると単調減少する
限界利益(X)=0 が存在
限界収入=限界費用
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需要曲線
d   di   Di ( p)
:個人の特性(切片、傾き)に基づき
決定する
Di :個人の価値の導関数であり、
その導関数は効用
その合計が需要曲線
Di
Di
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余剰の最大化
余剰最大点の一意性
完全競争の存在によって成立
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供給曲線
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費用関数(1)
1供給者を基準に定義
総費用=固定経費+変動経費
平均費用=総費用÷生産量
限界費用=総費用曲線の導関数
C : 総費用
X : 生産量
C  T (X )
AC:平均費用
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費用関数(2)
T(X )
AC 
X
MC : 限界費用
T ( X )
MC 
X
T ( X )  AC  X
MC  AC  ( AC ) ' X
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費用関数(3)
( AC ) '  0 then MC<AC
( AC ) '  0 then MC=AC
( AC ) '  0 then MC>AC
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供給行動
1供給者を基準にしています
供給者:price taker
完全競争下では、供給者にとって価
格は所与のもの
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独占状態
独占供給者が供給量を変化させたら
市場価格は変化する
市場価格は供給者の供給量によって
定まる
これも忘れてください
Price takerは
存在しない
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限界収入
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収入関数(1)
収入=価格×数量
独占の場合、価格は数量の関数で需
要曲線上にある
R : 価格
X : 数量
R
限界収入=R 
X
X
R
< 0
X
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収入関数(2)
収入=価格×数量
価格=平均収入=収入÷数量
限界収入>=価格
等号は完全競争のとき成立する
需要の価格弾力性が小さい
⇒限界収入は小さい
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利益の最大化
限界利益(X)=0 が存在
限界収入=限界費用
均衡値より少ない数量、高い価格
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Question?
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