15.独占 ウィンドウズのパソコン ウィンドウズを使おうとすると、マイクロソフト製品を使うしかない ウィンドウズでマイクロソフト社は「独占」の地位にある (著作権で守られている) 競争市場と異なる どう異なる→____________(企業の数) どう異なる→____________(価格設定) 《問い》独占企業はどのくらい高い値段を付けるのか 《問い》社会的な損失はあるか →政府はそれを是正できるか 15.独占 2 独占が生じるわけ-参入障壁 独占資源 南アフリカのデビアス社(ダイヤモンド) 費用 政府が排他的な権利を与える 特許(新薬) 著作権(小説や音楽) 自然独占 1社で供給した方が費用が安い場合 水の供給 ☆ 水道管の敷設、二重にしても意味ない ☆ 固定費が大きい(水道管、個々の家への引き込み) 電力(地域ごとに独占) 政府も認めている場合が多い 15.独占 平均総費用 生産量 3 需要曲線 競争企業が直面する需要曲線 価格 独占企業が直面する需要曲線 価格 需要 需要 生産量 生産量 価格に影響を及ぼせない 価格に影響を及ぼせる 生産量を増やしても価格は同じ -作っただけ売れる -市場に比べて小さい存在 価格を上げると需要が減る 15.独占 4 独占企業の収入 水道会社が1社しかない町を考える 水の量 価格 総収入 平均収入 限界収入 (𝑄、リットル) (𝑃、円) (𝑇𝑅 = 𝑃 × 𝑄、円) (AR = TR/Q、円) (MR=ΔTR/Δ𝑄、円) 0 11 0 - 1 10 10 10 10 2 9 18 9 8 3 8 24 8 6 4 7 28 7 4 5 6 30 6 2 6 5 30 5 0 7 4 28 4 -2 15.独占 5 限界収入<𝑃 限界収入はつねに価格より低い なぜだろうか 12 価格(円) 10 8 需要(平均収入) 6 総収入に対する 4 生産量効果 2 価格効果 0 (競争企業ではどうだったか) -2 限界収入 水の生産量 (リットル) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 -4 -6 15.独占 6 利潤最大化 費用、収入 限界費用 独占価格 B 平均総費用 A 需要 限界収入 𝑄1 𝑄𝑀𝐴𝑋 𝑄2 独占企業も「限界原理」で考える 生産量 点Aでは _______と _______が 等しい 限界費用と価格の関 係は ________ 経済学の十大原理 独占企業なりの限界費用に直面 𝑄1 →生産を増やすと利潤が増加 ( 𝑄2 だと減少 ) 15.独占 7 利潤の大きさは 費用、収入 独占利潤 限界費用 独占価格 E B A 平均総費用 D 平均総費用 需要 C 利潤 = 𝑇𝑅 − 𝑇𝐶 𝑇𝑅 𝑇𝐶 = − ×𝑄 𝑄 𝑄 = (𝑃 − 𝐴𝑇𝐶) × 𝑄 常に成り立つ 限界収入 𝑄𝑀𝐴𝑋 生産量 独占企業には「供給曲線」がない --競争企業は「価格」を受け入れて、「量」を決める --独占企業は「価格」を決めて「量」を受け入れる --「量」=需要量 15.独占 8 社会的な「余剰」 「余剰」とは何だったか 生産の効率的水準 価格 限界費用 独占企業の費用 「余剰」が最大になる点はどこか 需要(買い 手にとって の価値) ↑ 効率的生産量 15.独占 生産量 9 独占の社会的損失 価格 独占価格 社会的損失(死荷重) B 限界費用 1. 独占利潤=社会的費用か 需要 2. 独占利潤はどの領域? 3. 価格が高いことは(純)損 限界収入 失か 生産量 独占生 効率的 産量 生産量 15.独占 10 価格差別 再び 半沢直樹シリーズの第5作登場!(仮に) 独占販売権を持つ「池井戸商事」はどうすべきか 電子書籍で売る (限界費用は無視できるとしよう) 池井戸商事には読者層が見えていた 3000円まで出せる 10万人 500円まで出せる 30万人 利益最大化戦略は 均一価格だと ☆ 3000円 →売り上げは 3億円 ☆ 500円 →売り上げは______ ⇒ 1冊=___円で決定! ⇒ 社会的損失が発生している。どこに? 15.独占 11 価格差別の教訓 仮に、3000円出せる人は全員Kindleを持っていた Kindleとその他で別々の価格(現実味はさておき) Kindleでは3000円 10万人が購入 その他では500円 30万人が購入 ⇒ 利益は_______ 1. 独占企業にとって合理的 2. 顧客を分離する必要 3. 経済厚生を高める ☆ ただし、厚生の増加は______の側に 15.独占 12 価格差別の教訓(2) 均一価格を付ける場合 完全な価格差別をする場合 価格 価格 消費者余剰 社会的損失 (死荷重) 独占価格 利潤 限界費用 限界収入 販売量 利潤 限界費用 需要 需要 生産量 販売量 生産量 単純化のため、1単位当たりの費用が一定(限界費用=平均総費用)と仮定した図になっている 完全が価格差別、現実には不可能 米国と日本、若者と高齢者、平日と週末 ハードカバーと文庫、ロードショーとDVD、テレビ 15.独占 13 独占に対する規制 反トラスト法(独占禁止法) 独占企業を生むような合併を制限 「競争」はどこで起きているのか 素材(製鉄、化学など)は過剰設備集約の方向 海外との競争(家電メーカー合併で問題起きるか) 電力とガスが合併したら 規制 電力、ガスなど「自然独占」 独占を認めた上で「価格」を規制 公営 水道 「何もしない」との立場も 「郵便」は官か民か 市場の失敗より「政治の失敗」 の方が深刻 NTTは? JRは? 15.独占 14 完全競争と独占の間 完全競争 独占 多数の企業 企業は1つ 同質の財を生産 財も1つ 独占的競争 15.独占 寡占 多数の企業 少数の企業 質の異なる財を生産 同質の財を生産 15 市場構造4つのタイプ 生産する財の質 同質 企 業 の 数 多数 完全競争 牛乳 タクシー 少数 寡占(※) 携帯電話 鉄鋼 1つ 独占 水道 ケーブルテレビ はがき・封書 類似しているが同質でない 独占的競争 小説 映画 (モデル化しにくい) (-) ※ 寡占(かせん) oligopoly 15.独占 16 どれに該当? 以下の業界はどれに該当 ☆ ビール ☆ 新聞 ☆ コンビニ ☆ ラーメン店 ☆ 航空 ほかの業界を挙げ、どれに該当するか考えよ 15.独占 17 独占的競争 企業の振る舞い <短期> 独占企業に似ている 価格を設定、右下がりの需要曲線に直面 「限界収入=限界費用」の点で生産 利潤は正の場合と負の場合 <長期> 利潤が正なら、「参入」が起きる ⇒ 既存企業は需要減少に直面 ⇒ 利潤は減少 利潤が負なら、「退出」が起きる ⇒ 既存企業は需要増加に直面 ⇒ 利潤は増加 15.独占 18 問題【15-1】① エクステニアの町のすべての住民は経済学を愛し、市場は経済学 博物館の建設を提案した。その固定費として240万ドルかかり、 可変費用はかからない。10万人の住民がおり、住民のそれぞれは 博物館の見学について同じ需要関数𝑄 𝐷 = 10 − 𝑃を持っている。 ただし、𝑃は入場料である。 a. 博物館の平均総費用曲線と限界費用曲線を図示しなさい。博物 館はどのような市場にいると考えられるか。 b. 市長は、一括税で24ドルの資金調達を行い、一般に無料で開放 することを提案した。住民はそれぞれ何回博物館を見学するか 。消費者余剰からこの新しい税を差し引いたものを指標として 、住民がそれぞれ博物館から得る便益を計算しなさい。 15.独占 19 問題【15-1】② c. 市長の増税に対する反対者は博物館は入場料を課すことによっ て自己で資金調達をすべきだという。博物館が損失をこうむる ことなく課すことのできる最低の価格はいくらか(ヒント:2 ドル、3ドル、4ドル、5ドルの価格に対する見学者の数と博 物館の利潤を求めなさい) d. 問いcで求めた収支均衡となる価格の下で、各住民の消費者余剰 を計算しなさい。市場の計画と比べて、入場料をとることで誰 の厚生が改善するか。また誰の厚生が悪化するかについて説明 しなさい。 e. これまでの問いでは考慮されていないが、現実世界においてど のような点を考慮することが、入場料をとることの賛成論とな るだろうか。 15.独占 20 問題【 15 -2】① あなたは300人の大人と200人の子 どもがいる町に住んでおり、紙芝居 の公演を開くことを考えている。公 演には20万円の固定費用がかかる が、入場券発行の限界費用はゼロ である。次の表は大人と子どもの需 要計画である。 a. 利潤を最大化するためには、あな たは大人と子どもの入場券に、そ れぞれいくらの価格をつけるか。 その時の利潤は b. 市議会が二重価格を禁止した。 この場合、あなたはいくらの価格 を付けるか。その時の利潤は。 15.独占 価格(円) 大人(人) 子ども(人) 1000 0 0 900 100 0 800 200 0 700 300 0 600 300 0 500 300 100 400 300 200 300 300 200 200 300 200 100 300 200 0 300 200 21 問題【 15 -2】② c. 価格差別禁止は、誰の経済厚生を悪化させ、誰の経済厚生を改善し たか。経済厚生の変化を数量で表しなさい。 d. もし、公演の固定費用が25万円だったら、問a、問b、問cの答えはそれ ぞれどのように変化するか。 15.独占 22 追加:余剰についての補足 杯 1時間当たり 可変 費用 限界 費用 0 0.0 - 1 0.3 0.3 2 0.8 0.5 3 1.5 0.7 4 2.4 0.9 5 3.5 1.1 6 4.8 1.3 7 6.3 1.5 8 8.0 1.7 9 9.9 1.9 10 12.0 2.1 スライド14, p. 6より引用 15.独占 2.3 2.1 1.9 1.7 1.5 1.3 1.1 0.9 0.7 0.5 0.3 0.1 -0.1 限界費用MC 可変費用(面積) 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 限界費用の積み重ねが可変費用 →限界費用曲線の下の面積が可変費用(上図) 生産者余剰=総収入-可変費用 =利潤+固定費用 →しかし、固定費用はサンクコストなので、(短期 の)利潤最大化のためには考慮の必要はない →したがって、生産者余剰が最大のとき、(短期 の)利潤も最大 23
© Copyright 2024 ExpyDoc